見出し画像

#みの編マフィア小説 [第15夜] 神の思し召し

「…報告を聞こう。」

都内にある、とある神社。

最奥の部屋に、男が1人座っていた。

彼の名は…『神主(God Master)』

名の通り神に仕える身でありながら、神社を隠れ蓑とし、裏の物流や情報を扱うフィクサーとして、みのマフィアに多大な影響を与えてきた。

そんな彼の後ろに音もなく現れた女。

「マスター。報告申し上げます。」

「おいおいデラミ。ここには2人しかいないんだぞ?そんなに固くなるなよ。」

「あっ…ごめんなさいアナタ。なんだか最近いろんなところに潜り込んだせいか、言葉遣いが定まらなくなってしまって…」

彼女は『デ・ラミ・ジェンヌ』
表向きは神主の妻として神職を支える姿を取っているが、裏の顔はあらゆる手段を使って情報を手に入れる敏腕女スパイ。

神社という場所、そして2人の持つ圧倒的な情報ネットワークによって、ここ、小野陰崎神社は無類の力を持っていた。

「それで、どうだったんだ。ブタゴリラの様子は?」

「…ダメね。完全にリリーの魅了(チャーム)に堕ちてるわ。いつユカマリアに牙を剥いてもおかしくない…」

「やはりか…、だが確か、リリーの能力発動には条件があったな?」

「ええ。瞳を合わせることで思考を奪い、唇を重ねることで行動を縛る。ブタゴリラはまだ行動まで操られてはいないわ。」

「そうか、なら引き続き飲みに誘いながら奴を監視しろ。決してリリーを近づけるな。」

「お安いご用よ。任せて。」

「それからもうひとつ。デラミ、最近よくみの亭に出入りしているな?」

「…えぇ、それが何か?」

「ちょうど良かった… なべサンの弱みを握ってこい。」

「…え?」

「あの場所は若い衆の出入りが激しい。思わぬ力を持つことも考えられる。念のため、交渉材料を持っておきたい。」

「…わかったわ。」

「我らの大いなる野望のためだ。ボス亡き後、そのまま彼を神格化し、この神社に取り込む…みのマフィアの全ては、私のものになる…!」

夜は、人の欲望すら覆い隠し、静かに老けていく…


サポート代は全額写真の勉強代に当てさせてもらいます…!