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#みの編マフィア小説 【第3夜】No.2


カツカツカッ……

カタカタカタカタ…

ヒールを高く鳴らす音と、キーボード音。

本来両立するはずのない2つの音が、同時に部屋に近づいてきた。

バタンッ!

勢いよく部屋のドアが開け放たれ、2人の女が。

「あぁもう! うちのボスは!!財布の次はパスポート?うちの教会は便利屋じゃないのよ全く……ちょっと小夜!何でもかんでもすぐに文字起こしする癖直しなさい!こんな愚痴は書かなくていいの!」

「すみませんユカマリア。 でも、書かずにはいられなくて…カタカタカタカタ…」

語気を荒げる女の名はユカマリア。
組織が隠れ蓑としている教会 ”羅針盤”のシスターということになっているが、その実、ボスの右腕を務めるNo2。
彼女に導かれてやってきたメンバーは数え切れないほどいるという、腕利きのスカウトマンだ。

肌身離さずパソコンを持ち、キーボードを叩いている女は小夜。
文筆家としての腕を買われ、ユカマリアの側付きとして組織の情報をまとめ上げる役目を任されている。
重要な会合には必ず呼び出され、会の要約を解散前に全団員に発信する「全知の書(リアルタイムレポート)」という能力を行使して、組織に貢献している。

「あら狂一朗くん、お久しぶりね。相変わらずイイ男っ♡」

「ユカマリア…それに小夜も。貴女達が来るってことは…」

「そう。今日の定例会は、ボスからひと月ぶりの指令があるの。」

「私もさっき聞かされたんですよ…カタカタカタ…聞き逃したらどうしよう…カタカタ…」

いつの間にか、会場となる部屋は100人ほどのメンバーで溢れていた。
互いにシマの近況を報告しあい、情報交換を行なっている。

「そろそろか…」
狂一朗がそう呟いた次の瞬間。部屋の照明が全て落とされた。


「ドウガ…スタート…!」

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