引導を渡せない国、ニッポン

日本の特徴として、一つ思ったこと。

適性がない人に引導を渡せない。

学生から会社までこれは共通した傾向である。
むしろ小中学校では最近特にその傾向が強まっている。

人間、残念ながら生まれ持った能力には差があって、向き不向きがある。
それも多様性の一種。
日本社会は、その事実を見て見ぬふりしている気がしてならない。

これはまずいと思う。
日本の生産性を落としているのはそういう部分があるからではないか

引導を渡すということ

「あなたはこの道に向いていないから、別の道に行きなさい。」
と勧奨することです。
スポーツなら今でもあります。客観的基準とタイムリミットがあるので、引導を渡されるほうはそれを受け入れやすい。
広義の芸能界だとやりにくくなってるかも。まだチャンスがあると思わせたほうが育成側は稼ぎやすいし、わかりやすい年齢制限もない。

最近、昔よりも引導を渡しにくくなっています。理由は、
*差別等といわれるため
*できない人に幻想を抱かせて金儲けするため
のどちらかが多い。

Fランク大学

これほど、適性のない人に引導を渡せない現象を説明するのに適した材料はないかも。
ドイツやオランダでは、中学校に上がるときに適性のない人は就職コースなどに配属されます。中学時点で大学に向いていない人に引導を渡しているということ。
進学コースに配属されなければ、大学に行くことはできない。
(短大に行けるコースはあるし、中学で伸びた人のためにコース変更などの措置もあるが、ごく少数)
大学が無料または安価である代わりに、入れる人を絞っている。
そうしなければその料金は実現不可能。コースに分けない国でも大学無料化している国は入学や卒業が厳しいことが多い。

要するに、学問に対する適性がない人が大学を卒業できることは少ない。だから大卒は評価される。

一方で日本は金さえ払えばだれでも大学に行ける。
卒業も簡単にできる。

一見いいことのように思えるけど、それは低学力の人たちのためになっているのだろうか?筆者はそう思わない。
*行きたくもないのに進学させられる層がいること。
*貧困層がさらに厳しい立場に置かれること(高卒が少なくなりマイノリティになるので)
*結局金を無駄にする人も少なくないこと
などの欠点がある。

能力が低いことにはいつかは向き合わなければいけないのだが、それを遅らせてしまうことになる。
早いうちに向き合ったほうがいいのに。むしろ、能力が低いことを指摘することすらタブーになっている感すらある。
(そうしないと、うまくいかないことをなんでも人のせいにするようになる場合もある)

学歴が大事とかいうけど、結局は最低限の能力がないとお話にならない。

終身雇用

終身雇用もその仕事に向いていなかった人に引導を渡しにくい制度である。
やらせてみないと適性の有無はわからないのに、60歳まで雇い続けなければならない。
向いてないからと言って引導を渡すこともできない(唯一渡す方法は後述)
適性がない人でも別のところに適性がある場合がある。飼い殺しにすることでその可能性すらもつぶしてしまう。
結果、国全体としては生産性が落ちる。

ハラスメントで追い込まない限り引導を渡せない日本の会社

どうしても辞めさせたい時に会社はどうするか。
ハラスメントで追い込む。

追い出し部屋という言葉を聞いたことがあるだろうか。
これは、会社がいらなくなった社員をやめさせるために用意した非生産的な部署に飛ばし、そこに座らせておく、みたいな方法。
やめるかずっと隔離部屋に座っておくかを選べ、ということ。
これで大体の人はやめていく。

クビにできるならそのほうが効率がいいので追い出し部屋は作られないだろう。解雇規制で国中で引導を渡すことを規制しているからこういったことが起こる。

2005年4月に起きた、福知山線の脱線事故でも「日本で引導を渡すことの難しさ」を思った。
日勤教育(当時あった、やらかした運転手等に懲罰的な指導をする仕組み)はハラスメントで、もちろん批判されるべきだと思う。
でもそれも運転士に向いていない人に引導を渡すための仕組みになっちゃってたんだろうなと思っている。(当時、規定回数以上引っかかると車両基地勤務等に変えられると書いてあった)
それで過去に日勤教育を受けた運転士がオーバーランをしてしまったときに今度はやばいと精神的に追い込まれてしまい…結果事故に。

有名な話だが、アメリカは向いていない(会社の利益にならない)と判断されればすぐにクビを切る。

さすがにハラスメントをしないと引導を渡せない制度はまずいのではないか。でもそれが日本の実情だと思う。

可能性がある、というのは簡単だが

「努力すれば可能性があるよ」

一見いい言葉のように聞こえます。
しかし、努力しても結果が出ない人や、努力できない人がいます。

日本は横並び意識が強いとよく言われますが、
多様性がないとか以前に、個々の能力差を見て見ぬふりをしていると感じます。
能力がない人もある人についていけ形式。
ついていけないのだけどそれにはお構いなしで、理解してなくても基本的に進級はできる。
あなたは能力がないから別の道を行きなさいとは言ってもらえない。
だから適性に合わせた進路選びもしにくいしミスマッチも起きる。
能力差を認めないから、得意なことに合わせて分業しようということもあまりない。これも生産性が落ちる原因。

ついていけない人、成功できない人が「努力が足りない」とされがちなのはこういった原因だと思います。

※最近はついていけない人を障害とみなす動きもある

ついていけなければいずれは(大なり小なり)レールから外れる運命になるのですが。
で、外れた人を非正規雇用などで安く雇ってるのが実態でしょう。

日本が変われないのも「古い制度に引導を渡せないから」かもしれない。
古い制度にも賛成者や、それで食っている人がいる。そういった人からの反発を恐れて、それは古いから変えようと言えない、だから変わらない。

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