人手不足は10年後からが「本番」であるという話
昨今、人手不足だなんだと社会で騒がれている
で、気が付いてしまった
人手不足産業は「これでもまだもっている方」であるということに
真にヤバいのは10-15年後なのだ
これには2つの事情がある
少子化
今の小学1年生の世代に出生数が100万人を割った
で、最近は80万人を割っている (参考)
(逆に言えばそれまでは100万人いるということ)
この小学1年生たちは現役で4年制大学を出た場合16年後、
高卒なら12年後に社会に出ることになる
団塊ジュニア(ロスジェネ前期)の定年退職
団塊ジュニア(1970-74生まれ)は就職氷河期前期である
で、1970年生まれは2035年(12年後)に65歳になる
65歳まで働いて退職すると仮定すると、人数が多い層が退出していくことになるわけで
おそらく、ロスジェネ(特に70年代生まれ)は人手不足産業に多く就いていると推察している
そう思う理由は、ロスジェネ世代の正社員率は低くない
20-22年の40代は全員ロスジェネだが、男性正社員率は9割だからだ
しかし、高給な職には就けていない人が多い
ということは、人手不足が起きはじめたころに、まともな職につけていなかったロスジェネの負け組を人手不足産業がかっさらったのではないかと思っている
つまり、人手不足産業を支えているロスジェネがいなくなれば、瓦解するといえる
註:ロスジェネ=就職氷河期世代(70年度-82年度生まれ)
団塊ジュニアはロスジェネの前期である。特に人口が多い
実は70年度は厳密には団塊ジュニアではないがロスジェネではある
超少子化世代の社会参入と団塊ジュニアの退出のダブルパンチ
ここでは出生数が100万人を切った2016年度生まれ以降の世代を
「超少子化世代」と称する ※筆者の造語
超少子化世代1世代目が高校を卒業するのが12年後
ロスジェネ1世代目が65歳を迎え退職するのが12年後
退出する層が入ってくる層の倍近くということになるわけで、当然人が足りなくなるに決まっている
ただでさえ足りないのに
と考えると「2035年問題」と名付けてもいいレベルで
ここから人手不足の深刻さが変わっていくと考えられる
実際には60歳で退出するロスジェネもいると思われるので、もっと早くこの問題は起こるだろう
なので「10年後から本番」というタイトルにした
例えば介護はされる側の増大(団塊世代)を含め、ガチで崩壊するだろう
介護輸出(介護される側を発展途上国に輸出)か安楽〇が真剣に検討される可能性が高いとみている
ガチでやばくなるので、政府も本格的な問題として取り組まざるを得なくなるだろう
構造自体を少子化に合わせた形に持っていくしかない
いまであれば、人手不足産業は給料を上げれば多少人が来るかもしれない
しかし、団塊ジュニアが退出した後はそれも難しくなるだろう
給料を高くすれば人が来るわけではなくなる
たとえば、難関大学に入れる人が学費0円のFランにタダという理由で行かないことが多いだろうのと事情はほぼ同じ
今は給料の問題だが、10年後は給料の問題ではなくなる
で、唯一の解決方法は省人化することにしかない
サービスの低下は覚悟の上で
つまり、10年後は今のようなサービスは受けられないと思ったほうがいい
未来の宅配の在り方
たとえば、宅配は今のままでは持続不可能である
基本的にはセンターに取りに行くような形になるだろう
コンビニ跡地やスーパーの一角のような建物に荷物ボックスが大量にあって、そこからスマホでピッとして受け取る的な
生ものや冷凍、大型物、企業などは例外的に宅配されるかもしれないが、センターで受け取るより高い料金が必要になる可能性が高い
そうなると、荷物を送る側は住所のほかに相手の宅配ID的なもの(届いたらアカウントに取りに行ってくださいと通知)が必要になるだろう
これなら、特殊な荷物を除いてセンターに宅配する人だけで人員が済み、大幅な省人化を実現できる
企業再編
人手不足産業のうち、なくても成り立つ産業は瓦解していくだろう
例えば飲食や不人気企業の営業職である
一方、エッセンシャルワークはある程度は何とかしないと国家が機能不全になるので、国などが本腰を上げて回していくかもしれない
それは機械化や、企業再編などによる効率化だったりで・・・
機械化(AI含む)が進むという予想のもと、機械を扱える人を増やすために国は共通テストに情報を入れたのかもしれない
解雇規制の緩和
適性がない仕事に「法律のせいでクビにできない」という理由で無駄に社内ニートを抱えさせておくことは人手の無駄遣いである
そういった観点から解雇規制の緩和はどこかで実現されると思う
そうしないと人が足りないという理由によって
就職氷河期時代にあった人員過多でリストラしたいというのとはまた事情が違う
・・・本当の意味で産業界全体を「リストラクチャリング」(再構築)しないと人手不足で総崩れになりそうなのがこれからなんだけどね
※和製英語のリストラは就職氷河期に会社の再構築→たいてい事業縮小なのでクビになるとということでクビ(または事業縮小・廃止)を俗語として指すようになった
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