竹ノ内さん

1冊の本を読むだけで、8つのメリットを得ることができる新しい手法をあみだした アクティブ・ブック・ダイアローグ®開発者“竹ノ内壮太朗さん”

人類の叡智が詰まった資産である本を気軽に読めて、深い気づきとコミュニティーや仲間づくりができる、画期的な手法を開発し、全国へ広める活動をされている“竹ノ内壮太朗さん”にお話をお伺いしました。

竹ノ内壮太郎さんプロフィール
出身地:京都市
活動地域:関西を中心とした全国・欧米・インド
経歴:製造業の会社経営者のかたわら、社内・社外での人材開発の手法として、ファシリテーションを活用する。その過程で、参加型読書会メソッドのアクティブ・ブック・ダイアローグを開発、2017年にマニュアル一般公開する。2018年9月には、IAF大阪大会で、英語でのアクティブ・ブック・ダイアローグのワークショップを実施。
現在の職業および活動:
・ Active・Book・Dialogue開発者
・三和研磨工業株式会社 代表取締役社長
・日本ファシリテーション協会会員(2005年4月より)
・場とつながりラボhomes'vi 正会員
・シナリオ・プランナー・協会 理事(認定シナリオプランナー)
座右の銘:「言葉が世界を作る」


みんなの集合知という活動をABDをきっかけにして、全国で広げていきたい。

Q1.竹ノ内さんは、どのような夢、ビジョンを持っていますか?

竹ノ内壮太朗さん(以下、竹ノ内) 人と人が協力や連携して何かをやっていくことに非常に関心があって、強いリーダーシップだけで動いていく組織や社会じゃないティール組織のようなものには、以前から関心を持っていました。
 例えば、ファシリテーションという手法自体も、平たく言うと、関係性を促進させて役立ち合う良い場をつくっていくと思います。アクティブ・ブック・ダイアローグ®(以下、ABD)をつくる10年以上前から、ファシリテーションの手法については非常に関心を持ち、日本ファシリテーション協会に2005年から会員になって、色んな場で学んだり、実際自分も社内あるいは社外の組織で実践しています。

 ABDは何がいいかと言うと、一人一人の力が発揮できる可能性が高くなるのではないかと思います。あと、集合知と言うか、みんなで学び、知恵を集めることで大きな物が生み出されることを感じていました。それも大切にしたい一つの理念に沿った形であるべきだと思っています。そういうことを大切にしつつ、みんなの集合知という活動をABDをきっかけにして、全国に広がっていけばいいなと思います。
 若い人は、皆さん中々本を読まなくなって、スマホやゲームが中心になっているため、活字離れと言われたりしています。けれど、本当は本の著者が、苦労して作ったものがきちんと世の中に共有され、著者の考え方をしっかり皆で学んで、それを仕事や生き方に活かして欲しいと思っています。そのきっかけとして、ABDを通して、皆で読んだ後に、また自分でも本を手に入れて読むことで、活字にもっと親しんでもらいたいと思っています。

 そして、ABDをやった結果として、皆で選んで発表し対話するので、仲良くなって、仲間づくりの場が広がっていけばいいし、勉強会の場作りが比較的簡単にできます。 何かの分野、ジャンルの本を出発にして、コミュニティを作ることもできます。
 だから、ABDの流れを最初理解する必要はありますけど、本というコンテンツがあるから、そんなに難しくないです。誰かが主催したABDを体験したり、あるいは認定講座を受けたりとか、Webに公開されているマニュアルだけでも始められますね。

記者:リードされる方の色が出るので、例えば、読んでプレゼンした後の対話を大事にされる方や本の内容を大事にさる方など、同じマニュアルでもそれぞれ個性があって、参加してみて面白いなと思いました。

読書を愛するアクティブ自立人の実践コミュニティが、日本各地に増殖する一助になることを願っています。

Q2:ABDをきっかけに、全国で本の著者の生き方や考え方を活かすことで、どんな社会になって欲しいと思いますか?

竹ノ内:そこに行くといろんな捉え方があると思いますので、実りある社会を実現するために、ABDを作ったわけではないんです。けれど結果として、やはり「ティール組織」とか、 ここに置いている「人を伸ばす力」も、どれも素晴らしい本なんです。大都市はどこでも学ぶ機会が多くありますけど、地方はその機会に恵まれないので、先生がいないと学ぶことができないことが多いと思います。そういう所で、ABD読書会を開いてもらえたら、気軽に学ぶ場を自分たちで作っていくという期待は出来ると思います。
 それとやはりこれをきっかけに、ABD読書会は、自分でまとめてインプットし、アウトプットして、ダイアログをするという主体的な本との関わり方です。そこで、マニュアル内のメッセージに書いてあるんですけれども、「読書を愛するアクティブ自立人の実践コミュニティが、日本各地に増殖する一助になることを願っています。」ここが願いです。
 もちろん本を好きになってもらうこともありますし、活動的な実践コミュニティなので、学んだことをその中で実践していく、それは社内もあれば社外など、色んなコミュティがあると思います。ただ単に知識を得たということではなく、それを誰かに言われてやるのではなくて、実践に繋げることが大事だと思っています。


仲間だけの独占物にするつもりは全くなく、どんどん公開して使ってくださいという思いでやっています。

Q3:読書を愛するアクティブ 自立人の実践コミュニティが、日本各地に増殖する。これを具現化するためにどんな目標や計画を考えられていますか?

竹ノ内:この分野の事を広げるために、今は任意団体ですけど、ABD協会を作ってマニュアルを出したり、認定講座も3回ほど行っています。今年も、後2回やろうと思っています。そういう形で、皆がマニュアルだけでは中々とっつきにくかったりする人もいるので、広げていく活動をやっています。
 みんなに使って欲しいと思っていますが、具体的に目標があるかと言うとそういう目標を設定しているわけではないんです。けれど、全国で気軽にやってもらったらいいなと思っているので、マニュアルのダウンロードが出来るようにしています。日本だけでなく、英語マニュアルは世界でもダウンロードされたりしています。

記者:本は全世界で読まれるので、ABD読書会が広がれば、色んな需要がありそうでね。挿絵が入っていて、すごくわかりやすいし、気軽にダウンロードできるのはいいですね。すごく考えて作られたものだと思いました。

竹ノ内:広げるためにはマニュアルをダウンロードできないと限られた人だけになるので、仲間だけの独占物にするつもりは全くなく、どんどん公開して使ってくださいという思いでやっています。

記者:本離れしてる人でも、現代人は忙しくて、本を読む時間を作ろうと思っても、中々作れない方も多い中で、本の内容を知る良いきっかけに本当になると思いました。


使うことによって、自分なりの発見や工夫をしてもらいたいと思います。

Q4:ABDの手法を広げることで、全国で学ぶ機会を作りたい目標計画に対して、現在はどんな活動をされていますか?

竹ノ内:ABDの手法をダウンロードして、どんどん読書会を開催して下さいということかな。これでなきゃいけないということは決してないので、ファシリテーターによって、大事にしているポイントが違いますし、それはそれでいいと思っています。使うことによって、自分なりの発見や工夫をしてもらいたいと思います。
基本的には、インプットしてアウトプットした後の対話は、僕も大事にしていきたいと思っています。基本的な型はここにあるけれども、我々と一緒にやってる仲間と情報交換や意見交換しながらやり取りしたり、後は、ABD協会のメンバーもいますので、そのメンバーたちともやり取りしたり、マニュアルも1年ごとに改定し、どんどん進化させていっています。

記者:出して終わりとか一方通行なものというより、仲間と共に作り上げていることが、まさに生きたABDを実践されていらっしゃいますね。


自分でやってみて本当に楽しかったので、いいものだから広がったらいいなと思ったことががきっかけ

Q5:「読書を愛するアクティブ自立人の実践コミュニティーが、日本各地に増殖する。」その思いを持ったきっかけは、どんなことでしょうか?

竹ノ内:最初はABDを作る目的でやろうと思っていたわけではなく、元々は、嘉村賢州さんのホームズビーというNPO団体と10年以上前から仲良くしていて、その中で「人を伸ばす力」という13章で構成されている心理学の本を使った読書会を、1章ずつ毎月13ヶ月間、6、7人で集まってやりました。
 最初は輪読して、気づきを出すことをずっとやっていくうちに、読書会をしながら、後の対話をよくするにはどうしたら良いか?ということを試行錯誤していたんです。そして、半年ぐらい経った時に、みんなで本を分担して読んで、それをまとめて発表するプロセスを入れてみたらいいということを思いつきました。分担して本を読んで一旦インプットしたものを、発表でアウトプットして、それをジグソーパズルのように組み合わせていくと一枚の絵になるようなイメージです。部分、部分しかインプットして発表しないんだけど、全体をつなぎ合わせると、その章の著者が言いたいことが浮かび上がってくるんです。だから、これは面白いなということがきっかけになり、やりながら進化していき、今も進化しています。

それを最初は、仲間内でABDをやっていました。「何よりも楽しい」と、この冊子に書いてありますが、自分でやってみて本当に楽しかったので、いいものだから広がったらいいなと思ったのがきっかけです。

Q6: ABD読書会開発後に何か気づきや発見などはありましたか?

竹ノ内:ABDという手法で、色んなものを使って、読む対象にできるなと思いました。
 例えば、学校の先生などは、学習指導要領などの、政府が出している刊行物を使うのも良いですよと提案したりしています。他にも、経済産業省が発行する刊行物にも使えます。社内の課題は山ほどありますので、そのために学びのプロセスがあると思ったら使えるところは割とあると思います。
 一人では読みにくい何かをインプットする時の、最初の出発点に使ったりしています。ティール組織や7つの習慣などの話題になったビジネス書や組織開発の本だけではなく、目的が起点となってそれに合わせて、どんな分野の本でもABDの手法を使う事ができます。

記者:自分が本の内容を人に話さないといけないと思って読むと、社内資料なども向き合い方が変わりますね。教育や学びのツールとして、色んなものに使う事ができますし、可能性が広がりますね。

Q7:読者に向けて一言メッセージを頂きたいです。

竹ノ内:ABDを使って下さいということではないですが、本というのは人類の叡智が詰まった資産なので、どんどん読んで欲しいなと思っています。もちろんネットの記事もいいですが、でもその中で活字の本をもっと大切にして欲しいし、本屋さんにも出かけて欲しいと思います。
 活字の良さと言うか、正確に言うと、私はKindleも 何十冊も購入するぐらい大好きなんです。だから、絶対活字でないといけないという風に思っていませんが、ネットに流れていくのではなく、著者が書いたものが、しっかり出版社あるいは編集者が入り、編集され苦労して出てくるものは、 一定程度以上のクオリティがあり、やはり貴重なものだと思っています。 Kindleは、軽いしどこでも読めてすごく便利で、送料なしですぐに手に入ります。しかし、活字の良さというのは、この装丁や中のデザインとか、物であるということの良さは、やはりすごいなと思いますね。そして、頭にインプットするのは、活字の方が線も引けて優しいです。だからしっかり読みたいものは、やはり活字ですね。ばーっと読みたい時は、Kindleだけでも大丈夫です。私は両方を持っているものも何冊かあります。
だから、活字はやはりこれからもずっと残っていって欲しいですね。

記者:ABD読書会という新しい手法が、私たちが思っていた以上に、本当に可能性があるツールだということが、お話を伺って更に深まりました。
本日はご貴重なお話をどうもありがとうございました!

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【編集後記】インタビューの記者を担当した小畑&室岡です。
今のスマート時代は、活字離れの方もどんどん増えていく中で、このように気軽に学べて、仲間づくりが出来ることは、今の世の中にとてもあった手法だと感じました。ABD読書会が日本や世界にどんどん広がっていくことで、本に対する価値が深まり、仕事や生き方に活用される方が増えていけばいいなと感じています。さらなるご活躍を心よりお祈りしています。
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この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。

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