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【レポート⑦|テクノロジー分科会】

分科会レポート第5弾です。

今回は10月9日(日)に行われましたテクノロジー分科会の様子をご報告します!

本分科会は、 

1.前野隆司氏と吉藤健太郎(オリィ)氏のトーク

2.参加者×企業×ゲストで展開するワークショップといった内容の2部構成でした。

まず、本分科会のテーマは、

【テクノロジーは幸福をもたらすのか】

でした。

このテーマのもと約30名が集い、将来に欠かすことのできないテクノロジーについて試行錯誤しました。

(テーマ設定の背景など詳細はこちらから。https://note.mu/shinshu2030/n/n8f703400cc32


それでは、当日の大まかな内容を載せていきたいと思います、、、


ゲストトーク① 前野隆司 氏

― 私はもともと技術者でした。今は幸福学について研究しています。


まずこの一言からはじまりました。テクノロジーと心なんて、まったく正反対の方向にあるように感じませんか。そのためとても不思議な気分にさせられました。


― なぜこのように技術者から幸福学を研究することになったか。もともとはキャノンに勤めていました。まず、学生の頃はみなロボットを作りたがりますよね。そのうち、AIを作りたくなり、そしてロボットの心のことまで考え始めた。そしてそのうちに…人間の心について考え始めるようになったのです。私は幸せの研究をして、すべてどうすれば幸せになれるのかわかっちゃったので、私は幸せです。(笑)



とてもユーモアのある方です。



― 昔はアトムとかドラえもんが好きだった人はたくさんいました。しかし技術は科学とは違う。技術は、世の中で必要なモノを作る仕事である。例えば、超音波モニター、カメラ、超音波モーターをつかった高速ロボットハンド。技術者だったころは形状記憶合金を用いた小型ロボットハンドも作りました。人の手の3分の1サイズなので、細かい手術などに使えます。実はもう燃えちゃったから残っていないのだけど(笑)

― 大学は最先端ですごいところだけれど、それを作ってから実用化するまでが大変。アンドロイドで有名な石黒先生と共同でリアルなロボットを作っていました。けどやっぱり心の研究をしたくなった。



― それから、幸福学の研究をするようになって、あの脳科学者の茂木健一郎さんに対抗して本を書きました。

 「脳はなぜ 心 を作ったのか」

茂木さんに対抗して書いたと思っていたら、茂木さんから「すごい本だ!」のお言葉をいただいていしまいました。(笑)

人間というものをロボットがものすごくリアルになったものだと考える。すると、ロボットに心を持たせるのは簡単だ。人間は騙されて生きている。ならば、ロボットも騙せばいい。という内容。

この本にはいろんな意見をいただきました。

たとえば、「この本はおかしい」「すごいことを言っている」「前野が言っていることは、釈迦と同じだ」とか。釈迦とは、つまり、無心。心がないということを悟ること。



人間がロボットを作るのではなくて、リアルなロボットが人間??

こんな発想は初めてです。



― 倫理学は「すべきでない」だけではない。哲学のなかの倫理学では、「すべき」の学問もある。前者を「予防倫理」といい、後者を「志の倫理学(志向倫理)」という。私は、消極的・内向きな「予防倫理」でなく、積極的・外向きなハッピーな方をやりたい。

時々、前野さんはハッピーなお花畑な先生になったんだ、と言われるがそうじゃない。(笑)「幸せ」には設計図がある。カメラの設計図と同じです。一人一人違った幸せになるための設計図を作ること。まちづくりもそう。お花畑のふわふわ幸せを作るのではなくて、何が必要か、と考えること。

テクノロジーのちからも、幸せに必要なのです。

技術と言えば心、心といえば幸せ。わらしべ長者のような発想です。これをすると決めて極めてここまで来たわけではないが、しかし、これが私の人生です。



― アメリカでもこの幸福学の研究が流行っていて、幸せな従業員ほどよく働くそうです。

・金物地位の財政型の幸せ = 長続きしない!

・非地位財産型の幸せ = 長続きする!



― ここで幸せになるための心的要因を。

①自己実現と成長(やってみよう)

②つながりと感謝(ありがとう)

→友達が多い人には幸せな人が多い。ただ、いろんな分野の繋がりを持つべき。ただFacebookの友達を増やすみたいなことではなくて、外に出ていく。外に出ていかないと友達はできない。友達ができないと引きこもる。バリバリやっているけど、感謝しない人は幸せ度が低いのです。

③前向きと楽観(なんとかなる)

→「ここがダメだった」と思わない。

④独立とマイペース(あなたらしく)



幸せは、自分の設計図と向き合い方次第なのかもしれない…と思いました。ありがとうございました。




ゲストトーク②吉藤健太郎(オリィ)氏

オリィ研究所所長の吉藤健太郎氏は、「オリィ」さんと呼ばれています。ブラックジャックのようなコートを羽織ったオリィさんと一緒に登場したのは、白い体をしたロボットOriHime。



― ロボットを作るのは、簡単なこと!大事なのは技術を磨くことじゃない、常に考えること。

僕はもともと体が悪かった。入院することもあり、引きこもっていた。ずっと天井を見て過ごす。辛った。誰とも会わず、自分はいなくてもいいと思った。そうして暗い時間を過ごす中で、自分の車いすを作りたくて、工業高校へ。だって、車いすってダサいじゃないですか。オープンカーみたいな車いすだったら、どうですか?

そして作りました。

そうしたら、いろんなところから表彰されて、海外の工業系の高校生と一緒に話す機会もあった。すると彼らはこういった、「自分の人生、これをずっとやっていくつもりだ。」

それを聞いて、「自分はずっとモノづくりをやるのか…?」と思った。

地元 奈良県に帰ったら、知事にも表彰されて始球式を任された。すると奈良県中に自分の名前が知れ渡る。あんな車いすが作れるなら、こんなものも作れるんじゃない?といっていくつかの注文も来た。

そんな中で、孤独やうつの問題をどうにか扱いたかった。入院しているときの自分は、社会のお荷物だと思っていた。本当に暗くて、辛かった。そんな過去を思うと、何とかしたかった。

ロボットセラピーはどうだろうか。

ロボットセラピーを受けた人たちの答えは、「幸せ。」だった。

そして僕は、人工知能で幸せを作ろうとした、が。



― 結果:ロボットは幸せをもたらすことが出来ない。

そして、せっかく入った高専を1年で辞め、早稲田大学へ。

そして僕は何をしたかというと、パントマイムの師匠に弟子入り。(ここでパントマイムを披露し会場が沸きました!)

パントマイムから何が学べるか。動きではない。見る人がイメージすることを学ぶために弟子入りしました。

― 大学に入ったはいいもの、やりたい研究室がない。じゃあつくろう、オリィ研究室。

こうしてオリィ研究室が出来ました。


― ここで、OriHimeと話してみましょう…。

オリィさんが「OriHime!」と話しかけると、返事が返ってくる。しっかりオリィさんと目も合わせ、会場の様子も見渡している…。みなさんも興味津々でその様子を見ていました。

― コーンピュータが動かしていると思いますか?

答えは、コンピュータがOriHimeを動かしているんじゃない。

実は、人が裏で動かしてる。紹介します、パートナー・社員の番田さん。彼は22年間病院のベッドで入院中です。ベッドの上から操作していて、カメラを通してこちらを見ていて、会話もできる。


― これは、人工知能ではない。分身である。

OriHimeがいれば、たとえどんな状況であっても人に会いに行ける。話すことが出来る。ベッドに寝ていて動けなくても、番田さんと僕のように一緒に働くことが出来る。ケガや病気で友達の結婚式に行けなくても、OriHimeがいれば一緒に式を楽しめる。

OriHimeでつながることで、寂しい思いをする人がいなくなる。

遠く離れていても、OriHimeがいればまるでそこにいるかのように、大切な人との時間を過ごすことが出来る。


トークが終わり片づけをなさっていた時、オリィさんがOriHime(番田さん)に「今日の体調はどう?お疲れ様、ありがとう。」と話しをしている姿が忘れられません。


ワークショップ

オープンスペーステクノロジーという手法を使い、それぞれの問いを考えていきました。

・分身ロボットが、いろんなところにいけるようにすればどうだろう。

・スマホが普及して、そとでせっかく出会ったのに、肩がぶつかるだけ。それって、もったいない。

・AIと人間の違いがわからない。

・どこまでAIが、どこまで人間が担うかを決めることができれば。


ゲストトークに刺激を受け、たくさんの思いが溢れていました。


分科会担当者の感想

テクノロジー分科会担当の赤澤です。

感想を一言で言うならば、ゲストの話がほんとに良かったあああ!オリィさんのトークのときなんか軽く涙目でした。参加者の方からも、テクノロジー分科会ほんと良かったよとか、1日目よりよかったよとか(笑)

そして、自分自身この分科会の準備から本番まで携わることができてほんと良かったです。実行委員自体2年目なんですが、今年はコアな内容だった分、準備も去年よりパワーアップしていた気がします。

最後に、この分科会での出会い・経験・想いを未来の自分に繋げてもらいたいです。それができてはじめてこの分科会が成功だったと言えるんだと思います。



(文責:田村・赤澤)

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