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私がアクセンチュアを辞めた理由

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こんにちは、阿部です。

私は2017年8月にアクセンチュア戦略コンサルティング本部に新卒で入社し、1年3ヵ月後の2018年10月末に当社を退社しました。

今回の記事では、私がアクセンチュアを辞めた理由について書こうと思います。

余談ですが、アクセンチュアを退社してから1年、本当に色々な経験をしました。ベトナムの不動産ファンドで2カ月間働いたり、ドイツやイタリアのフィットネス見本市に行って世界最先端のフィットネス・ソリューションの視察をしたり、会社を立ち上げたり、Abema TVに生出演したり(笑)本当に、色々やりました。

その全てで、アクセンチュアで学んだことが活きています。私は新卒でアクセンチュアに入社して、本当に良かったと思っています。就職活動中の学生さんや転職を考えておられる社会人の方々には、OBとして自信を持ってお勧めできる会社です。私は今でもアクセンチュアが大好きです。

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私がアクセンチュアを辞めた理由

私がアクセンチュアを辞めた理由は、社会人として働いているうちに「現代社会に対する極めて内発的な疑問」が沸き上がり、その疑問をアクセンチュアでは解消することができないと思ったからです。

私の考えでは、現代資本主義の中で先進国とされる国々において、「経済的な豊かさ」によって実現される幸福は飽和状態にあり、また過度な競争により国民の心身が疲弊して、社会全体の「満足感」は減少傾向にあると見ています。

(はい、そうです。哲学の話です。コンサルの業務内容とか、労働時間とかを知りたかった読者様、すいません。そういう話は一切出てこないです)

非常に抽象的な議論で分かり難いと思うので、元コンサルらしく、図解します。下の図をご覧ください。

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上記図中の「経済的な豊かさ」(ヨコ軸)とは、貨幣を通じて交換可能な商品・サービスにより得られる物質的な豊かさのことです。

同じく図中の「満足感の全量」(タテ軸)とは、ある社会における人々の幸福の総和のことです。私が功利主義者だという誤解を恐れずに言うと、政治哲学者ジェレミー・ベンサムの有名な言葉、"最大多数の最大幸福"が対象とする幸福(Utility)が、私の言う「満足感の全量」の"満足感"である理解して頂いて結構です。

つまり、❶「経済的な豊かさ」が一定レベルを超えた時点で、社会の「満足感の全量」は飽和状態となり、❷過度な経済成長の追求によって激化する競争が、人々の心身を蝕み「満足感の全量」を減少させる、ということです。

例えば、Appleは毎年新型のiPhoneを出しますね。最近ではAirPods Proが発表されて、AirPodsヘビーユーザー(2台保有)の私は目がハートになっています。私はApple製品が大好きです。でも今のAppleって、本当の意味で世の中をよりよくしているんでしょうか?最近私がハマっている、Amazon Primeの大人気ドラマシリーズ「シリコンバレー」に出てくるキャラクターはよく、「We make the world better place! ~我々は世界をより良い場所にするんだ!~」と言いますが、彼らのサービス/プロダクトは本当に世界を良くするのでしょうか?

私は、NOだと思います(先進国の話です)。私は、彼らが開発する多くのサービスやプロダクトが、先進諸国における「満足感の全量」の拡大に寄与していると考えていません。

なぜなら、人間の価値観は相対的だからです。相対的な価値観とは、”隣の誰かと比べて自分がどうか”という思考様式のことです。人間は、いくら素晴らしい商品やサービスを手に入れようと、”隣のだれか”が同じかそれ以上の価値を享受していると、自分が恵まれていることに気づけないのです。

例えば、今から5年前の2014年、iPhone 6は最新モデルでした。衝撃的な軽さと薄さ、圧倒的な解像度を有するRetina ディスプレイ、当時世界最速CPU搭載。iPhone 6は当時、誰もがあこがれる最新デバイスでした。しかし2019年の今、ある人がiPhone 6の新品をメルカリで購入したとしましょう。iPhone 6は素晴らしいデバイスです。でもきっと彼らは、友人が持っているiPhone 11 Proと自分のiPhone 6を比べてしまい、iPhone 6をロースペックの型落ちデバイスだと思うことでしょう。

ここで私が何を言いたいのは、Appleが世界をよりよい場所にしようと発表したiPhone 11 Proは、それを購入したユーザーの一時的な「満足感」の上昇と同時に、旧モデルユーザーの「満足感」を減少させており、今後Appleがよりよい製品を世に送り出し続けようと、社会の「満足感の全量」が増えることはない、ということです。

"人が欲しがるものを作り続ける"という、20世紀に大成功した資本主義の仕組みですが、一定の「経済的豊かさ」を実現した先進諸国においては、社会の「満足感の全量」の増加を実現するシステムとして不十分なのです。むしろ、市場のイデオロギーに毒され、過度な競争的精神に侵されてしまった人々は、人生そのものを相対的な価値観に支配され、不幸な人生を送るという結末をもたらします。一定レベル以上の「経済的豊かさ」を手に入れた現在の世界において、資本主義の文化は、社会の「満足感の全量」を減少させる悪しき政治となっていると、私は考えています。

私は、特にアクセンチュアでコネクテッド・カーのプロジェクトに携わっていたときに、この思想を強く深めました。確かにクルマがインターネットに繋がればユーザーとしては色々便利ですし、自動車会社もそのデータを使って色々な戦略を練ることができるのでしょうが、このイノベーションの結末が、社会の「満足感の全量」の増加に寄与すると信じることができませんでした。きっと、コネクテッドなのが当たり前になるだけです。そんなことのために深夜まで働くのが、本当に苦痛でした。

長々と語ってしまいましたが、最後に一文でシャープに締めます。私がアクセンチュアを辞めた理由は、アクセンチュアの存在意義は、"人が欲しがるものを作り続ける"組織・会社を支援することであり、前述の「現代社会に対する内発的な疑問」が解消されない限りにおいて、自分の心が仕事についてこないからです。まあ、High PerformanceをDeliverする意味を問うてしまったんですね(笑)コンサルタントとして終わりですよ。

コンサルタントとして終わったので、阿部は起業しました。「現代社会に対する内発的な疑問」と本気で向き合って、今事業を作っています。私の事業、社会の「満足感の全量」を増加させるビジネスモデルについては、またいつかnoteで書こうと思います。当記事『私がアクセンチュアを辞めた理由』が面白かったと思った人、いいねしてください。次の記事を書くモチベーションに繋がります。

ご精読、誠にありがとうございました。

阿部

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FIT Trading株式会社 代表取締役 阿部信太郎

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