つながる前に、私に立ち戻る
ここ数年「つながり」というキーワードがブームだ。
東日本大震災のあとには、絆、ひとつになろう、和といったように、ことさら強調されてきたように思う。災害の情報を知るためにSNSが広く活用された。
実際、つながることで気持ちが救われた人もいっぱいいると思う。孤独は辛い。他の人のぬくもりが恋しいという気持ちは、誰しも当たり前に持っているものだと思う。
しかし、つながることで新しい問題も生まれている。特に怖いなぁと思うのは、ネット上のつながり。
2016年のアメリカ大統領選挙では多くのフェイクニュースがシェアされた。「ローマ法王がトランプ支持を公式に表明した」「民主党候補のヒラリー・クリントンは、テロ組織IS(自称イスラム国)に武器を売却した」「クリントンは、トランプが勝った場合には内戦を始めるつもりだ」これらはすべてフェイクニュースだけど、これらを真実と信じた人々が、次々と情報を拡散。理由はいろいろあるにせよ、結果的にはトランプ大統領が生まれた。
日本における性被害を告発する#Metoo運動のきっかけをつくった伊藤詩織さんは、インターネット上で批判や脅迫にさらされた。現在は、身の危険を感じ、2017年7月からロンドンで暮らしているそうだ。
SNSによって同じ価値観の人が簡単につながることができるようになった。そうすると「自分がシェアしたいと思うニュース」が、人から人へ、次々にシェアされていきます。それがフェイクニュースだろうと、誰かを傷つけるような言葉だろうと、お構いないしに…。
結局のところ、『個』のビジョンが誰かを不幸にするものであれば、誰かを不幸にする『つながり』が生まれる。
「つながり」ブームとは、一体何だったのか、僕たちはもう一度、よく考えなければならないと思う。
つながる前にちょっと落ち着きましょうよって。そもそも、私達が、考えていること、実行していることって、どうなんだっけ?誰かを不幸にしてないんだっけ?と、立ち止まったほうがいいんじゃないかと。
自分と価値観の合う人たちが周りにいるのは心地よい。でも、大きな流れに抗えないときがある。仲間と一緒にいたいから「自分は違うかも」と思っても言い出せないときもある。信用している人が言っているなら真実だろうと、フェイクニュースを信じ込んでしまうかもしれない。
そうならないために、まずは自分について考えてみようって思っている。自分が感じているもの、考えていることは、誰かを傷ついていないか思いを巡らせてみようって。
そうやって自立した個人がつながることで、ようやく「つながる」ことに意味があるのではないか。僕たちは、まだつながっていいほど、成熟してないんじゃないだろうか。
将来的に「フェスティバルウェルビーイング」の本を書きたいと思っています。そのために、いろんなフェスに行ってみたい。いろんな音楽に触れてみたい。いろんな本を読みたい。そんな将来に向けての資金にさせていただきます。