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行きたいところに、歩けばいい。#読みたいことを書けばいい、書評

3連休の予定がなくなってしまい、突然ではあるが、熱海に来ることにした。

熱海でゆっくりと本でも読もうと思って『読みたいことを、書けばいい。』という話題の本を買ってきた。元電通のクリエイティブで、失業(退職)し無職となっている方の本。twitterで大変話題になっていたのだが、ついに重い腰を上げて読むことにした。

と、思ったのだが、あまりに読みやすく、熱海に着く前に快速電車の中で読み終えてしまった。3連休もまだ初日、熱海に持ってきた本はこれ1冊。どうしてくれるのだ。1500円の本を読み終わる時間としては、自己ベストだったかとしれない。時間だけで言えば、非常に割高だ。

しかし、「文章を書く」ということの概念が大きく変わった、価値ある本だった。


まさに、読みたいことを書けばいい

本書で伝えていること、それはタイトルのとおり「読みたいことを、書けばいい」ということ。

ネット検索で「twitter フォロワー 増やす 方法」「ブログ PV コツ」など検索すると、必ず「ターゲットを定めたり、その気持ちを想像して書くように」と言われてる。しかしまず一番大切なのは、読み手である自分が面白いと思うことを書こう、ということだった。

これは当たり前に聞こえるかもしれない。しかし往々にしてやりがちなのが「書きたいことを、書いてしまう」ということではないか。筆者も「自分の内面を語る文章はつまらない」と述べている。「暑い」とか「疲れた」などしか言わない人の話は、たしかにつまらないし、自分が読み手だったら読みたくない。


物書きは、99%以上が「調べる」こと

自分の内面にあることはつまらない。だとすると、自分の外にあることしか、おもしろいはない。それも、多くの人が書いていたり、知っていたらすることでは価値がない。

だからこそ、調べられるものを調べることがスタート地点。できるだけ、一次情報にあたることが望ましく、特におすすめなのが図書館だそうだ。

その上で、自分が好きだ!と心が動いた部分について書く。その動いた部分についてさらに調べ、心が動いたその感動へ順を追って読む人を誘導する。

そして最後に、筆者としての想いや意見を1%添える。たった1%で、残りは調べること。それくらい、書く上で、調べることの割合は大きい。


読んでみて「書くことは歩くことと似ている」

本書に書かれていることは、とてもシンプルだ。
ある事象に対し、自分の心が動くところ、自分が読み手なら読みたいところを見つけ、その心が動いたプロセスを過不足なく書き、誘導する。それだけだ。これだけだ。

右足を出して、左足を出すと、歩ける。というくらい当たり前、いやわかりやすいことだ。この本を読めば、ほとんどの人が書き手として歩けるようになる。

しかし、ただ歩くのではなく、読んだ人の心を動かす、おもしろい、価値のある文章にしようと思うと、その道のりは果てしない。筆者が調べるという行動をどれだけやっているか、書く前にどれだけの名著を読んでいるかを知ると、書くことと、伝わることに何千里もの距離があるのかと、恐ろしくなってくる。


感じたこと「恐れるな。全て一歩から始まる」

書くことが返って壮大なものに思えてしまったのだが、ふと思った。この感覚は、書くことだけに限ったことではない。

新入社員の頃、10年目の先輩のようになるには果てしない時間がかかると思って、恐ろしく感じた。しかし今、気づけば社会人11年目になっている。

部活だってそうだ。僕は野球を小3〜大1くらいまで続けていたので、これも11年ほどやったことになる。

新入社員のころ、部活を始めたころ。「果てしない」と、同じように思った日があるはずだ。書く、ということだけが、特別に難しかったり、果てしない道のりなわけではない。だれもが、上達を意識しながら日々続けることで、「伝わる」ようになれるのだと感じた。

歩き続けるだけでは辛い。だから、他の誰でもなく、読む自分が楽しくなる文章を書くことが大事なのだろう。歩くことを自分が楽しくなるように、自分の行きたいところに向かうように。


第一歩は、この本で踏み出そう

全く調べたりない、内面の割合が25%ありそうな文章だが、まず一歩目をここに記したい。

そして、一歩目を踏み出すために、ぜひこの本を読んでみてほしい。

わざわざ遠出などしなくても、電車に乗っている間に、すぐ読み終わるはずだ。









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