ツールは人が主体的に使うこと

世の中にツールは溢れているが、そのうち本当に使われているのはどれだけか

「ツールをいろいろ導入しているがあまり使えていない」という声はよく聞く。毎月何十万、何百万あるいはそれ以上の料金を払っているにも関わらず最低限の機能で定期レポートを作っているだけだったり、時には放置されていたりする。

これはツールに対して本来するべきではない過度な期待していたり、ツールの役割を勘違いしていることから起きる。では、どういった勘違いがあるか。

ツールの役割に対する勘違い

根本には「ツールを導入したら何とかなる」という勘違いがあるようだ。そんなわけはないのだが、なぜかそう思ってしまうらしい。

「ツールを導入しただけでは何ともならない」と言ってしまえば話は終わりなのだが、それではあんまりなのでもう少し掘り下げてみると、次のような勘違いの積み重ねなのではないだろうか。

  • ツールは目的を決めてくれない

  • ツールは分析してくれない

  • ツールは意思決定してくれない

  • ツールは実行してくれない

ツールは目的を決めてくれない

目的は人が決めなければならない。ツールを導入したところでちゃんとした目的は決まらないし見つからない。目的が無ければツールから出てくる数値を見て雑談はできても意思決定には繋がらない。目的無きデータ分析は無駄である

もしツールが正しい目的を見つけられるなら大量の失業者が出ているはずだがそうはなっていないことからも夢物語であることがわかる。

ツールは分析してくれない

ツールから出てくるのは事前に決められたルールに乗っ取って集計された数値であったり、データを様々な切り口で見た事実であり分析ではない。少なくとも洞察は行われていない。

示唆を出してくれると言っているツールもあるが、あなたの企業の個別の事情(ビジネスの内容、様々な課題へ対応する優先度、人的リソース、予算その他もろもろ)を考慮しているわけではない。一般的な傾向はつかめるとしても、それはあなたの意思決定にそのまま使えるとは限らない。つまりデータでありインテリジェンスではない。

技術が進化したら、過去のコミュニケーションも全部取り込んだ上でそれなりの結果を出してくる可能性はあるがそれは今のツールではできない。多くは他の企業のデータと比較して良し悪しを提示しているものだ。無いよりかはましでも、鵜呑みにしてはいけない。ヒントにするぐらいでちょうどいい。

ツールは意思決定してくれない

データをツールで処理した結果を自動的に反映するようにシステムに組み込めば意思決定しているようには見えるがそれは意思決定ではない。「結果を自動的に反映する」という意思決定も行うのはツールではなく人である。

ツールは実行してくれない

どんなに素晴らしいアイデアでも、そのツールが実行してくれることはない。意思決定と同様に「自動的に実行するような仕組みを作ること」は実行してくれない。

人間なら丸投げしてもうまくやってくれるかもしれないし、あるいはうまくやっているように見せかけてくれるかもしれない。しかしツールは自発的には何もしない。

主体性が無ければツールはうまく使えない

ツールはうまく使えば役に立つが、うまく使うためには人が主体性を持って動かさなければならない。

もし導入したツールがうまく使えていないと感じたら、今回挙げた勘違いをしていないか確かめてみるといいいだろう。もし当てはまらないなら、そのツールが目的に合っていないか要求を満たしていない。別のツールや手段を探そう。

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