びんばっちゃまと妖精ちゃん18

コマチちゃんは自転車の前と後ろに子供を乗せ保育園に預けてから職場に行きます
コマチちゃんの頑張りで生活は少し楽になりました
5丁目の家には小さな庭がありました
一人息子は庭にビニールハウスを作りました
女の子はまったく興味がありません
女の子はナスビが嫌いでした
食卓にはいつもナスビが出てきて泣きたい気持ちでした
ある時からナスビとトマトが出てこなくなり女の子は喜んでいました
その頃、一人息子は静かにビニールハウスを解体しました
女の子は知りませんでした 嫌いなナスビも固いトマトも庭のビニールハウスで出来ていたものだと

コマチちゃんは5人兄妹の末っ子でみんなに可愛がられて育ったので優しい心をもってlましたが、少しわがままで甘えん坊でもありました
寂しくなるとお兄さんの家族に会いたくなります
コマチちゃんは、子供達を自転車に乗せてお兄さん家族が住む新海町に行きます
新海町は葉っぱ島から働きに出て来た人が家族をつくって暮らしていました
そこには広場がありました 沢山の四角い家がぐるりと周りを囲んでいます
夏の日は広場に大きなヤグラが立ち盆踊り会場になります
広場の横には大きな銭湯があります
広い洗濯場もありました 女の子は洗濯場で大きな固い織物を洗っている人を見ました
これが女の子が初めてみた絨毯でした
コマチちゃんはお兄さんの家で過ごす時、よく笑いました
子供達も笑いました
コマチちゃんと子供達はお兄さんとお兄さんの奥さんにとても可愛がられました
ナビちゃんとヤス君とてっちゃんと、りちゃんと兄妹のように育ちました

ナビちゃんが大人になったころアンマーがいなくなりました
みんな みんな泣きました

ナビちゃんは広場の東側に住んでいるマニュヤカのお嫁さんになって隣り町に行ってしまいました
ヤス君もてっちゃんもりっちゃんもみんな大人になって隣り町に行ってしまいました

お兄さんとお兄さんの奥さんは船町にお引越ししました
そこにもコマチちゃんは自転車で行きました
悲しいときも行きました 悔しいときも行きました
お兄さん達はコマチちゃんのお父さんとお母さんのようでした

一人息子を嫌いになった時も、お兄さんの家に行きました
一人息子は後を追いかけて行きました
ごめんなさい が言えなくて玄関前にずっと立っていました
その一人息子の後、暗い夜道を女の子はそっとついて行きました

女の子が「後を追いかけるけん ハジメちゃんは待とって 留守番できるね?」
まだ小さいハジメちゃんは力強く「うん 大丈夫やけん」
女の子は思いました

(私たち まだ子どもだよ 私たちを忘れないで)

コマチちゃんは新しい布団を買いました
夜中に水を飲むための水差しも買いました
コマチちゃんはとても緊張しています
一人息子は女の子を連れて空港に行きました
大きなおじいさんが立っていました

おじいさんは一人息子をチラッと見て、女の子に話しかけました
「こんにちは あんたがマニュね」
一人息子は緊張していました

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