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沖縄旅、爺との出逢い


初沖縄。

山が好きだから沖縄のビーチなどにあまり魅力を感じていなかったが、47都道府県制覇のために行くことに。

飛行機の着陸前、水色の海と沖縄本島が見えた時はさすがに感動した。ついにこんな遠くまで来たか、と。


初日だけ天気が悪いから、今日はゆっくりしようと決めた。

みんなと同じように、空港からゆいレールに乗り国際通りへ。

那覇市役所
沖縄の建築家、国場幸房作(2012年)

国際通り


友人の話や、旅行系YouTubeなどで沖縄の話を聞くことが多かったため、国際通りを見てもあまり感動しなかった。

たまたま見つけた「市場の古本屋 ウララ」に立ち寄る。店員は作家さんらしい。

沖縄関連の本を揃える
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昼時でお腹が空いたが、噂で聞いてた通り、国際通りの飲食店は観光地価格。

しかし、脇道に入ると、昔の商店街が続いている。こっちなら安いかも?と思い、散策。

案の定、安いサーターアンダギーだけ買い、今日のお目当て、沖縄県立博物館へ。

沖縄県立博物館

新しい土地に行くと、ついこういう歴史資料館的なの行ってしまう。

予想通り、琉球として中国との繋がりに関しての資料多め。本土とは全く異なる歴史を歩んでる。
戦後の米軍についてはあまり言及されてなかった。まだ過去の問題っていう認識じゃないからかな。


神戸2泊、飛騨高山2泊と連日旅で、今日で旅7日目。さすがに疲れてしまったので、宿で寝ることに。

レステル那覇

ここ、結構良かった。
確か2000円ぴったりくらい。商店街の中にあるからアクセス良い。

併設されたカフェには行ってないけど、通ると店員さんが笑顔で挨拶してくれる。

共有スペース

2時間ほど仮眠。起きると20時半。

今日はまだサーターアンダギーしか食べてない。腰は重いけど、宿を出る。


名物で小腹満たすくらいでいいのだが、中々そういう店が見つからない。
高いか、量がガッツリなのだ。

すると、5品で1000円という居酒屋があったので、ここに決めた。

居酒屋 ヤシの木広場

店に入ると、店員に「1人?どこでも大丈夫ですよ。みんな1人だから」と言われる。

ん??

店内には5人座っていて、全員で話している。自分が入ると全員がこっちを見る。

こんな感じ


手前の席に恐る恐る座る。

隣席のおばちゃんに

「あら〜!若いわね!食べちゃいたい!」

この店を選んだことを後悔した。
疲れてて1人でササっと食べられると思ってて来たのに。

たまに絡まれ、たまに他の人達だけで盛り上がり、早く出たいなーと思いつつ食べる。

全部で1000円
美味しい

しかし話を聞いてる感じ、悪い人たちではなさそう。


30分くらいすると、おばちゃんとカップルが帰った。
自分もそろそろ帰ろうかなーと思ってると、隣のお爺が話しかけてきた。

「今何やってるの?」

と聞かれたので、仕事辞めたと言うと

「お休みしてるのね」

この反応で、何となく救われたような気持ちになった。
というのも、無職なことに僅かに引け目を感じていたからだ。お休みという言葉が、広い心で受け入れてくれたような心持ちになった。


先に結論を述べると、この人はただ者じゃなかった。


「明日はどこ行くの?」

と聞かれ、決まってないと言うと、

「友達と八重岳行くんだけど、一緒に来るか?」


行くに決まってる。これこそ旅の醍醐味じゃないか。鼓動が早くなるのを感じた。


そうと決まれば今日は早く寝て、明日に備えよう。そのおじさんと会計を済ませ、解散。

なんだ、この店を選んで良かった。
明日が楽しみだ。


2日目

時刻は8時半、美栄橋駅で合流。

助手席にお邪魔して、いざ出発。
緊張とワクワクが4:6くらい。昨晩は勢いで「行きます!」と言ってしまったが、翌日シラフで会うと少し緊張。
でも彼は昨日と同じテンションで話してくれる。

お爺は大阪出身で73歳。沖縄には2か月に1回遊びに来てるらしい。

「若い頃は鳥取の大山とか北岳とか登ってて…」

え?

自分は登山が好きなので分かるが、北岳(3193m)は日本で2番目に高い山。もしかしてすごい人なのでは。

しばらく山の話で盛り上がる。

「山の途中の地蔵さんに、たまにお酒とか置いてあるやろ?若い頃あれ勝手に飲んでたりしたわ!」

この人大丈夫か?でもめっちゃ笑った。


助手席に乗っていると、元タクシードライバーだからか、どうしてもお爺の運転が気になってしまう。

合流の時スピードが遅かったり、少しフラついたりしていたので、

「東京でタクシー運転手やってたので、良かったら運転代わりましょうか?」

と言うと、「助かる!」というので、あとで交代することに。

タクシーやってたって言ってそんな喜んでもらうの初めてだよ。


10分ほどで、お爺の友達との集合場所に着いた。

ここで運転交代

お爺の友達は島袋さん(71)というおばちゃんで、生粋の沖縄の人。お爺とは50年以上の付き合いがあるみたい。

運転手:自分
助手席:お爺(73)
後部席:島袋さん(71)

側から見たらおじいちゃんおばあちゃんと孫のドライブ。


目的の八重岳まで80km。2人の出逢いや、沖縄での思い出話を聞きながら、癖で高速をブッ飛ばす。

高速の終点、許田で降りて、マックで朝食を食べる。

自分の分を払おうとすると、お爺が奢ってくれた。また、島袋さんがナゲット5個が食べきれず、「私お腹いっぱいだから食べな?」といって3つもらった。本当の孫みたいな扱い。

運転を再開し、目的の八重岳に到着。


八重岳

山といっても、駐車場が上の方にあるので徒歩20分ほどで山頂に行ける。

八重岳は桜が有名らしい。
驚いたのだが、沖縄の桜は1月末〜で、この日は1/11。年明けだがもう春を感じる。

2人は「この景色見るのも人生で最期か」と冗談を言い、自分が「やめて下さいよ!」というやり取りを何回かした。


「ここまで来たら、美ら海水族館行った方が良いんじゃない?」と言われ、せっかくだからいくことに。

美ら海水族館

2人は何回か行ったことがあるので、ここで一旦解散。

いや名前
世界初の長期飼育成功
ジンベエザメとナンヨウマンタ
暗闇で光る魚

水族館は結構行ったが、ここは内地ではあまりいない魚が多くて楽しかった。

沖縄返還後7年後の1979年できた水族館。
当時は世界最大の水槽であり、これもまた那覇市役所と同じ国場幸房の作品である。

水族館を出た後も、絶景が目を楽しませてくれる。

見終わったと連絡し、2人と合流。
移動はお喋りして、見たい場所では各々自由行動する。良いな、この自由な感じ。

お爺は水族館で働いたことがあるらしく、ワニの世話は大変だったと話してくれた。

「他の動物は懐いてくれるんだけどな、ワニだけはどれだけ懐いても油断すると噛み殺されんねん!」

と、笑顔で話していた。


せっかく北部に来たので、古宇利島へ。

古宇利は人類発祥の地らしい。

それはともかく、ここでランチ。

しらさ食堂

海鮮丼もご馳走になってしまった。
味もロケーションも最高。みんなが沖縄好きなのをようやく理解してきた。
東京ではこんな青い海見ながらご飯は食べられない。

3月から日本一周するつもりだと言うと、お爺も同い年くらいの頃、電車で日本一周したと話してくれた。なんか嬉しかった。
また、ヒッチハイクする側と乗せる側で日本一周もしたことあるらしい。どういうこと?


もう15時半くらいなので、そろそろ南下することに。

万座毛

運転すること30分、万座毛に到着。

入口には2020年にできた綺麗な施設があり、2人は例の如く来たことがあり、解散。
ここは正直日本のどこでも見られる景色なのと、あまりに観光地化されていて感動しなかった。カメラのシャッター音と大量の外国人が撮りあってて落ち着かない。

入口の施設に戻ると、お爺と店員さんが話していた。2020年以前にこの辺で働いてた人で、知り合いらしい。この人は顔が広いなぁ。


夕陽を見に再び移動。

真栄田岬と残波岬

お爺はよくここで友達とテント張って遊んだり、サザエを採って食べていたらしい。
今は駐車場ができており、
「ここでテント張ったらホームレスやと思われるな!」と、景色の変化を少し悲しんでるような様子だった。
70年生きてたら思い出の場所も変わっていくよな。

すぐ近くに体験王国むら咲むらという施設があり、期間限定でイベントをやっている。

琉球ランタンフェスティバル

入場料が1800円。めっちゃ迷ったが、沖縄に滅多に来ないし奮発して1人で行くことに。2人は土産売り場で待機。

綺麗だけどちょい高かったな。
お祭り気分が味わえたから良しとしよう。

最後に夕飯を食べて解散。

大木海産物レストラン

魚の唐揚げ

これを食べたら解散だと思うと、少し寂しい。お爺はともかく、島袋さんには連れ回してしまって申し訳なかった。
東京から来た赤の他人に、孫のように接してくれてありがとう。

お爺もご飯全部奢ってくれて、車も出してくれてありがとう。


ゲストハウス でぃんがーら

21時到着。ほんとはチェックイン19時までみたいだったけど、優しく迎えてくれた。ご主人は見た目は反社、中身は優しい。

リビングでは飲み会をやってて、ご主人は良かったらどうぞと言ってくれたが、みんな30代以上っぽくて、勇気出ずに先に寝てしまった。まだまだ消極的だなぁ。


3日目

朝日が見たかったため、7時にチェックアウト。
ゲストハウスのすぐ横に米軍基地があったのだが、ここは静かだった。

鳥居の奥に米軍基地
朝の静寂、綺麗

目的地は徒歩40分。
昨日の思い出を振り返りながら歩く。そういやお爺は嘉手納基地で掃除のバイトしてたらしい。何者なんだろうか。

泊城公園

朝食
バナナは島袋さんに貰った

岩が出っ張った所で、270°海。道路からも離れているので、聞こえるのは波の音だけ。

沖縄が舞台

あまりにも居心地が良いので、昨日ウララで買った小説を読み、1時間ほどのんびりした。

ここから58号線を歩くこと14km、次の目的地へ。

嘉手納飛行場の端から端まで歩いたが、基地が思ったよりでかい。
中ではサングラスを付けて、汗をかきながらランニングしてるアメリカ人を2人見かけた。この人らは”オキナワ”をどう捉えているんだろうな、と思いながらひたすら歩く。

中城城跡

高校の世界史で習ったグスク。ずっと気になってたので、ワクワクしながら向かう。

ペリーも訪れ、土木技術の高さに驚いた
というエピソードがある

言葉に表せない。厳かな雰囲気が当時のまま残っている、この空気に感動した。
石が崩れているところが、かえって昔への想像を掻き立てる。どうかここは「修復」せずに、このボロボロのまま残っていて欲しい。

第一印象はゼルダの伝説のハイラル平原。

ここの雰囲気が好きすぎて、またしても日陰に腰掛けて、しばらくさっきの小説を読んだ。

また沖縄に来た時は必ず再訪しよう。
みんな首里城に行くからか、ここに来る人は少ないっぽい。


キングタコス

友達激推しのタコライス。
美味しかったけど、そこまでハマらなかった。

首里城

一応行っとくかーということで、首里城駅で下車。なぜ気が進まないかというと、有名観光地にあまり興味がないからだ。
昨日の万座毛のように、シャッター音や人混みが、旅情に影響を及ぼす。

城の入口の坂をまっすぐ行くと首里城なのだが、人の多さに辟易してしまい、途中で左折し、Googleマップでいう、上の毛という場所で休憩。

ベンチがあり、ここはお気に入り

30分ほどボーッとしながら迷った挙句、1回くらいは行くか、と重い腰を上げ、向かう。

2026年完成予定
絶対燃やさないという意志

修復の様子も見せることで、お金を回収しつつ、観光客の需要も満たすって仕組み上手いなぁと思いながら見学する。

綺麗な石垣。でも自分が観たいのはこれじゃないんだよぁ、と思う。時々有名観光地に行くのが、ただ行きたいとこリストを消化してるだけのように感じる時がある。この感情がなんなのかうまく言語化出来ない。


最後は国際通りでちんすこうなどを買ってそのまま空港へ。


・・・


後日、連絡先を交換したお爺から、月に1回電話がかかってくる。
「元気か!さっき徳島から帰って来て、今大阪の家でフランス人留学生受け入れてんねん!」
という、相変わらず破茶滅茶な人だが、日本一周の際は泊めてもらえるということで、再会が非常に楽しみ。


将来はお爺みたいな生き方がしたいな。

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