深山家

主人公の母結とその両親との関係

結は幼い時から母親の絹に冷たく扱われていたため母親のことを嫌っており、母親とは違って話を聞いてくれる父親の佐一のことを結婚後も心の支えとしていました
しかし父親は亡くなってしまい、そのことを伝えなかった母親に対してさらに激しい憤りを感じた結は一人で母親のもとへ詰め寄りますが、その日に結は真実を知ったショックにより自殺してしまいます
息子である主人公も絹のことを嫌っており、父親に何とか説得されて一人で絹の住んでいた家に訪れた主人公でしたが、そこでこの世のものとは思えない化け物に見つかり追いかけられることになってしまいました

佐一と深山家

主人公の祖父佐一は深山家の婿養子として深山家の長女である綾乃と結婚する予定でした。しかし綾乃は突如行方不明になり、しばらくして帰ってきたときには人間とは明らかに違う姿になっていました。
そこで綾乃の父久兵衛は綾乃の妹である絹と結婚することを条件に佐一を変わり果てた綾乃のいる深山家に住ませました。
結が産まれてからは結を絹から遠ざけるため綾乃がいる深山家に絹を一人置いて離れたところで結と生活します
結が結婚して佐一は絹がいる深山家に帰りますが、佐一はウツロを綾乃に食べさせて綾乃の姿を元に戻そうとしました。
それをよく思わなかった絹によって井戸に突き落とされてしまいます

綾乃と絹

家にある日記から、絹は佐一と結婚する綾乃を憎んでいたことが分かります。結婚が差し迫るにつれ綾乃への嫉妬心が抑えきれなくなった絹は二人で山へ行った際、綾乃を置き去りにして一人で下山します。
その後姉は一向に帰って来なかったので最初のうちは自身の行いを反省しますが、化け物となって自宅に帰って来た綾乃を抱きしめた絹は愛おしさのようなものを感じ、一生化け物となった綾乃を自分の手から離さない決心をします

綾乃は地下牢に閉じ込められますが凶暴になっていき、下人を食い殺したりと動物の血を欲するようになります。しかし綾乃は絹に対してだけは一切敵意を見せず、絹は一人で何十年も綾乃の世話をし続けました。
そんな絹も老化で医師にも脳腫瘍と診断されてしまいます。
さらに村がダム建設によって沈んでしまうと知った絹はこの姉妹の関係に限界を感じて綾乃に毒を与えて殺そうとし、脳腫瘍で綾乃のことを忘れてしまう恐怖に耐えられなくなり遺書を残して首つり自殺をしようとしましたが、絹を大事に思っている綾乃の助けにより一命をとりとめます。

カイコと深山家

深山蚕の起源

深山蚕は繭姫という姫君の亡骸からわいた蚕を持ち帰ったことが起原と書かれていました
偶然かは分かりませんが、絹は綾乃に対してこの繭姫伝説とほぼ同じことを行っています。

綾乃と絹の関係

綾乃の手記に「私は蝶ではなく蚕のようだ」と書かれていましたが、これは綾乃と絹との関係のことを指しているのではないかと思います。
蝶は見た目も美しく、ひらひらと舞い上がりその姿も華やかですが蚕は人間による品種改良により成虫になっても飛ぶことができずすぐに死んでしまいます。
これを綾乃の状況と重ねて考えてみると、綾乃は蚕業で大成功している深山家という繭の中で絹と一緒に過ごすことでしか生きていくことができない自分を蚕のようだと言っており、綾乃にとって絹の存在は自分が存在するために必要不可欠なもので、絹がいなくなると繭から出た蚕のように自分の存在も無くなってしまうと感じていたのです。
なぜそこまで綾乃にとって絹が必要なのか？
恐らく綾乃は絹に対して姉妹の関係を超えた恋愛感情を抱いていたのではないかと思います。

一見佐一以外に好きな男がいたのかと思いましたが、この手記に書かれている場面に佐一以外の他の男がいるとは考えにくいので、ここでの目をやる先というのは隣にいる絹のことを指しているのではないでしょうか。

綾乃が人ならざる者になった後も絹にだけは敵意を示さなかったのは、綾乃が綾乃であったときに抱いていた恋愛感情が残っていたからだと考えれば説明がつきます

絹と怪物となった綾乃との関係

絹は何十年もの間怪物となった綾乃を見捨てることなく献身的に世話をし続けていました。
ここで絹と少年時代の主人公との唯一の会話を思い出してみましょう

この絹の一連のセリフは怪物になってしまった綾乃（蚕）と綾乃を献身的に世話をする絹との関係性を表しています
怪物になった綾乃の背中には蚕と同じ模様がついていることからも綾乃と蚕を重ね合わせて表現していることが分かります

なのでこの「人がそういう虫にしてしまったのよ」というセリフは、自分のせいで綾乃が怪物になってしまったという、綾乃に対しての罪悪感の表れなのではないでしょうか

綾乃はなぜ怪物になったのか

これは単なる考察なのですがやはり絹が綾乃を山に置き去りにしたというのと繭姫伝説の話がほぼ一緒なので、生き埋めにされた繭姫が綾乃の中に住み着いたのではないかと思います
深山家の養蚕業での成功はこの繭姫の犠牲のもと成り立っているので、この繭姫は深山家に対して怨みを抱いていたのではないでしょうか
なので絹に置き去りにされた深山家の人間綾乃にとりついたと考えると動機も自然な気がします

隠しエンディング

UFOエンド

事件の真相は隠しエンディングを見ないと明らかにされません
10ｐｔでアルミ帽子を買うと見れます
アルミ帽子をかぶると深山家の所々で上空にUFOが飛ぶようになります
そして便所に月刊オカルトという雑誌が落ちています

この金色姫伝説は実際に茨城県に伝わる養蚕業起原の伝説らしいです

この金色姫も繭姫のように死後繭を生成したということなので、このオカルト記事が本当だとすると、もしかすると繭姫伝説の繭姫は金色姫の血を受け継いでいる宇宙人ということなのかもしれません

またうつろ舟は神の乗り物だとされているらしいので、金色姫は他界から来た神と捉えることも出来るかもしれません

牢の前に置いてある綾乃のメモには、絹に置き去りにされた後の様子が書かれています

宇宙人、あるいは神の血が流れていたため繭姫は妹に何回も置き去りにされても戻ってくることができ、綾乃の身体にとりつくことができたということなのでしょうか

ウツロエンディング

蝶のカギを購入すると見れます
ウツロを発見した綾乃の父親久兵衛は、ウツロを食べさせても姿が元に戻るだけで、身体に宿る魂は空っぽ（ウツロ）になってしまうことに気づきます。なので発見したにもかかわらず食べさせなかったのです
しかしこのエンディングで主人公はウツロを食べさせます
ウツロを食べた綾乃が、見た目は綾乃に戻ったのにも関わらず凶暴になって主人公を襲おうとしていたことから、綾乃という人格は完全に消え、繭姫という宇宙人の血を受け継ぐものが綾乃の身体に残ってしまったというオチなのではないでしょうか

メリーエンディング

2週目以降最初の深山家に訪れたときにある番号に電話をすると見れます

鶏エンディング

鶏を殺すと見れます

余談

綾乃さんと結さんの声を演じられた笑兵衛さんはアダルトゲームやアダルト音声作品に多数出演されている大ベテランの方です