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AIと将棋(その3):将棋AIに"勝率100%"は存在しない?

藤井竜王名人、八冠達成おめでとうございます! それが言いたくての今回の投稿です。今回、王座戦の感想と併せて、将棋AIによる優劣を示す表示(インジケーター)についてお話ししたいと思います。

(引用元)Youtube:『<無料>【王座戦第4局】藤井聡太竜王・名人、大逆転で八冠達成!』:囲碁将棋プラス(公式:https://www.youtube.com/@igoshogiplus

王座戦第4局の感想
めちゃくちゃ面白かったです。 中盤は抜けて他のことをしていたのですが、初手を含めた序盤や終局の部分はじっくり観戦できてよかったです。
まさに「歴史的瞬間」をリアルタイムで目撃しました!

将棋を指す姿そして終局後においても、藤井竜王名人の立ち振る舞いは、年齢に見合わないような、哲人を思わせる風格がありました。

永瀬八段の健闘も素晴らしいものがありました。特に終盤、勝ち筋を見逃した後のリアクションなども含めドラマチックでありました。

永瀬八段は本シリーズ第1局では先勝し、第3、第4局では先に勝ち筋を得ており、4戦中3戦は彼の実質作戦勝ちでありました。
近年、これほど藤井竜王名人が苦戦したシリーズも珍しいのではなかろうか。

まさに八冠の偉業を成し遂げる過程において、最後の戦いとして相応しい本シリーズ及び本局であったと思います。

今般、本局で特に話題になったのは、永瀬王座の123手目「5三馬」の手でした。

その直前、122手目の状況において、優劣示すAIのインジケーターは永瀬側99%の勝利であったものが「5三馬」指し手後急激に藤井側優勢に傾き逆転するとゆうドラマがありました。

因みに「一般人は将棋の観戦でインジケーターばかり見てる」との批判している方もおられるのですが、

いやいや、わたしのような素人観戦者にとっては、AIのインジケーターは分かりやすくて、ありがたいです。

もっとも、藤井竜王名人の試合に限っては信じられないような逆転劇が往々にして発生するので、AIの示す優劣はそれほど気にならないとゆうところもあります。

第71期王座戦 永瀬拓矢王座 対 藤井聡太竜王・名人(勝利) 第4局:投了図

将棋AIのインジケーターに「100%」は存在しない
そこで、今回、豆知識的な話ですが、当将棋AIによるインジケーターは絶対に「勝率100%」を示さないとのことだそうです。

それは現象としてそうなっているわけではなく、
実は将棋AIの中では「勝率100%」とゆう評価が存在しているのですが、表示においては100%と表示されないように、あえて初期設定されているとのことです。
なので、実質「勝率99%」が「勝率100%」の意味だそうです。

現行の勝率のインジケーターに使用されている将棋AIを開発してきた開発者のドキュメントの動画を視たことがあったのですが、そこでそのような話がされておりました。

それでは、「勝率100%」の評価が将棋の盤面上の何を示しているかとゆうと、指し手番の相手に「詰み筋」が存在する場合のようです。

ところで、渡部明のインタビューの話の中に「一手差は大差」とゆう言葉があるようです。

対戦する片側に詰み筋が存在し、その手順を順当に指された場合、将棋は1手ずつ交互にしか指せないため、もう片側はそれをひっくり返すことは不可能です。

特にタイトル戦におけるトップ棋士たちよる対局で、ある程度の優劣が決する最終盤においては「詰み筋」は絶対的存在になります。
まさに勝率100%(負けてる側からすれば望み0%)なのです。

そこで、何故、将棋AIの開発者がそのような調整を行ったのかとゆうことですが、

当将棋AI開発者が仰るに、たとえば劣勢側において将棋AIによる数理的な勝率が0%の場合(詰み筋)であったとしても、

「人間同士の対戦では何があるか判らない」として、その可能性を考慮したうえで、あえて1%残るように調整したとのことです。

今回、本局では文字どおりその言葉が示されるような試合が展開しました。

AI開発者にあって、人間的な部分を考慮に含め、そこに着眼した発想は慧眼であったなと思う次第でした。

そして、でもどうだろうか、それは、わたしを含めて、多くの方のあらゆるすべてのことに潜んでいるものではなかろうかと、併せて思う次第です。

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