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病院から見える風景~四季を感じる街

病院から見える風景がとても好きである。
7年程前、長野県で仕事をすることになり、初めて長野県茅野市(ちのし)に足を踏み入れた。赴任が決まった時は、「茅野」をなんと読むのか分からず検索に苦労したのが、つい先日の事のようである。「かやの?」かと思い、google mapに入力してみるものの変換されない。いろいろ調べて、やっと正解である「ちの」にたどりついた。

新宿から特急あずさに乗って茅野駅に行くことができる。山好きにとってはなじみのある場所であることを赴任してから知った。そう、八ヶ岳がすぐ近くにあり、登山客が多く訪れる土地である。病院からも写真のように八ヶ岳を一望することができる。

茅野は夏はとても涼しい。そして、冬はとてつもなく寒い場所である。冬にはマイナス10℃を下回ることも珍しくない。シャワーを浴びて、髪が十分乾かないうちに外に出て、髪の毛が凍ってしまった時には、すごいところいに来てしまったと驚いたものだ。これまで住んでいた土地でも、四季を感じてはいたのだろうが、茅野に来て寒い冬を経験し、初めて心から春が待ち遠しいと感じるようになった。春が来るととても嬉しい。

山を見ていると、より一層四季を感じることができる。春になり、桜が咲いてくると少しずつ山に積もった白い雪が解けてくる。そして夏になると、緑が山肌をおおい、秋になると紅葉の赤に変化してくる。山に白が見え始めると、短かった秋は終わりを告げ、厳しく、長い冬に突入する。その移り変わりがとても美しく、季節の流れを視覚でも楽しむことができる。

病室からも八ヶ岳を眺めることができるので、患者さんや家族との会話の中でも自然と山、季節の話になる。「今年はもう雪が積もりましたね。そろそろ車のタイヤを交換しないといけないですね。」「八ヶ岳の雪も解けて、そろそろ田植えの時期だ。」そんな具合だ。みんな、知らず知らずのうちに山を眺めている。

決して栄えた街とは言えないが、八ヶ岳があれば十分である。週末に親しい友人と八ヶ岳に登り、平日は仕事を頑張りながら登った山を眺める。どんなに忙しい日でも、多少つらいことがあっても、八ヶ岳を眺めていると心が癒される。

病院から見える風景がとても好きである。
そして茅野という街を年を追うごとにますます好きになっている。


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