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認知症患者さんは、あなたの鏡かもしれない

「あんたね!看護師のくせに、自分の仕事もわかってないんだねっ!!」

強い口調で、患者さんからこう言われてしまいました。
どう思いますか?

手を抜いているわけでもなく、
いい加減な態度をとったつもりもなく、
他の患者さんと同じようにしたつもりだったのに。

これは、
朝食を配膳しているときに患者さんから私に放たれた言葉です。

「〇〇さん、朝ごはんです。どうぞ。お変わりありませんか?」

他の患者さんには、このような言葉をかけながら配膳すると、
笑顔で「おはようございます。ありがとうね。変わりないよ。」
などと言ってくださるのですが、
冒頭の患者さんだけ、異なる反応でした。

実は、この患者さんは、認知症を患っています。
夜間も大きな声をあげて、
他の患者さんの安眠を妨げるような方ではありました。

『なんだ、認知症なら、仕方ないよね』。
確かに、そのような解釈も間違いではありませんが。

私の経験からすると、
認知機能が低下して理性のコントロール機能が弱まると、
「空気を読む」つまり「お世辞を言う、本音を隠す」ことができなくなります。
そのため、強い口調で話しかけられると、患者さんも頭に来て
強い口調で返答があることがあります。
つまり、
私自身の態度がそのまま返ってきただけの可能性も…

はい、もう一度、
冒頭の患者さんの一言。

正直、聞いた時には
『そんなこと言われる筋合いない!』ととても腹が立ちました。

でも、怒っている患者さんを見て、
「もしかしたら、私の態度がそのまま鏡になっているのかもしれない」
そうも考えたんです。
朝食の配膳は、とても忙しい時間。
配膳して、食事介助して、内服介助を全員分して、下膳して、配膳車を栄養課へ戻すまでを時間内に終われせないといけない!
そう焦っていたのは間違いありませんから(PPEフル装備で、余計に冷静さを欠きそうだし…)。
焦っていた私の態度が、患者さんの発言を誘発した可能性も十分ありますね。

そう思うと、
反省の余地が出て、落ち着いて対応することができました。

みなさんも、
怒った口調で突然話しかけられたら、
イラッとして返答の口調が強くなることもあるでしょう。

認知症の患者さんも、それと同じ。

認知症の患者さんは、
案外、あなたの鏡となっていることがありますよ。



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