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認知機能は未病のためのバロメーター?

私の会社では「認知機能の見える化」をテーマとして扱い、5分間で簡単に楽しく行え且つエビデンスがとれている「脳体力トレーナーCogEvo」というプロダクトでビジネスを行っています。短時間で行え、短期変動も見えることから業種業態を問わず様々な企業から多様な課題の相談や連携のお話をいただきます。そんな中で最近は運輸運行事業者から「健康起因」というワードを多く耳にするようになったので今回はそのあたりをお伝えしたいと思います。


運輸運送事業者の現状

トラックやバスの運転手さんを思い浮かべると威勢のいい青年(トラック野郎の影響?笑)やドキュメントでも取り上げられる女性ドライバーなどが私はイメージされるのですが、現実は圧倒的に高齢化が進んでいる職種と言えます。

総務省の「労働力調査」にによると、2022年の運輸業・郵便業においては全体の約49%が50歳以上、約74%が40歳以上と統計データに出ています。全業種では約43%が50歳以上、約66%が40歳以上となるので、運送業界は他の業種に比べて特に高齢化が進んでいると言えるでしょう。

運転という認知機能の活用が超必要な行為

自動車の運転というのは、超高度に認知機能を使っている活動です。視野や聴覚から入ってくる様々な状況に合わせて細かな調整を行い、情報の取捨選択を行うために注意力が働き、目的地と現在地の関係を見当識、記憶力、空間認識力で行う、到着時間が決まっていたり渋滞が起きていたりすれば計画力をもとに調整を行う。上記はほんの一例にすぎませんが、運転というのは非常に難しい行為と言えます。

一般の運転においても難しいのに、トラックやバスなどは車体が大きいため内輪差の計算などを含めるとより難しいことが行われています。コンボイやトレーラーなど自分が運転することをイメージすると、それだけで胃が痛くなるので運転手の方々には尊敬しかありません。

加齢に伴う認知機能の衰えの影響

このように運転は高度な認知機能を求められるため、加齢に伴う認知機能の衰えは非常に影響を受けやすい領域となります。昨今の高齢ドライバーの事故や逆走などが取り上げられると、反論のように若い方のほうが事故が多いという声も上がりますがこれは原因が異なります。

若年層の事故は経験不足もありますが、格好をつけたいという虚栄心からくる暴走ともいえるかと思います。もちろん虚栄心が判断力を鈍らせるという意味で認知機能が落ちている可能性はありますが、スピードと停止距離の関係などが経験から蓄積をされれば落ち着いてくるものでもあります。

ですが加齢に伴う認知機能の衰えは基本的には徐々に良くなるということはありません。ですから個人としても社会としても問題意識を持つことは大切なのだと思います。

運転手の「健康起因」が重大な課題

上記のように「高齢者=認知機能の衰え」から高齢ドライバーの課題として取り上げられることが多いのですが、実はプロドライバーを抱えて事業をされているバス会社や運輸会社は運転手の「健康」の部分が大きい課題として出てきていることを顕著に感じているそうです。

例えば、痛み等の自覚がない軽い脳梗塞を起こし軽度の記憶障害が起きていることによる事故や、軽度の網膜剥離による視野欠落で同じ場所でぶつけてしまうなどが言えます。

生活習慣病や職業病、加齢に伴うよくある不調などですが、これらが認知機能を最大限に扱うからこそできている運転に支障を与えるのです。そしてここから生まれる事故で運転手そのものや他の人を巻き込むこむ危険性を事業主たちは大変なリスクとして考えています。事故を起こせばそこには安全配慮義務違反として経営トップにその責任は課せられます。

だからこそ上記の事業主たちは「健康起因」の事故が増えていることを重大な課題として捉え、対策にむけて様々な調査を始めています。

「調子」を見える化できる認知機能

我々は「調子が良い」「調子が悪い」という言葉を頻繁に使います。自分では実感することが出来ますが、体温計や体重計で定性的に評価することもできないのでなんとなくの評価です。でもこの調子は自身の健康状態やストレス状態に起因して変動をしているので「調子が良い・悪い」というのはあながち間違っていません。もちろんその人自身の調子センサーが機微まで捉えられるかは個人差が大きいものですが。

最近そこで注目を浴びているのが脳活動です。脳血流や脳画像を見られれば良いかもしれませんがお気軽なものでもないので認知機能に視点が移っています。

認知機能は様々な不調で落ちやすいものです。だからこそ「調子」が見える化されます。

そしてその中で冒頭で書いた脳体力トレーナーCogEvoは、短時間で短期変動を見える化し且つ楽しく続けられ、しかもエビデンスがあるということで大きな会社の安全管理部の方から問い合わせを受けるということにつながっています。

運輸運行事業者は、運転という人命に直結するからこそ「健康起因」に対して動いていますが、超高齢化・労働力不足のなかで事業をしていくあらゆる業種業態の方にとって、もちろん個人にとっても「健康起因」のトラブルをつぶす活動は必須になっていくはずです。

そう考えると病気として顕著な症状が出てくる前に認知機能の変化を見ていくことは「未病」につながる行動になります。前述した軽度な脳梗塞の方も、事故をしたからこそ軽度での発見となりましたが、放置をしていれば命の危機にもつながっていたかもしれません。そういう意味でも「未病」という概念は今後とても重要な概念となり、未病を実現するための重要なバロメーターとして「認知機能」が選ばれる未来が来そうな気がしています。

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