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ルーティングの裏事情:手動設定 vs 自動更新!どちらを選ぶ?

「パケットの送り先っていったい誰が決めているんだろう!?」

はい、こんにちは!松井真也です。シリーズ「基礎から分かる!ルーティング大全」第5回でございます。

前回は、ルータの冗長化に関するお話しをしました。VRRPを代表とするプロトコルを使って、複数のルータを仮想的に一つのルータとして扱い、それをデフォルトゲートウェイとして指定する技術でしたね。死活監視する仕組みがちょっと面白かったですね!

VRRP:2つの実機が仮想的には一つとして扱われる

さて、今回は、「スタティックルーティング」と「ダイナミックルーティング」の違いに関するお話です。ルータさんは、ルール(ルーティングテーブル)に従ってパケットの送出先を決めます。が、「そのルールはどう決めるか」が、ルーティング技術の1大テーマなんです!

詳細なプロトコルの話に入る前に、大きな分類として「スタティック(静的
」と「ダイナミック(動的)」
の違いを押さえます。

では、行ってみましょう!

送出先の指示書「ルーティングテーブル」

まずは、「ルーティングテーブル」について確認しましょう。

上で触れたとおり、ルータはパケットを目的地まで最適な経路で転送しなければなりません。その参照情報が記録された表です。

このテーブルには、ネットワークの目的地アドレス、その目的地への経路、使用するゲートウェイなどの情報が含まれています。

このルーティングテーブルを手動で管理することを、「スタティックルーティング」、ルータ自身に自動的に自律的に管理させることを「ダイナミックルーティング」といいます。詳細は次のセクションで確認しましょう!

ちなみに、パソコンにもルーティングテーブルはありますよ!

なぜなら、パソコンもデータを送受信する際、最適な経路を決定する必要があるからです。WindowsPCでしたら、コマンドプロンプトで「route print」と入力すると、パソコンに設定されているルーティングテーブルが表示されます。

WindowsPC上のルーティングテーブル

スタティックルーティングとは?

スタティックルーティングは、ネットワーク管理者がルータに手動で経路表を設定する方法です。

この経路表には、パケットが送信されるべき固定的な経路情報が含まれています。つまり、宛先への経路は変わらず、常に同じルートでパケットが送られるのです。

この方法の利点は、外部からの誤った経路情報を受け取るリスクが低く、ネットワークの伝送帯域を節約できることです。

ただし、ネットワーク内で何らかの変更があった場合、管理者が手動で経路表を更新する必要があります。

ダイナミックルーティングとは?

他方、ダイナミックルーティングは、ルータが自動的に経路表を生成・更新する方法です。

ルーターは、隣接ルータとルーティングプロトコルを通じて経路情報を交換し、ネットワークの変化に応じて経路表を更新します。

この方式の最大の利点は、大規模なネットワークで頻繁に変更が発生する環境であっても、柔軟に、そして効率的にテーブルが更新できる点です。また、障害が発生した場合には、迂回経路が自動的に設定されます。ありがたいですね!

しかし、誤った経路情報の受信や経路選択の不安定さがデメリットとして挙げられます。スタティックルーティングのメリットの裏返しですね。

さて、どう使い分けるのか?その適用シナリオ

では、スタティックルーティングとダイナミックルーティングはどう使い分ければいいのでしょうか?

1)スタティックが適する場合

スタティックルーティングは、比較的小規模で安定したネットワーク環境に適しています。この方法は、外部からの不正な経路情報に影響されにくく、シンプルなネットワーク構造ではむしろ効率的です。

ただし、ネットワークに変更があるたびに管理者が手動で経路を更新する必要があります。大規模なネットワークでは、すべての経路を手動で管理するのは現実的ではありません。現代では、多くのネットワークが存在し、それが日々、更新・追加・廃棄される中、手作業でメンテするにも限界がありますね…。

2)ダイナミックが適する場合

ダイナミックルーティングは、変更が頻繁に発生する大規模なネットワーク環境に最適です。

この方法は、ネットワークの状態が自動的にルーティングテーブルに反映されるため、管理者の手間を大幅に削減できます。障害時には迂回経路が自動的に設定され、ネットワークのダウンタイムを最小限に抑えることができます。助かりますね。

しかし、実際のところは、どっちかを選べ!という二者択一の問題ではありません。スタティックルーティングとダイナミックルーティングは併用して使うことができます。

たとえば、一部の重要な経路はスタティックルーティングで固定し、残りの経路はダイナミックルーティングで柔軟に管理することが可能です。

結局、ネットワークの特性や要件に応じて、最適なルーティング方法を取り入れることが大事!という結論になりますな。


はい、本日はここまで!今回は、ルーティングテーブルを管理する方法である「スタティックルーティングとダイナミックルーティング」の違いについてご紹介しました!

ダイナミックに管理するとなると、ではどうやって?という疑問が湧いてきますね。

次回からその方式であるルーティングプロトコルを学んでいきましょう!

では!


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