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より高い信頼性でインターネットのデータ転送をささえる「BGP4」

「自分のネットワークの外では、その外のルールに従わないとね…」

はい、こんにちは!松井真也です。シリーズ「基礎から分かる!ルーティング大全」第14回でございます。

前回は、OSPFのエリア分割についてお話ししました!リンクステート型アルゴリズムでは、ルータが管理するトポロジー情報が膨大になりますが、ネットワークをバックボーンエリアや標準エリアに分割して、情報を圧縮するのでした。偉い方たちはスゴイ仕組みを考えますね!

さて、今回は、AS(自律システム)間のルーティングを行うEGP(Exterior Gateway Protocol)のうち、BGP4をご紹介します!EGPの中で、きちんと理解するべきプロトコルは、これ一択です。ルーティングを勉強していると、いろんなルーティングプロトコルが登場しますが、ほとんどIGP(AS内でのルーティングプロトコル)です。

それなら、BGP4がどんなものか集中して知ってみませんか?

ということで、いってみましょう!

BGPって何だろう?

インターネットは膨大な数のネットワークで構成されていますが、これらをスムーズに接続するためには、共通のルール、高度なルーティング技術が必要になります。

その中心となるのが「BGP(Border Gateway Protocol)4」というプロトコルです。4はバージョンを表します。単に「BGP」といったときも、BGP4のことを指していると思って問題ありません。

このBGPは、異なるネットワーク、つまり「自律システム(AS)」間で経路情報を交換し、インターネット全体のデータ流通を効率的にする役割を担っています。簡単に言えば、「インターネット上の道案内役」のようなものです。

BGPの種類:eBGPとiBGP

BGPには主に2種類の形態があります。

一つは「eBGP(exterior BGP)」です。これは異なるAS間で経路情報を交換するために使われます。

もう一つは「iBGP(interior BGP)」で、これは同じAS内のルータ間で経路情報を交換するために使われます。

このように、eBGPが異なるネットワークを結び付け、iBGPがその内部での効率的なデータの流れを保証します。

が、なんかおかしい気がします。AS内で経路情報を流すなら、RIPやOSPFを使うはずだったのでは?と思いませんか?ごもっとも。

実は、iBGPは、iBGPは、自AS内のルータ間で、AS外部の経路情報を効果的に利用するために使われます。下の絵をご覧ください。

外部のAS間の経路情報を直接扱うのは、上記のとおりeBGPです。が、iBGP(AS1内)は、外部ASからの情報を内部のルータに効率的に伝達し、AS内でのデータの流れを最適化するために重要ということです。

なお、BGPを利用してるルータは、BGPスピーカと呼ばれます。

よし、ここまでOKですね!

BGPの特徴と動作原理

BGPは「パスベクタ型ルーティングプロトコル」と呼ばれる、ルーティングプロコルが使われています。ディスタンスベクトルやリンクステートとは別のプロトコルですよ。

名前が示す通り、パス(Path;経路)ベクタ(Vector;方向)に基づいて経路を求めます。隣接するAS(BGPピア)との間で経路情報を交換し、「AS経路リスト(BGPテーブル)」を作ります。

AS間のルーティングには、おなじみのIPアドレスやサブネットマスクが使われません。代わりにICANN(国内ではJPNIC)が管理するAS番号が用いられます。

また、BGPでは、宛先ネットワークまでに通過するルータのAS番号を管理します。実は、これがループの回避に役立ちます。

加えて、経路情報の交換にあたっては、トランポート層のプロトコルとして、信頼性の高い「TCP」を使います。他方、RIPやOSPFは、「UDP」を使っています。これも具体的な違いの一つですね。


はい、本日はここまで。今回は、AS間のルーティングプロトコルである「BGP」をご紹介しました。一回の記事で紹介したので、ちょっと駆け足になりましたが、お許しくださいませ!

さて、次回は、ちょっと視点を変えてMPLSによるルーティングをご紹介します。

では!

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