大喜利ゲームの4分類

【大喜利系ゲーム】とは何を指すのか

シンヤ☆です。ご訪問ありがとうございます。

さて先日、ツイッターで次のことを呟きました。

ツイッター

複数の方からコメント、RT、引用、いいねをいただいたのですが、このツイートを中心に、「そもそも大喜利系ゲームとは?」という話題になりました。(私が問題提起したという方が正しいかもしれません)

皆様からいろいろなご意見をいただいたので、皆様(特に同人ボドゲデザイナーの方)への還元の気持ちをこめ、記事にしてみようと思います。つたない文章ですがご容赦ください。

【大喜利系ゲーム】という言葉のもやもや感

私は、名作ワードゲーム【コードネーム】や【デクリプト】を大喜利系ゲームと考えていました。
【パンデミック】や、最近の流行ですと【クリプティド】などは、各プレイヤーが理系的な頭脳を働かせて理詰めで進行するのに対し、【コードネーム】や【デクリプト】などは、文系的な頭脳を働かせて頓智(とんち)で勝負するゲームだからです。

一方、いただいたご意見の多くは、【コードネーム】や【デクリプト】を大喜利系としないというものでした。「プレイヤーの行動が笑いを誘発するもの」や「プレイヤーが積極的に笑いを取りにいくもの」が、大喜利系ゲームの条件というのです。例として【たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ】や【ヒットマンガ】、【ソクラテスラ拡張「死のプレゼンテーション」】などが挙がっています。

ここで私はもやもやと考えます。
相手を笑わせたら勝ち、とか、笑わされたら負け、というルールでない以上、笑いを取るかどうかはプレイヤーの判断だよなあ。

もやもや…
もやもやもや…

【大喜利系】はメカニクスかフレーバーか

このもやもやを抱えるうち、とある方からいただいたコメントがずばっと刺さりました。「【大喜利系ゲーム】とは、明確な答えがなく、正解が参加者のセンスや多数決に任せられるゲーム」という考え方です。この考え方には、『笑い』という言葉はありません。なんと美しいのでしょう!

このコメントを読んで気付きました。【大喜利系】という言葉を、『テーマ・フレーバー(作品がもつ世界観や笑いの空気感)』で語る人と、『メカニクス・システム(遊び方の仕組みや仕掛け)』で語る人がいて、(それに気づかぬうちに)考え方の齟齬を生んでいるのです。

例を挙げますと、デジタルゲームの金字塔「ドラゴンクエスト」。テーマはファンタジーで、メカニクスはRPGです。もし、「ドラゴンクエストはファンタジーかRPGか」という議論があったとしたら、絶対に決着しませんよね。ファンタジーとRPGは同じ土俵にいないのですから。もっと分かりやすくいうと、「ポストは赤い?それとも四角い?」みたいなことです。「観光地には茶色いポストもあるだろ!」とか、「昔のポストは円柱形だったぞ!」とか、まったく不毛な議論です。

そしてどうやら、【大喜利系】という言葉は、どうやらテーマとシステムの両方を内包している言葉だと気づきました。

メカニクスとしての【大喜利系】

私もゲーム制作者のはしくれです。せっかくの機会ですので、【大喜利系】をメカニクスとして分析してみることにしました。ここで、「笑わせること」や「笑わないこと」が勝利条件のゲームとしてしまうと、対象となるゲームがあまりにせまくなってしまうため、みなさんから例としていただいたゲームが【大喜利系のメカニクス】に体系的にまとめられるよう、がんばって整理します。

整理の視点として、「明確な答えがなく、正解が参加者のセンスや多数決に任せられるゲーム」という考えを拝借いたします。するとどうでしょう。

<当てはまるもの・やや当てはまるもの>
【キャットアンドチョコレート】
【たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ】
【私の世界の見方】
【ワードバスケット】
【ワードスナイパー】
【しゃべルーム(拙作)】

<当てはまらないもの>
・明快な答えは決まっており、プレイヤーが答えへの導線を引くゲーム。
【ボブジテン】、【ディクシット】、【コードネーム】、【デクリプト】、【ヒットマンガ】、【ゴモジン】、【コトバーテル】、【ドリーミア(拙作)】

・そもそも、「答えが何か」という類ではないゲーム。
【ソクラテスラ】(拡張版では「大喜利バトル」という遊び方が増え、「大喜利系に当てはまるゲーム」となります。)

このような感じに整理されました。すると、意外なものが<当てはまる>に入ってきました。逆に、私が究極の大喜利と思っていた【コードネーム】や【デクリプト】はカテゴリから外れました。びっくりです。

さて、それぞれのゲームがもつプレイ感を分析的に考えることで、もっと細かく分類できそうです。

分類①客観性の観点で分類する

みなさんは上の「当てはまる」としたゲームの中で、「この人、あんまり得点とってなくてかわいそうだから、イマイチの答えだけど得点をあげよう」などと手心を加えた経験はありませんか?私は、勝っている人には評価を辛く、負けている人には評価を甘くしてしまう傾向があります。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか。それは、「誰の回答か、お互いが分かっているから」です。プロポーズは、誰が言ったかも込みでのプロポーズですからね。このゲーム最大の長所であり短所だといえます。お腹がよじれるほどの大きな笑いが起きたり、つい同情票を入れてしまったり。

一方で、プレイヤーが常に公平にジャッジできるゲームもあります。【私の世界の見方】は、誰がプレイしたカードなのかは、答え合わせのあとでないと分かりません。安定した面白さを提供できますが、もしかしたら爆発力には欠けるかもしれません。

分類②「誰が答えを決めるのか」で分類する

答えを親が決めるものと、投票で(みんなで)決めるものがあります。

【たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ】や【私の世界の見方】は、もっとも気に入った回答を親が決めることができます。

【キャットアンドチョコレート】は、回答者以外の全員で正解を判定します。ゲームの勝敗にこだわるのであれば、全員の回答に不正解を出すのが正しい行動と言えますが、互いにうまい回答を認め合わせ、膠着状態を生まないために、正体隠匿のチーム戦にしていると私は考えます。

そして、意外と思う人もいるかもしれませんが、【ワードバスケット】や【ワードスナイパー】なども、回答者以外の全員が正解を判定しているので、この記事のルールでは大喜利系です。実際に、プレイ中、「え、その言葉ってありか?」と思う場面があるでしょう?その際にはみんなで議論し、正解かどうか決めますよね。(ゲームが強い相手にはキツめに判定し、弱い相手にはユルめに判定する)

大喜利系ゲームの4分類

前項、前々項の分類①と分類②で2次元表をつくり、4つに分類してみました。なにやら、それっぽくなってきましたよ!力作をぜひご覧ください。

大喜利ゲームの4分類

いかがでしょうか。拙作「しゃべルーム」と「ドリーミア」は入っていることがやや鼻につきますが(頑張って書いたんだから、このくらいはいいですよね?)、大喜利系のメカニクスをうまく分析できたのではないでしょうか。

まとめ

【大喜利系ゲーム】をメカニクス的視点で解釈すると次のようになる。

・明確な答えがなく、正解が参加者のセンスや多数決に任せられるゲームである。

・だれの回答かが公開情報であるか否か、正解を誰が決めるかで四つの型に分類できる

なんでこんなことをしたかと言いますと、初めにも書いたとおり、第一にはご意見をくださった皆様への恩返しです。(と拙作の宣伝を少々)

また、私もまだまだゲーム制作者としては駆け出しですので、このように体系化することで、大変、勉強になりました。

今後も、みなさまに楽しい体験を提供できますよう、精進いたします。最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。

(執筆にかかった時間 3時間30分)

最後までお付き合いくださりありがとうございました。 サポートいただけたら新しいゲームをどんどん作ります。