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THE SECOND 〜漫才トーナメント〜 を見た感想。

1.優勝はギャロップ


ベテラン漫才師の集う新たな大会、THE SECOND。
優勝は結成20年目、関西の実力派コンビ、ギャロップに決まりました。
グランプリファイナルでもしっかり仕上げた強いネタ3本を繰り広げ、文字通り横綱相撲で正面突破での戴冠といった印象でした。本当におめでとうございます。

2.大会の感想

 今回の大会は、端的にいうと「無骨」だったと思う。
・一般審査員を採用することで、技術云々を可能な限り除外し、純度の高い「面白さ」で決着をつけたこと
・トーナメント方式とすることで極力先行後攻の優劣を削ぎ落としたこと。
・ネタに特化して客席や司会の顔をほとんど映さなかったこと。
あらゆる演出がエンタメの臭いを排除し、純粋な漫才の勝負に水を差すまいとする製作陣の心意気を感じた。
6分の時間設定にしたことも含め、ベテランの芸人を出すのだから、余計な味付けは不要。と振り切ったのは大正解と感じた。

3.一般審査員についてその1。改善の余地

 賛否は分かれるところだろうが、私としては一般審査は特に異論なし。
ただし、採点方法に関しては改善の余地ありと思った。
まず採点レンジを広くした方がいいのではと思う。
審査員に与えられた得点は1〜3点
1「面白くなかった」2「面白かった」3「とても面白かった」
決勝大会で1点「面白くない」をつけるのは相当勇気がいることだ。
数ある賞レースで、プロの審査員だったとて、得点が伸びなかったり、
辛いコメントがあったとしても、「面白く無かった」なんてよう言わん。
自分なら烏滸がましくてつけれたもんじゃない。
つけるとすれば1組目に必ず2点、二組目には相対的に1点か3点。といったところか。レンジの狭さが接戦を演出したといえば聞こえはいいのかもしれないが、多くの審査員が同点をつけて決裁権を放棄していたのではないかと思ってしまう。自分でもそうしたかもしれない。
 であれば例えばレンジを5点にするとか、同点にならないように審査員を奇数にしてどっちが面白かったかに投票するシステムにするか。次回があるのであれば調整に期待したい。

4.一般審査員についてその2。決勝戦の採点心理。

 決勝戦の結果は以下のとおり

 これだけ見ると、ギャロップが圧勝したかのように見えるが、実際はそうではないと考える。

 上述の通り、今回のシステムは各々が容易に同点をつけれるシステムだ。
映像をキャプションはしていないが、かなりの人数がほとんど全ての組に3点をつけていたのではないかと思う。
 しかし最終決戦を占う審査員の心理はどうか。映えあるチャンピオンの決定を託されているわけだ。
①「同点にしちゃまずいよね」「どっちかにポイントを入れなきゃ」
②「決勝で1「面白く無かった」は付け辛いよ」
③「とりあえず1組目を2点にして、2組目が相対的にどうだったかをじっくり考えよう」

ノックアウトまでは1組ごとの採点であった流れを修正し、ファイナルは2組見てからの採点となっているわけだが、いずれにしても先行から採点していくことと時間の余裕があることから、上記のような心理になることは避けられないと思う。

 先行のマシンガンズに2点が多く入ったことは、いわば必然。相対的採点で、ギャロップが大きく点差をつけることになったのだと感じる。

5.終わりに

 わたし自身は楽しく大会を拝見することができたが、正直なところ他の賞レースに比べ、熱い気持ちにはなれなかった。
①既に全組が実力派で、面白いことを熟知していること。練度と鮮度は比例しない。やはり私はどんなに荒くても滑っても鮮度のある笑いが好きだ。
②お笑い好きからしてみれば、どの辺がセカンドチャンスなのか。みんな笑いで食っていけてるではないか。と斜に構えて見てしまった。

 実際1000万円がかかった大会であるにも変わらず、どうにも朗らかなムードであったのは否定しようがない。唯一目がバキバキだったのはマシンガンズの二人だけだった。

 それから、結論面白ければいいとは思っているものの、3本やるのをわかりきっているのにネタが尽きてしまうマシンガンズは如何なものかと。30年近いキャリアがある中で、この弾数の少なさはマシンガンとはこれ如何に。
(いやそういうネタが無いっていうネタでしょ。という声もあるかもしれないが、笑いの量は別として明らかにガス欠してたし、優勝してたらかっこいいけど負けちゃいましたからね、、、私にははなから負け戦に見えました。)

 第二回大会が開催されるのかは不明であるが、例えばファイナルに勝ち上がる権利は2回までとか、暴論だが所得(納税額)で区切って本当に実力派で食えていない芸人を抽出するだとか。きつい縛りをかけていかないと、これからキャリアを重ねる芸人たちで飽和してしまうんではないかなと。
 まあ世間はぶっ冷めになるだろうが、それくらいやってくれて初めてTHE SECONDなのではないかなと憂いている。
 私のお気に入りはテンダラーと囲碁将棋の一本目でした。兎にも角にもギャロップ優勝おめでとうございました。

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