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M-1グランプリ2023 ファイナリスト見どころ

ついに週末に迫ったM-1グランプリ2023。
歴史にその名を刻む19代目チャンピオンは誰なのか。

※概要は前回記事にまとめたので、今回は各コンビについて纏めておきます。
※極力どんなタイプのネタをするかには触らずに紹介しています。


1.初出場組

2020~2022と3年連続で最終決戦に残ったのは常連組や返り咲きが並び、初出場で最終決戦まで残ったのは2020のおいでやすこがのみ。それ以前は初出場組が勢いのまま優勝する傾向にあったが、近年その方程式は崩れ去った。

今年はどうかと言われるとわからん…もうわからん…
しかしお笑い好き界隈では何年も前から決勝進出を待ち望まれた、人気と実力を兼ね備えた面々が並んでいることは間違いない。

・令和ロマン(2018年結成 吉本興業)

 今大会最年少。東京NSCを首席で卒業。旧コンビ名「魔人武骨」時代の2018大会で初の準決勝。昨年の敗者復活ではオズワルドに次ぐ2位の好成績からの正面突破。その他大会でも2020NHKではさや香を下し大賞受賞。ABCは21/22と2年連続準優勝(ABEMA賞)と実績も十分。賞レースの審査員寸評でも度々「漫才がうますぎる」と評されており、若手実力派の代表でもある。
 ライブでも大御所のような堂々としたオーラをまとっており、笑いやすい空気が充満しているコンビ。決勝の舞台で若年層の観客は湧きそうであるが、おじさん審査員たちにどれだけ刺すことができるかが楽しみだ。


・ダンビラムーチョ(2011年結成 吉本興業)

 漫才とは別に、youtubeの野球ネタで周知している方も多いかもしれない。

 直球の漫才が並ぶ今大会で、変化球の漫才を繰り広げる。その馬鹿馬鹿しさは出順によっては大爆発する可能性十分。特に今年はどのコンビの後でも空気を変えれそう。
 ちなみに21年大会の敗者復活、からあげネタで話題になったさや香は翌年準優勝。ダンビラムーチョも昨年は奇抜な漫才で話題となった経緯あり。ジンクスに乗っかって好成績を残せるか。
 自分達のスタイルを貫き通して見事な初決勝。初優勝までの構想から外されないことを祈る。


・くらげ(2018年結成 吉本興業)

 もう私はフラットに見れてないが、おそらく世間的には一番無名なんじゃなかろうか。2019年、結成2年目で早々に準決勝まで進出。その時点でかなりキャラが完成された漫才という印象でありつつ、他のネタ量産できるのかなという疑問があったのだが、素人の杞憂を蹴散らすように強ネタを量産。今年と言わずいつでも決勝の舞台は踏めたんじゃないかと思うくらい安定しているコンビ。劇場でもどのネタをみても面白い。決勝に立てた千載一遇のチャンス、自信がインタビューで述べたとおり、こんな「ザコ感」漂うコンビが優勝してスターになる事こそ、M-1グランプリの醍醐味だ。


・マユリカ(2011年結成 吉本興業)

 大阪吉本マンゲキの雄は、今年4月拠点を東京へ。英断が功を奏し初の決勝の舞台へ。ロートーンのボケとハイトーンのツッコミが織り成す上質でキモいコント漫才に病みつきになること請け合いだ。(界隈では「キモい和牛」と呼ばれている)。
 ちなみに一見おしゃれなコンビ名の由来は2人の妹「マユ」と「ユリカ」を組み合わせたもの。こんな激キモなコンビ名を私は他に知らない。


・ヤーレンズ(2011年結成 ケイダッシュステージ)

 かつてはしゃべりに重きをおいた割とスタンダードなコント漫才(個人的にはその当時の方が好きだったが)だったが、近年はボケの楢原のキャラを全面に押し出すスタイルに変更し衣装も一新したことが功を奏すかたちに。
  オードリー、トム・ブラウンに次ぐ3組目のケイダッシュからのファイナリスト。脈々と受け継がれる濃厚キャラの系譜でケイダッシュ悲願の優勝となるか。いずれにしても今後メディア露出が増えそうで楽しみだ。


2.連続出場組

 昨年から連続出場となる3組。群雄割拠のこの時代、連続で決勝の舞台に立つことがどれほど過酷なことか。
 加えて連続出場は、昨年からの進化を魅せなければならない。錦鯉は20年のパチンコネタで奮わず、21年本来の錦鯉の持ち味で感動の優勝を呼び込んだ。
 面白い「漫才」であることは周知されている。面白い「漫才師」としての覚醒が望まれる立ち位置となる。

・真空ジェシカ(2012年結成 3年連続 人力舎)

 あまり関係ないが、非吉本で3年連続の快挙。実例ではアメザリ、ナイツ、ハライチ(4年連続)の3組のみ。準決勝でも当確と言っていいほどの爆笑を掻っ攫った。
 大喜利系の漫才の中では圧倒的なセンスと実力を誇ると言っていいし、前年までよりも2人の喋りのバランスも良くなってより漫才漫才していると思う。Z世代に刺さる若いフレーズが審査員の心をどこまで掴めるかに注目したい。

・カベポスター(2014年結成 2年連続 吉本興業)

 昨年の初出場は笑神籤に泣くトップバッターであったが、持ち味は十分発揮。 関西っぽい会話の軽快さと関西っぽくない脱力感の融合が魅力。後半にかけて勢いの増す巧みな構成はまさにロジカル漫才の名にふさわしい。本人たちも「今年はトップでも優勝する」と意気込み、戦いの準備は万端。審査員の交代もあり若干正統派への後押しもあると思われる今大会、優勝トロフィーを掲げる大チャンスと見た。


・さや香(2014年結成 吉本興業 5年ぶり2回目)

 昨年とてつもないしゃべくり漫才を披露し、会場を大いに沸かせたさや香。その横綱漫才は健在で今年も安定して好成績を残すことが期待される。
 一方で2016→2022ほど昨年から進化したかと言われると難しい。また、圧倒的だった印象が強いが、各審査員の最高得点は下記の通り。意外にもバラけており、得点的には満場一致のトップではない。

2022年の最高得点はかなりバラけている。

昨年のさや香を超えれるか。とにかく面白い「漫才師」として認めてもらえるか。唯一自分自身との戦いをする必要があるコンビと言っていいかもしれない。


3.返り咲き組

 以前までのM-1と言えば、初出場顔見せ一発で優勝を決める刹那の斬り合いのような緊張感を秘めていたものだが、それは面白い「漫才」を魅せるためだったのだと思う。したがって連続、返り咲きのコンビが成績を残すのはかなり苦しかった。
 現在のM-1は面白い「漫才師」を決める大会である。各々のキャラクターやパーソナルな部分さえ味方につけることができる。また連続出場の安定感とは別で、返り咲きは確固たる爆発力を持ったネタが完成したということ。「ニン+強いネタ」でマヂカルラブリー、ウエストランドに次ぐ返り咲き優勝をその手に。

・モグライダー(2009年結成 2年ぶり マセキ芸能社)

 今年唯一の返り咲き、2年ぶりに地上の光を求めて出てきたモグライダー。前回の反省は「ネタを仕上げようと練習しすぎてネタが死んだ」とのこと。何を言っているのかわからない方もいるだろうが、「仕上げない」ことこそモグライダー最大の魅力と言っていい。劇場でも、全く同じネタでも同じ展開になることはない。台本の無い「圧倒的生感」を決勝の舞台で堪能して頂きたい。上述の通り、ニンという意味でチャンピオンに一番ふさわしいのは、この2人なのかもしれない。(個人的に箱推ししているマセキからの優勝にも期待!)


4.敗者復活組

 今年から大きく変わった敗者復活システム、人気投票の要素を排除し、厳正なる審査をもとに大会前には復活するコンビが決まるシステムとなった。

 ここまでするならば、「敗者」という言葉は似つかわしくない。残りの1枠を懸けた戦いの「勝者」。他の9組より決勝進出の発表が遅くなった程度と思っていた方が良い。加えて勝者=その日一番仕上がっているコンビということ。
 鮮度抜群の漫才は、むしろ十分他よりアドバンテージを持っていると考える。

 個人的に応援しているのはフースーヤ。爆笑が爆発するという言葉が最も似つかわしいのはこの2人と思う。とりわけスタンダードな漫才が多い今大会。唯一無二の個性で会場をかき回す姿は、敗者復活の名にふさわしい。

 正統派で行けば華山が大好きだが、技術云々抜きで会場全体を巻き込めるか期待したい。

 ラストイヤーはヘンダーソンとななまがり。自分達の形を見つけ安定してきたヘンダーソンと、自分達の世界を疑わずにコントの世界を漫才に持ち込んできたななまがり。他のコンビにないプレッシャーを跳ね除け、結果はどうなっても駆け抜けて欲しい。

他にもシシガシラ、豪快キャプテン、トム・ブラウン、スタミナパンと、注目したいコンビ多数。誰が勝ち上がっても決勝の舞台を盛り上げてくれることだろう。


5.終わりに

私の3連単は下記の通り。ちなみに私は一回たりとも3連単を当てたことがない。

上述の通り、ニンというファクターは予想から外せなかった。
キャラと爆発力と生感でモグライダーを優勝と予想。
敗者復活はかなり会場を沸かせてくれそうな気がしている。
マユリカは1本目のネタどれをするかわからないが、あれをやってくれたら残ってくれそうな気が。
最推し&準決勝一番面白かったのはくらげだけど、どうにも残る姿が浮かばない。。。

敗者復活も大会形式になり、今年のM-1は2大会分楽しめるような気分になる。最高だ。今日からドキュメンタル公開、明日は前夜祭。まさに師走とはこのこと。二日後には今年一番面白い漫才師が決まる。待ちきれなくてしょうがない。

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