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【イルミネーションスターズ編】 嘘ライブ『曖昧な合間』ライブレポート & インタビュー(4,416字)

ライブレポート

「明るい」、「ポップな」、「かわいらしい」、「キラキラした」。イルミネーションスターズは、これらの輝かしい単語を具現化するように、まるでイルミネーションの光のようにステージを照らしてくれる。

 さて、今回の283プロダクション合同ライブ『曖昧な合間』というタイトルは、実はほかでもない、彼女たちのアイデアが元になっているのだ。

 別イベントの準備で、同じ事務所のユニット・アンティーカとの事前合宿を行っていたイルミネーションスターズ。そのメンバーの1人・八宮めぐるは、元より誰とでも打ち解けてしまう社交的な性格をしているが、特にこの合宿中において、ふだんは別のユニットとして活動しているアンティーカのメンバーに対して「ユニットという境界がゆるやかに入り混じっていくような感覚になった」と語るほど、強いシンパシーを抱いたと語る。

 八宮の発言をもとに、「私たちとみんなとの境界線が溶けていくような」というコンセプト案が浮上した。それが最終的に今回のライブタイトル『曖昧な合間』となった。

 ユニット間の垣根を超えていくという当初の意味合いはもちろん、彼女たちとファンとの物理的な垣根をも超えていく演出も豊富に盛り込まれた。

 たとえば、ファンで埋め尽くされたアリーナの座席の間に得体のしれないスペースが無造作に設置されており、開演前は「このスペース分、お客さん入れてあげたらいいのに」と思っていたたのは筆者だけではないはず。
 ところが、ライブが始まると、その無駄に思えていたスペースからアイドルたちが突如として現れるというサプライズ演出に驚かされた。
 
 筆者は1階スタンドの後方の席だったため、ゆったりと眺めようと思っていたが、いざ真横に八宮めぐるがせり上がってきた、興奮は最高潮。本レポートの執筆をするために内容をしっかりと覚えておかねばならないということも忘れ、ファンとして、目の前の状況を必死に焼き付けることだけを考えていた。アイドルとファンとの間に隔たっている大きな境界線が曖昧に溶けていった瞬間である。
 「境界線ゆるやかに入り混じっていく感じ」とはまさにこのことだったのか。発案者である彼女にこの言葉を送りたい。

「あっぱれ、八宮めぐる」 



インタビュー

─ 『曖昧な合間』というタイトルはめぐるさんの発案だったんですね。

めぐる:発案・・・っていうほどじゃなくて、ただアンティーカとの合宿が楽しくて、つい口に出しちゃった言葉を同席していたプロデューサーが気に入ってくれて。そこからコンセプト案として作り込んできてくれたっていうのが、実際のところです。なので、私が考えたとかではないと思うんですけど、すごくいいタイトルだなって思ってます!


─ 真乃さん、灯織さんはこちらのタイトルについていかがですか?

真乃:活動が長くなるにつれて、応援してくれているファンのみなさんとの距離が、少しずつ遠くなっているなというふうにはずっと感じていて。実際に、ファンの方からいただくお手紙などでも、そういう声が届くようになってきていたんですね。なので、気になってはいたんですけれど、どうしようもないことなのかなって、受け入れてしまっていたんです。でも、もしこの先も、さらに距離を感じてしまうことがあっても、私たちがイルミネーションスターズでいる限り、応援してくれるみなさんの近くにいたいと思っていることは伝え続けなくちゃいけないなって。

灯織:めぐるが最初に言っていたことについて、そのときは「隔たっていたものが溶けていくように」というニュアンスが強かったと思うんです。なので「境界」とか「溶ける」とか、そういう言葉がライブタイトルとして使われていくのかなと思っていたんですね。ところが、決定事項としていただいたタイトルは『曖昧な合間』でした。もちろん、異を唱えたいわけではありませんでしたが、「曖昧」という言葉によって語弊が生まれてしまわないかとても心配で。言葉だけを見ると、不穏な印象を抱いてしまいがちですが、真乃とめぐると一緒に、スタッフの方々から詳しくお話を聞かせていただく過程で、ライブの構成をされている方からお手紙をいただいて( ※ ご本人より許可を得て、以下に掲載)、私たちが感じているることについてのニュアンスを、絶妙に、それでいて誤魔化さず、きちんと表現していくださったうえで、このタイトルになったんだなと感じました。


イルミネーションスターズのみなさんへ

イルミネのみなさんや、283プロダクションのみなさんが、これから先、さらに羽ばいていこうとすればするほど、どうしてもファンの方々や、近しい人たちとの距離は遠くなってしまうこともあるかと思います。特に、物理的な隔たりはどんどん大きく明確なものになっていってしまうかもしれません。八宮さんが提案してくれた『境界線が溶けていくような』という表現はとても素敵ですし、ライブのタイトルとして活かしたかった一方で、その隔たりは、頑張れば頑張るほど、なかなか溶けてくれなくなってしまう頑固なものだったりもします。熱心に応援してくれているような人たちこそ、より、みなさんとの距離を感じてしまうことさえあるかと思います。

その避けられなさを、どうしたら乗り越えられるだろうと考えた時、受け入れてしまえばいいんだと思いました。これから先も、みなさんがアイドル活動をやめない限り、ファンのみなさんとの距離はもちろん、もしかすると、事務所内、あるいは、メンバー同士でも、自分と違う部分を見つけては、そこに隔たりを見出してしまうかもしれません。

だったら、あなたと、あなたの大事な人との合間にある曖昧な隔たりは、そこにあって然るものだとして、それでも、一緒に歩んでいく道を選べるようになってくれたらな。そういう気持ちで、『曖昧』な『合間』というタイトルをつけさせていただきました。

言葉だけを見ると、不穏な感じがしてしまうもの当然です。ですが、そういった、一見するとあったら良くないように思えるものとちゃんと向き合うことで、大丈夫になるものもあるんだよ、ということが伝わればいいなと思います。

『曖昧な合間』構成スタッフ:K



─ めぐるさんは、このタイトルを聞いた時、どう思いましたか?

めぐる:新しいことに挑戦しようっていうのは、3人でずっと言っていて。そんなときに『曖昧な合間』というタイトルをもらいました。それはポジティブに、私たちとファンのみんなとの距離を、いい意味で曖昧にしちゃおうっていうお話だったので、だったら、ライブでみんながいる席のところまで行っちゃおうよ! って言ってみたんです。それこそ、私たちが通路に降りて、ハイタッチしながら練り歩くようなパフォーマンスをイメージしていたんですけど。そしたら、ステージの総合演出さんが「客席に紛れ込んでみない?」って言ってくれて!

真乃:演出さん、すごくノリノリだったよね(笑)。

めぐる:そうそう! 紛れ込むって、どういう感じなんだろうって思ったら、座席の各ブロックに1人分のステージを作ってくれて!

灯織:センターステージで四方がお客さんっていう状況はこれまでにもありましたが、客席からあそこまで近くでパフォーマンスをしたことはなかったので、お客さんがとても近くて。初めてのライブを思い出して、すごく楽しかったのと、みんなが驚いてくれてるのが見て取れて、温かい気持ちになりました。





新曲について


01.スパークルミナリエ

灯織: こういう言い方は、もしかすると適切ではないかもしれませんが、初めて聞いたとき、アルストロメリアさんみたいだなと感じました。というのも、キラキラとイルミネーションが輝くような様々な擬音語が表現されていて、それに合わせて楽曲自体もキラキラとした音やピカッと光るような音が多く使われていて、それに、リズムが心地よくて。こういう、聞いているだけで不思議と踊りたくなってくるような気持ちになる曲は、アルストロメリアさんの得意なジャンルだと思っていました。いざ、私たちの曲として歌わせていただくと、すごく自然と音に乗れて、とても嬉しかったです。

めぐる:わかる! 新曲の音源は、 いつも3人一緒に聞かせてもらって、感想を言い合うことにしてるんですけど、 そういうとき、灯織はいつも、「まずは真剣に」って感じで集中して聴き込むことが多くて。 ただ、『スパークルミナリエ』に関しては、聞いてる途中から体が揺れていたので、楽しいんだろうな〜って思ってました!

灯織:そんなにだった?

めぐる:今すぐにでも踊り出しそうだったよ!

灯織:そうだったんだ。恥ずかしいですね…。


02. ブリスフルノーツ

真乃:これまでに私たちの曲として作っていただいたものは、どれも私たちにとって大切で、イルミネーションスターズとしての3人の繋がりや、3人だからこそ共有できる夢や目標を強くしてくれるもの、という位置づけだったんですけれど。 『ブリスフルノーツ』は、それに加えて「私たちは、音楽を通じてアイドル活動をしているんだな」ということを改めて強く感じました。曲名からもお分かりいただけるように、音楽をしていくことの喜びがまっすぐに表現されている楽曲でしたので。


─ 個人的には、1番のサビ前「流れてく記号が 紡いでいくメロディー 続いてく今日が 明日を歌ってる」のところ、3人が織りなすように輪唱するところが好きです。

めぐる:ありがとうございます! 実は、その部分、どの歌詞を担当するかってことですごく話し合ったんです。レコーディングでは、基本的に全員が全部の歌詞を歌った後、それを部分的に切り取って1つの歌にまとめ上げてもらうことが多くて、もちろん今回も方法としてはそうだったんですけど、実際にレコーディングをしているときに、 ディレクターさんから「めぐるちゃんはどの部分がいい?」っていうのと、「他の2人はどの部分を担当したらいいと思う?」 っていう質問をいただいて。 レコーディングは3人とも別の日だったんですけど、あとで聞いたら、真乃も灯織も、同じ質問をされたって言ってて。

真乃:こういうとき、私たちは、お互いがどこを歌いたいか、どこを歌ってて欲しいと思ったかを「せーの」で言い合うことにしていて。いつもみたいに同じだったら可笑しいなって思っていたんですけど、結果的にはちょっとずつ違っていて。だけど、どうしてお互いにそこを歌って欲しいと思ったのかっていうことを話し合ってみたら、同じようなことを考えていたことがわかって、やっぱり可笑しかったです(笑)。


─ 具体的には?

灯織:「紡いでいくメロディー」は、2人とも、私に歌って欲しかったみたいです。

めぐる:灯織の声で強く歌い上げて欲しかったんだ〜。

真乃:私もそう思ってました!

灯織:なので、そこは私の歌唱が採用されました。



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