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エピソード1:心肺蘇生

エピソード0:心停止の続き。
心拍が戻る事なく、地元の急性期病院に搬送されました。そして始まる心肺蘇生処置。
経皮的心肺補助・人工心肺(PCPS)
・人工呼吸器
低体温療法

・強心剤(アドレナリン?)の投与
等を施される。その結果、微弱ながら自力での心拍を取り戻す。しかし依然心臓の動きは弱い為、人工心肺で生き永らえてる状態。
この時点では、まだ病院に到着してそこまでは時間が経っていなかった模様。妻が一度呼ばれ状況を説明されたとの事。その時に言われた私の体に起きていた症状が心室細動

以上が私が急性期病院に運ばれてまず施された心肺蘇生処置になります。基本的に何処の病院に運ばれても、上記の経皮的心肺補助や人工呼吸器による治療を行われる事になると思われます。

その後はICUに移され、引続き予断を許さない状態で治療を続けられる事になります。
翌日、人工心肺を外す処置を行われる。その際主治医からは「回復のスピードは早い方」という事を告げられ、僅かながら希望を持つ。(妻談)
低体温療法・人工呼吸器は続いていた為、まだ体は冷たかったらしいです。

そして心室細動で搬送されてから3日後、令和3年3月13日、意識を取り戻す。妻はただ「説明するから病院に来て下さい」とだけ言われて呼ばれたので、相当な覚悟をして病院に来たとの事。
病院に着くと、私は目を開けており呼びかけに頷いたり手を握り返したらしいです。何故「らしい」という表現をするのかというと、この時の記憶は私は全く無いのです。私の記憶はその翌日から始まっていました。

私の中では、気付いたら病院にいて腕から首から鼻から管が入り、尿道カテーテルを挿されており、「一体、何が・・・。」状態。

というわけで、致死性の不整脈である心室細動から一命を取り留め、意識を取り戻すまでの流れです。続きはエピソード2:ICUで書きます。明日も宜しくお願いします。

以下は今日の記事で出てきたキーワードを簡単に説明していきたいと思います。詳しくはリンク先でお願いします。

経皮的心肺補助・人工心肺(PCPS)
いわゆる「エクモ」と言われるものですね。最近ではコロナ重症患者の最後の砦として耳にした方も多いのではないでしょうか。

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足の付け根から管を入れて血液を取り出し、人工心肺によって酸素化された血液を首に挿した管から送る。というわけです。これは私の場合、搬送された翌日に外されていた為、一切記憶に無いです。なので使用感や痛み等は答えられません。

人工呼吸器
こちらも医療ドラマのワンシーン等で一度は目にした事がある人が多いかと思います。こちらも私の意識が戻る前に外れており、痛み等は分かりません。意識が戻ってから看護師さんに「痰を出すように」と言われたのは、この人工呼吸器による副作用と思われます。

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低体温療法
こちらは是非ともリンク先を読んで欲しいのですが、一般的に脳に酸素が供給されない状態が続くと低酸素脳症と言われる心肺蘇生後の最も重篤な合併症が発症します。こちらも是非ともリンク先を読んでください。
蘇生後脳症は、心肺停止の蘇生後に生じる脳の損傷のことをいいます。通常、病院の外で心肺停止になった患者さんの心拍が再開したとしても、約7割がこの蘇生後脳症で命を落とすといわれています。また、そうならなかった場合でも脳に障害が残り、寝たきりの状態になることも少なくありません。そのため、蘇生後脳症を防ぐことはとても重要となります。(リンク先参照)
脳が損傷すると「認知機能の障害」や「身体の麻痺・痙攣」が出現する可能性があります。場合によっては命を落とすよりも辛い事になるかもしれません。それは自分だけでなく家族・友人にも及ぶとても悲しく辛い出来事です。
この低酸素脳症を予防する上で、とても有用な治療法がこの低体温療法になるのです。
私が今こうしてブログを書けているのもこの低体温療法を施したからと言っても過言ではないかも知れません。

心室細動
今回私の体に起きた症状です。致死性の不整脈です。
心室細動では、心室は細かくふるえるだけで、収縮がみられません。心臓から血液が送り出されなくなるため、心室細動は心停止の一種といえます。直ちに治療しなければ死に至ります。(リンク先参照)
「死」に「至り」ます。
私は事前にこれといった症状は何も無かったです。何の前触れもなく起きた心臓突然死という事になります。恐いですね。
この心室細動が起きた場合の唯一の治療法が「電気ショック」になります。AEDは使用すれば自動で心室細動かどうか判断し、電気ショックを流してくれます。心室細動は一分一秒を争う不整脈です。迷ってはいけません。躊躇ってる間に死んでしまいます。すぐに119番やAEDの使用を行って下さい。お願いします。

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さて、長くなりましたが、以上が私が心室細動で搬送されてから意識を取り戻す3日間に行われた治療になります。次はICUで過ごした1週間の治療、検査等を記したいと思います。今後も宜しくお願い致します。

続き→【エピソード2:ICU】

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