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【アートの記録_0021】

ピクトグラムとか、線画とか、好きなんです。

オペラシティアートギャラリーで今日まで開催されていた、ジュリアン・オピー展。友の会に入ると年間何度でも無料で観られるのをいいことに、4回観ました。気に入ったものだけを観たり、時間を変えたりして。

ジュリアン・オピーは人物や風景を単純化し、点の目とスッキリした線だけで描くポートレートや、輪郭線と塗りつぶした色だけで、その人となりまで表現してしまう。線のちょっとした角度で、人が動き出す。腕の組み方や、振り方、顔の向き、肩の丸みで、切り取られた人物の気分や表情まで見えてきそう。吹き出しを付けて大喜利をしたくなる。

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展覧会入口入ってすぐにババーン! 6メートル超の大型作品「Walking in Boston 3」。厚手のコートに深い色の服。ボストンは寒そう。隣には同じサイズの「Walking in NewYork 1」が。天井ギリギリまである2枚の大きな作品に出迎えられると、わあ!とテンションが上がる。

アクリル板や自動車用の塗料の発色の良さと、面で表現される色。

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実は風景画は初めて観たのだけれど、平面なのに奥行きがあって、引き込まれた。(なんのこっちゃ!)

面で塗られた板の上に、別な色の板を重ねて、前面の畑と奥の畑が表現されている。実際に板の厚み分の奥行が生まれているんだけど、それ以上に奥行きを感じる。電線に見える黒い筋は、曇天の空に切り込みが入っている。こちらは重ねるんじゃなくて、引っ込んでいる。線路か幹線道路沿いの田園風景で、流れていく景色なんじゃないかなと感じたのだけど、電線のラインの入り方と、太さの違いからそう思ったんじゃないかなと思う。乗り物が走るときの風圧で電線が風に揺れてるように見えません?

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電光掲示で動く姿もかわいらしい「Blackbird」。ハシボソガラスのように見える鳥が歩いたり、地面の何かをついばんだり、糞をしたりする。ついばむときにはお尻がピョコっと上がり、糞をする前にはちょっとキョロキョロ辺りを見回す。ものすごい観察眼。輪郭だけなのにとてもリアルなのが不思議。この写真の右奥にある「Sonia Elvis Elena Paul」は電光掲示で4人の人物が走っているのだけれど、1人の女性は腕が肘を曲げて振れていなくてペタペタ走っている。スポーツが不得意そうだけど、小型犬のようにトテトテ走る姿は愛らしい。4人に1人くらいの割合でそうやって走る人がいるのかもしれない。

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この重厚感ある石とアルミでできたヒツジが、観るほどに好きになる。この幅というか厚みが、ヒツジ感を出しているんじゃないかと思う。またいで乗れそうな背中がたまらない。クッションを買おうか迷っていたら、最終日には黒ヒツジは売り切れていた。残念だけど、ちょっとほっとしている。だってあったらうっかり買ってしまいそうだから。


3回目は「ヨリミチミュージアム」という複数人数で一緒に鑑賞して感想をシェアしあうというイベントに参加して鑑賞。少人数だったけど、感想を伝える前提で観ると、また違う。真面目にメモしちゃったりして。

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ご一緒した人は、長方形の柱にぐるりと人が描かれて、人物が交差する「Street1」をお団子ヘアの女性の角から観るのが好きだと言っていた。直前にボルタンスキーを観て、ちょっとぐったりしていたところにオピーの作品群を観て、明るい気分になった、美術展巡りの一日の最後がオピーでよかった、とも言っていた。作品が「生きている」からほっとしたんだそう。こういうお話を聞けたのも、人と観る楽しさだなあと思った。

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友の会会員だからフリーなんだけど、チケットはくれる。蛍光オレンジの作品リストもおしゃれ。最終日のチケットはなぜかブルーだった。

繰り返し、いろいろな鑑賞の仕方も楽しめて、むちゃむちゃ堪能したジュリアン・オピー展。友の会に入ってよかった。大満足の3か月でした。

【ジュリアン・オピー】イギリスの現代美術作家。点と線という最小限の視覚言語で構成された人物像やポートレート、風景などを、平面、立体、映像インスタレーションで展開する。(水戸芸術館サイトより)

オペラシティアートギャラリーのサイト。https://www.operacity.jp/ag/exh223/ サイトもいいけど、Instagramがおすすめです。https://www.instagram.com/operacity_ag/

トップの画像は、いつだか忘れたけど、瀬戸芸に行った時の写真。香川・高松港の近くに4体設置されているうちの1人。多分「弁護士」。

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