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出かけるテレワーク!体験記


新型コロナ対策の突然の在宅勤務で、リモートワークがもっと普通になりそうな予感がしたのだけれど、なんかあっという間にもとに戻ってしまって残念。

でも、出勤しない働き方は、第2波対策としても、そして働き方改革としても、もっとやるべきだと思うんだよね。

なので、一人でできる、新しいテレワーク実験をしてみることにしました!

名付けて、「出かけるテレワーク」!!!

住んでいるところでもなく、居住地・勤務地以外の場所から行うテレワークです。職場から見れば、自宅だろうが別の場所だろうが同じこと。であれば、どこかに出かけてテレワークしてもいいんじゃないかな?しかも、仕事にも、暮らしにも、新しい価値が加えられる気がする!

きっとこんなプラス効果があるに違いない…
①非日常の中で日常の仕事をすることで、仕事に創造性をプラス
②介護など課題解決のために行うものから、誰でも自発的に使えるものに、テレワークに積極的価値をプラス
③みんなが同時にではなく、できる人ができるときにリモートワークすることで、働き方にダイバーシティをプラス
④様々な地域に平日の滞在人口を作ることで、地域経済の活性化にプラス
⑤地域間のビジネスベースの人の交流の機会を作ることで、広域経済圏の深化にプラス

と、こんなことを考えて、やってみました。

実験遂行日は6月2日火曜日。
出かけるテレワークは、私の職場では認められていないので、年休を取って実行。会議を一つ設定して、あとは随時やりとりをすることにして、終日zoomを繋ぎっぱなしに。

場所はうきは市にある民間のコワーキングスペース、FLATFORM UKIHAです。
通常はドロップ利用はないのですが、今回、実験ということでご協力いただきました!

ほんとに、楽しくて楽しくて、これまでにない経験でした。
ここからは、あの衝撃の一日を振り返りながら、ご報告。

* * *

6月2日火曜日。
6:00 家を出発。
私が住んでいるのは、大野城市中。南福岡駅まで徒歩35分です。とことことこ。


6:44 南福岡駅から鳥栖まで普通列車に。
平日の南向きだから、もっとガラガラだろうと思っていたけど、結構乗っている。
いつもと違う車窓。旅気もするけど通勤感もある。日常の中でこっそりイケナイことをしてるような、こそばゆい感じ。

7:16 鳥栖着。
鳥栖駅のホームで、線路の間の雑草たちを見る。みんな生きてるなー。


7:30日田行きに乗り換え。
久留米まで行く人がたくさん。久留米からもたくさんの人。
吉井までは普通に通勤列車の雰囲気でした。
吉井駅で制服の子供達がたくさんと少しの通勤風の大人が降りると、あとは旅列車の雰囲気。やっと(^.^)

8:19うきは駅。
うきは駅は交通カードが使えず、現金支払い。静かな駅前。人の気配なし…。


さて、少し時間があるので、うきはを歩きます。国道沿いにうきは唯一の酒蔵、いそのさわ。少し歩いて隈上正八幡宮、重定古墳。折り返して充実した市民センターとか文化ホールの横を通り過ぎて、静かな歴史ありそうな住まいの並ぶ地区へ。Googleマップを頼りに、細い小径を行きます。道の脇にはきれいな水が勢いよく。そして目的の場所。
駅から数分で、こんな静かな豊かな田園の町に来られるのってスゴイ。駅前はなにかもう少し工夫の余地はありそうだし、公共施設や神社の並ぶ一帯は、線・面としての存在感をもっと作れそう。クルマ中心の社会になって、駅前や拠点の間が死んでしまっているのはよく見かけるけど、ここ、うきはの駅周辺は、車がなくても暮らせる美しい田園の町として、これから磨かれていきそうです。


9:00 FLATFORM UKIHA到着。
https://ukihanotakara.com/630/

ここに事務所を構え、運営メンバーでもある大熊充さんが出迎えてくれました。大熊さんとは、ビジップ(株)の交流会でご挨拶して以来。おばあちゃんたちによる食堂やおばあちゃんたちの送迎、飲食店のテイクアウト支援など、うきはで大活躍のうきはの宝(株)の社長です。建物を案内してもらい、運営の代表である江口彰啓さんを紹介いただき、さて、仕事スタート!


まずは、ここ数日のいろんな動きの中で、withコロナのコミュニティとNPOについて、考えたことをメモに書き出していきます。少し煮詰まったら、防災関係のweb研修をしばらく受講。うきは市役所の熊懐真孝さんとミーティング。職場の部内ミーティングをzoomで。古民家の空間の力と窓の外の風景に癒されながら。

12:00お昼。
大熊さんと熊懐さんに連れられ、パーコラーメンの有楽さんへ。美味しい!!地元から愛されてるこういうお店はほんとに、お腹もココロも温まる!!自転車で食べに来たいなあ…



13:00さて、午後の仕事に。

午前中の続きで、頭の整理と研修受講を交互に。職場に連絡してNPO関係の資料を送ってもらい、コメントと指示を返す。コワーキングスペースを利用されてる水野順二さんと情報交換。急遽少し込み入った職場のミーティングにzoom参加することになり、クローズっぽい場所を探して少しうろうろ。ミーティング後、いろいろ整理していたら、もう終業時刻。年休なのでいつもより少し早めに設定してました(^^;)。

当たり前だけど、仕事はちゃんとできました。非日常に投げ込まれて、頭はいつもより活性化してたと思います。打ち合わせ内容とかにより、場所を上手に使わないといけないことがわかりました。テレワーク自体にまだなれていないので、なれなきゃ。
職場の側からみても、うちの職場はまだまだテレワークに慣れていません。何人かテレワークしている状態が当たり前になれば、例えば親が体調を崩してしばらくそばにいてあげたいとか、子育て中で子供の具合が悪いとか、いろんな時にも職場側が対応できるようになります。少しずつでも慣れる工夫をしていきたいな。


17:20みなさんにご挨拶して、出発。一日ありがとうございました。

ここから帰宅するまでがもう一つの旅。
まずは国道の方には行かず、建物の南側、巨瀬川の方へ。
川に沿って、てくてくと吉井方面に向かいます。
南には、浮羽稲荷神社もある耳納連山の東の端っこの丘に、中腹まで果樹園が広がっています。フルーツの里うきは。
川に沿ったり、畑やブドウ畑の間を行ったり。製材所には、沢山の丸太が鮮やかな年輪を見せています。



できるだけ、細い道、曲がった道を選びながら、ゆっくり、のんびり。
なにかの記念碑のようなものに出会いました。浮羽島、とあります。
景行天皇の九州巡幸の際、ここで食事をされたが、家臣が盃を忘れてきていて、「惜しきかも、わが酒盃(うき)はや」と言われたと。うきはの名の由来の場所に、期せずして出会うことができました。こういう予期せぬ出会いが、旅の醍醐味ですね。

そこから、国道をまたいで、さらに細い道を探して歩きます。脇の水路にはバイカモが花盛り。田んぼに火を入れて、その周りで井戸端会議のおばさまたち。炎とゆらめく大気の上に、ぽっかりと太った半月。


道は吉井町の白壁の街並みに入ってきました。深い水路。水路に降りる石段。板塀に取り付けられたはしご。はしごの写真を撮っていると、自転車のおばあさんが話しかけてきました。昔は火事に備えて、町内でそれを買って、そこに取り付けてたんだよ。へえ、スゴイですねえ。今はそれじゃあ届かない家が増えたけどねえ。一瞬の邂逅でコミュニティが鮮やかに浮かびあがります。

18:30 旅の終わりに、赤提灯を見つけて暖簾をくぐります。
磯吉というお店。美味しく飲んで食べながら、1日を振り返ろう。


朝の旅は、通勤がだんだんと旅に変わっていく道のり。そして非日常の場所で日常の仕事を始めると、脳が混乱して、日常と非日常というものの価値がぶつかり、混ざり、混沌に…。そして脳が活性化していったような気がします。
帰りの旅は、知らない町なのに知っている町を歩く旅。知らない町の日常を歩くつもりだったのですが、一日うきはで仕事をしたことで、いつのまにか知っている町、自分の縄張りの町のような感覚になっています。知っている町の知らない街角で知っているんだけど知らない風景に出会っているような。旅のようでもあり、日常での発見のようでもあり。日常と非日常の脳内領域が、ここでも衝突したのでしょうか、一瞬一瞬に鮮烈な印象を残しています。やってみるまでは気づかなかった、出かけるテレワークの、旅としての価値の大きさ。そんなことをぐるぐると考えながら、天ぷらとジャガイモがお腹を満たし、お酒は全身をめぐりめぐっています。もう、駅に向かわなくちゃ。

19:57吉井駅から電車を乗り継いで、さいごはてくてく歩いて家に。

22:20帰宅。いい1日でした。

* * *

やってみてよかった。
テレワークがより創造的になるように、そして、地域に平日の観光需要がつくれれば、と思ってやってみた実験。どちらも、思った通り、絶対に価値があります。

でも、驚いたのは、それ以上に、旅としての価値の大きさです。平日に休みが取りにくい日本のサラリーマンの苦肉の策と考えていたところもあるのだけれど、それは大きな間違いでした。出かけて仕事をすることで、旅自体の価値が上がるということに初めて気がつきました。ただ単に旅をするのではなく、その場所に自分の日常を持ち込むことで、こんなにも旅が色鮮やかなものになるなんて。そして、日常と旅が一つになることの驚き。出張とも何故か全然違う…
これは言葉では伝えられません。

みなさん、ぜひ、ぜひ、ぜひ!!
仕事に創造性を。地域に活気を。新しい日常の旅を。
出かけるテレワーク、してみてください!!

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