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セレンディピティのためのことば435「世阿弥の創造性」

イノベーションと解体。この二つの方向のもとで世阿弥は作品を作った。世阿弥の面白さは、「新しさ・珍しさ」を言いながら、けっして世阿弥オリジナルな物語を作らなかったことである。能のなかの物語は、いずれも過去に語られ、多くは誰もが知っているものである。誰もが知っていることが大事だった。その誰もが知っている物語を世阿弥は「本説」と言った。「本説」を、新しい姿のなかで観客に送り届けることが、「新しさ」であり、「珍しさ」であった。(土屋恵一郎『世阿弥の言葉』2013より)

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