亥の子餅、こしらえました

今日は陰暦十月の亥の日。
無病息災と子孫繁栄を願い、千年以上にわたってこの日に食べられてきたものがあります。「亥の子餅(いのこもち)」イノシシのこども、うり坊を模したお餅で源氏物語にも描かれています。冬場の火難除けの意味もあり、茶道では炉開きのお菓子として親しまれています。

季節の和菓子や郷土菓子には無病息災や厄除け、延年長寿や子孫繁栄を願い、数百年〜千年以上の由来をもって今に伝わってきているものがいくつもあります。

めぐる季節をまた今年も迎えられた喜びと、無事すこやかに過ごせるようにと願いを込めてこしらえられ食べられてきたもの。和菓子の「季節感」を丁寧に言うとそういうことなんだと思います。

今年の2月の立春から、秋分や冬至など今でも耳なじみのある暦、二十四節気に合わせ和菓子とともにその時期の過ごし方をこのこよみ薬膳で書いてきました。

私があつかう中国伝統医学(中医学)を基にしたもので、その特徴は3つ。

1. 予防
健康な状態を基準に、病にかからない、かかる前に治す、かかってもすぐに回復する心身をつくる

2. バランス
からだの一部だけではなく全体、からだだけでなく季節による気候変化や環境、心理状態との調和を見る

3. オーダーメイド
こころもからだも一人一人異なることを前提に、病や不調の対処も人に合わせて変わる

半月で変わっていく二十四節気は、気候変化をうむ太陽の運行に則り、体感より1か月前後はやく進むため、季節とからだの"バランス"を先取りして不調を"予防"するリマインダーになります。特定の季節に出やすい症状からはその人の体質や不調の原因を知る手かがりにもなります。

先日、3年間目標にしてきた國際薬膳調理師の試験に合格しました。

中国の機関が主催で、試験範囲は中医学基礎理論、診断学、中薬学、方剤学、営養学、薬膳学、内科学を一部含む弁証施膳(診断・分析・治療方針の選定・薬膳の考案)の7科目にわたり、食よりも中医学知識の方が問われます。

合格だけで終わらない実力をつけるという先生の方針のもと時間をかけて学んできたおかげで、遠方の家族の体調管理も生活習慣の改善にくわえて不調時のOTC薬の選定まで的確にできるようになってきました。

でも、自分自身をケアする余裕を失った人には「健康」や「養生」では届かない。

仕事や生活の無理がたたって患う病や長年の不調は一朝一夕でできるものではなく、積もったチリが山崩れを起こすようなもの。精神的な負担は病の原因になるだけでなく薬の効き目にすら作用しますが、その最中にいると気づけない、耳に入らないもの。私自身や大切な友人たちもそんな貴重な経験をしてきました。

一方で、2年半にわたってひらいたごはんの会「ごちそうじかん」では、たった一度でも、1,2年経っても、その時話したこと感じたことをよく覚えていて今もわざわざ伝えてくださる方、それをきっかけに何かを変えられた方が一人二人ではありません。

旬のたべもの、草花、年中行事など、食卓に織り込んだ四季のある日本の風物が、季節がめぐるたびに何度でもその時のメッセージを伝えてくれるのでしょう。

ささやかな日々を大切にすること。
季節が少しずつ変わっていく様にひととき目を留めて味わう余裕を十分に残しておくこと。
日々ほんの少しでも自分自身に目を向けて手を当てること。

いつまでもすこやかにのびやかに過ごせるように。小さなヒントを添えてこの普遍的で素朴な願いを伝えたい人に届けるならなにより和菓子がいい。日々刻々と変わる季節に耳をすませ自らの手でこしらえ届けることがいつか私の日常となるように。

新しく心に描いた未来の姿。少し時間はかかるかもしれないけれど、これまでのように一歩ずつ着実に歩んでいきます。

#亥の子餅 #陰暦十月亥の日

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こよみ薬膳 -sole-

からだとこころを季節のリズムに乗せてかろやかに。 東洋医学の主流、中国伝統医学と薬膳の知恵を元に ゆるやかに調子を上げていくメッセージを 二十四節気に合わせてお届けします。
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