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【Pの一人語り】ミリアニがアツい。【総括編/ネタバレあり】

↓第1幕編

 こんばんは、しおさいです。
 気が付けば今年もあと1週間と少しとなりました。朝の凍えるような寒さの中、冷たい風に当たりながら自転車を漕いで最寄り駅に向かう毎日です。

 さて、8月末にアニメ「アイドルマスターミリオンライブ!」についての記事を長々と書きましたが、あれから4か月、ついにテレビ放送も最終回を迎えるに至りました……!
 ということで、今回は全体を振り返っての感想です。
 本当は本放送が始まるタイミングで宣伝も兼ねて書きたかったんですが、結局間に合わず……。今からでも遅くはありません!この記事をきっかけに、ミリアニで楽しく年を越していただければと思います。

※この先の文章は僕の主観のみで構成されていますので、読者の皆さんに僕の言ったことがそのとおりに刺さることは保障しません
※ネタバレあります
※すごくすごく長いです(特に後半)


好きなポイント

各話で文量に差があるのは許してください。

1話(先行上映第1幕)

 1話です。正直に言います。開始15分で泣きました
 いや、序盤でいきなり「ToP!!!!!!!!!!!!!」をお出しされたらASPとしては拝むしかなくなるでしょ……。ASが本編に出るのかどうかすら直前までわからなかったので尚更です。あの迫力あるライブシーンを映画館の大スクリーンと音響で浴びた僕は、この時点でミリアニに対して全幅の信頼を置いたのでした。
 1話でまずこれをやるということが僕はすごく意味があると思っていて、なぜかというと、ミリオンライブが初めましての視聴者であるほど、未来や静香、翼の目線と、自分の目線を、感情を重ねられるからです。キラキラのステージを初めて目にし、そこにとてつもない憧れを抱く二人に、僕たちも強く感情移入することができる。そんな点で、この1話こそミリオンライブを知らない方に見てほしいな、と思ったのでした。これはネタバレにならない程度に【第1幕編】で書いた気がします。確か。
 桜吹雪がぶわっと吹いて、未来の輝く目に静香が心を動かされたシーン。本当に綺麗でした。そして、ジャングルジムに駆け上がって、星空を見ながら決意を新たにする二人の姿は、ゲッサンミリオン履修済みの僕にはすごく刺さりました。

2話

 2話。池袋駅の描写がいちいち細かくてにやりとしました。こういう丁寧な作り込みも個人的には好きなポイントです。
 そしてオーディション会場、なんか見たことあるなと思ったら、そういえば中野サンプラザだ、と記憶を無事掘り起こせました。記念すべきミリオン1stライブの会場、ここを始まりの場所に選んでくれるとはやるな……と思いました。まさかこれが序の口だとは考えもしなかったけれど。
 未来と静香が階段を上がって受付に来ましたが……アアッ担当が動いてる!!しゃべってる!!!!
 ……すみません、取り乱しました。さすがに担当が動いたくらいでそこまでならんでしょ、と思っていたのですが、いざ直面すると興奮するものです。
 オーディションが始まりましたが、不安と焦りのあまりミスを連発してしまう静香。その声と表情が本当に苦しそうで、見ているこちらも胸が締め付けられるような、そんな思いがしました。しかし未来と翼の後押しのおかげで、静香は調子を取り戻します。Cメロでの覚醒、あの力のこもりようは本当にすごかった。

私は私でしかない 可能性でしかない
世界に一つだけの音を持つ 希望

"Rat A Tat!!!"

この歌詞との相乗効果もあって、ぐっと引き込まれました。本放送が始まるまで、この回が「Rat A Tat!!!」のCメロ以降を最初に耳にできる機会だったことも、拍車をかけたように思います。これでこそミリオンの青、最上静香であり田所あずさなんだなぁ……。
 最後はまさかまさかの3人→37人の集団幻覚。そんなことあるか?となりましたが、これもいちぽむの強さを早くも存分に見せてくれたという風に感じます。

3話

 3話、劇場シアターにやってきた3人がまず出会ったのはアートをつくるロコに、白馬に乗って登場するまつり、なぜか野球をしている昴に海美。そして大量のグッズとともに登場した、めちゃくちゃ動き回る茜。個性派揃いのミリオンスターズの中でも、キャラクターの強い面々を真っ先にぶつけられました。だがそれがいい。
 そんな中でメインに据えられてきたのが百合子でした。先輩だから、とどうにか頑張ろうとしていましたが、どうも上手く行かない。でもコロコロと表情を変える百合子はかわいいですね。
 そしてその百合子たちに助け舟を出すまつりの動きも光りました。この回で百合子とまつりに惹かれた人は多いのではないか、そう思うほど魅力的に描かれていてよかったです。あと豊洲の夜景が皆大好きになったんじゃないでしょうか。

4話

 4話。Pの知らないところで原っぱライブがどんどんひっちゃかめっちゃかになっていくの、すごくミリオンでした……。そしてその中で37人それぞれに少しずつスポットライトが当たっていくのも、またありがたかったです。
 大混乱の末、原っぱライブについて一度話し合うことになったものの、皆の方向性はなかなかまとまらず。「プロなんだから他にもっとやるべきことがある」「中途半端にやるくらいならやらない方がいいしやりたくない」これを言えるのはあの中ではまず桃子しかいなかったし、決して何も間違っていないんですよね。だから見ているこちらもつらかった……。ムビマスの志保のことが連想されたので余計にそうでした。
 しかし、アイマスアニメの通例ともいえる曇らせ展開を長引かせないでくれたこと。ここがよかったと思います。瑞希のファインプレーが光りました。やっぱりみずももなんだよなぁ……。そしてその上で「やりたい」とはっきり言える育もまた、ここにおいてキーになる存在でした。気遣おうとしてもなかなか踏み出せない琴葉に、陰で見守るまつり、心配になって見に来た奈緒と美奈子。皆お互いを大事にしていると感じられて、温かい気持ちになりました。
 この回を通して、未来がどんな子かという印象もより強められたと思います。「待ちきれない、何かしたい」そんな思いをくみ取って、同じ気持ちでどんどん前に進もうとする。それは良くも悪くも、彼女の性格の特徴です。でもここで萎縮せずに、正直に自分の気持ちを言うことができたこと。そしてそれを皆が受け止めたこと。Pも「やりたいこと」を決して否定しないで、大事にしようとする姿勢が感じられて、とてもよかったです。翼も機転をきかせたのか、いたずら心が働いたのか、個人的には瑞希と並ぶこの回のMVPでした。そういうところだぞ、翼。
 目指すものが違えど、ここで皆の心が一つになれたような気がしました。

 先行上映では4話まで終わったところで初めてOPが流れ、「Rat A Tat!!!」のフルバージョンとともにスタッフロールとなりました。初見時、この流れがあまりに神がかっていて大興奮したのを覚えています。

5話(先行上映第2幕)

 5話。チラシを配るのり子と一緒にりんごを配るひなたがかわいかった。
 ミリオンのトレードマークとなっているパピヨン(=チョウチョ)、その由来は今まであまり聞かされてこなかった気がしますが、この回を通してその答えの一つが描かれたことで、パピヨンにも思い入れが強まったと思います。1話のさなぎがチョウになる描写から、しっかり伏線を張ってやってくれています。
 そしてもう一つ書くならば、やはり「てづくりのぶどーかん」そしてミリオン始まりの歌である「Thank You!」のことでしょうか。

みんなでつくったの(遅くまで残って)
てづくりのぶどーかん(看板は虹色)

"Thank You!"

お泊りして、夜なべしてみんなで作り上げたミリオンスターズの最初のステージ。僕はミリシタからのPなのでグリマスのことは伝聞でしか知りませんが、グリマスを始めるときの劇場は、まさに原っぱにテントを立てただけの「てづくりのぶどーかん」でした。その歴史を知った上でこの回を見ると、心に来るものがあります。
 そしてパフォーマンスが始まりますが、何を歌ったかといえば、

初見僕「We Have A Dream!?!?!?!?!?!?!?」

びっくりした。そこから来るか~と思いましたが、確かにあの場面にはぴったりな歌詞でしたねぇ。
 そして最後にアコースティックver.の「Thank You!」。
 ミリオンが初めて本物の武道館のステージに立った4thライブでは、のちにミリシタから参加することになる2人が、観客席でライブを見ていました。そしてこの回では、同じように後から合流する紬と歌織さんが原っぱライブの客席にいて、ステージの上にいる未来に手を引かれています。この史実を踏まえたものとみると、ここにも歴史が感じられますね。

6話

 6話。その紬と歌織さんがついに劇場に合流します。紬はやっぱり早とちりを発動させてつむつむしていましたし、歌織さんはいきなり圧倒的な歌唱力を見せつけてくれました。個人的にいいと思ったのが紬の百面相で、ミリシタだと表情の変化が控えめになっている印象がありましたが、ミリアニではコロコロと表情を変えていてかわいかったです。普段はクールで凛としていながらもそうであるところが、なお魅力的ですね。ぐるぐるしてる。
 そしてこの回ではミリオンに「家族」という軸が加わります。春日家が仲睦まじくてあたたかくてほっこりしました。その様子が描かれたうえで、未来の「劇場がおうちだって思えばいいんだよ!家族いっぱいの!」というセリフが効いてきます。この概念、6話を見ている段階では「うんうんそうだねぇ……」くらいの感想でしたが、本作の後半になるとさらに重要になってきます。ある意味キーポイントです。
 一方で、家庭事情が複雑な静香と志保。クレッシェンドブルーなどでいがみあっている印象のある2人でしたが、そこまではせず、逆に変に馴れ合いもしない、ちょうどいいくらいの距離感で描かれていて結構好みでした。そしてそのあと、出番を前に志保が黒猫に語り掛けたところで語彙がなくなりました。この子は……本当に…………。可奈が救いでしたね。
 最後、いよいよTeam1stの「Star Impression」がお披露目されます。1曲目からミリオンの楽曲の強さ、出てるなぁ~~~と勝手に満足していました。「Blue Symphony」が好きなオタクなので尚更刺さったのかも。パフォーマンスもバチバチに気合入っていましたね。

7話

 7話。待望の担当回にして待望の(?)水着回。いつものクレイジーなミリオンをやってくれました。莉緒のセクシーポーズといい風花の映し方といいこれ本当にニチアサかよ。
 この回通して個人的に好きなのが、解説員に徹する亜利沙。企画の狙いをしっかり理解しデータも動員して自慢げに説明しつつも、後半に展開が変わっていくと感極まっていつもの感じに戻っていました。「これは安めの着ぐるみですね!」→「安め?」のやり取りが面白かった。
 OP明けからしてもうトンチキな面が見えていましたが、さすがにチュパカブラと断崖絶壁が出てきたところは笑いを禁じえませんでした。しかもチュパカブラ、無駄に動きが俊敏。瑞希が超電磁砲のごとくコイントスで応戦したあの凛々しいカットは最高でした。結局CV誰だよ(BDを買いましょう)。
 そしてサンライズ立ちでビシッと決めた琴葉。担当とはいえさすがに「いやいやいやいや……ww」という反応になってしまいました。はたから見れば非常にクレイジーな絵面なのに、たぶん琴葉本人は至って真面目にやっているのだろうなと思うと尚更にやけますね。そういう子です。
 コンプライアンスが破壊されていたり皆の身体能力が明らかに常識外れだったりとツッコミどころは満載でしたが、ターザンから落ちた可憐をすぐさま助けに向かった大人2人や、崖から落ちた環をとっさに抱えたのり子など、それぞれの根にある人を気遣うところはしっかり出ていたと思います。また、競い合いながらも最後は皆で一つに、この流れは前半でおどおどする可憐に恵美が助け舟を出し、そこで琴葉が何かに気づく、という場面からすでにできていたものの、僕は3回目の視聴(本放送)でこの伏線に初めて気づいて「なるほどなぁ~~~~」とため息をついていました。上手かった。

8話

 8話。このみさんのもと、Team4thがトラブル続きのステージをどうにか成功に導いていきます。
 4話を経てもやはり他の皆と壁を感じていた桃子。亜利沙に詰め寄らr……話しかけられるも、「子役時代のことはあまり覚えていない」と素っ気ない態度をとっています。一人で黙々と台本と向き合っていた回想や、亜利沙の鋭い気づき(こういうところに気づけるのが亜利沙のいいところではないでしょうか)で、「あ、これ子役時代に何かあったな……」と勘のいい人には思わせられるようになっていました。この後に触れる千早や志保の家族関係といい、直接的に表さずともその子のバックグラウンドを伝えられるというのは、やはり「わかってる」制作陣だったからなのかな、と思っています。
 そして、リーダーにして765プロのアイドル最年長であるこのみさん。1回目、ガラッガラの観客席に落ち込むメンバーを上手く励ませず、しかし「任せなさい」と言った手前、Pに相談するのも憚られる、と迷ってしまいます。最年長で社会人経験もあるとはいえ、このみさんもまだ24歳で(大卒なら新卒2年目ですよ?)、そして決して完全無欠の人ではありません。だからこそ、Pが「俺はプロデューサーで、このみさんはステージで輝くアイドルですから」と自信をもって言えて、できる範囲でサポートをしっかりやれたのがよかった。
 ……他3人のことが少なくて申し訳ないですが、大人組として場を鼓舞できる千鶴さん、会話を軽妙にできる盛り上げ上手の奈緒、自慢の創作意欲でステージを目一杯彩れるロコ。4thがこの6人だったからこそ、深刻な状況にあっても話が重くならなかったのだと思います。
 一通り見て、OLから「アイドル」になったこのみさん、子役から「アイドル」になった桃子、アイドルオタクから「アイドル」になった亜利沙というように、4thの人選がこの回のサブタイトル「変わるためのステージ」にものすごく合っていると感じられました。まさにこのための8話だった、という感想に尽きます。

9話(先行上映第3幕)

 公開初日、Twitterの「#ミリアニ視察報告」を何となく追っているだけでも「めちゃくちゃよかった!」などという感想がなだれ込んできたので、夏休み終わりが迫る憂鬱な気分を打ち払うのも兼ねて、2日目に行きました。そしてこの第3幕は、期待をはるかに上回るものだったのです。

 9話。予告で「ASのバックダンサーをやります」とは言われたものの、まさかここまでASPを救済してくれるとは思ってもみませんでした。やりすぎ。
 アニマスやムビマスを経て成長したASはもう立派な「先輩」でした。不安を抱えた紬や歌織さんにしっかりとアドバイスをしながらも、一方でうれしさや悔しさを変わらず持ち続けていたり、伊織と真がバチバチやっていたりと、あぁやっぱりいつもの皆だ、と安心感も覚えました。「雪歩は黙ってて!」が……来ない!?と驚いた人は多かった。「今できなくてもこれからできるようになっていけばいい」その積み重ねで今があるからなぁ、としみじみしていました。
 信号機の3人も、それぞれがミリオンの3人と向き合います。千早は「もう持っていると思う。アイドルに大切なものを」と、多くは語らないものの、そんな心からの、不器用ながらもまっすぐな、千早らしい言葉を静香にかけています。大切なものを皆から教えてもらった今の彼女だから、言えることなのだと思います。
 美希は、相変わらずのねぼすけで、天才で……かと思いきや、リハが終わってもなんと自主練。かつての彼女を少しでも知っていれば、翼と同じように「意外」という感想を抱いたでしょう。でも今はそうではない。たいていのことはさらりとこなしてしまう美希が、もっと上へ行こうとするASの仲間たちを見て、「努力する」ことまでも覚えてしまった……。だからこその、「翼、このままだと負けちゃうかもね~」という言葉なのです。それはきっと、仲間たちに負けてしまうと、美希自身が思い知ったからだと考えています。
 一方、思い悩む5人を励ます言葉が見つからなかったP。「そう思えるのは、皆に寄り添っている証拠」「笑ったり泣いたりして、一緒に成長していけば」というチーフPのアドバイスは心にきました。「個性豊か」どころではない13人をトップへと導いてきたがゆえの重みがあります。「まだまだ振り回されることの方が多いんだけどな」まあ、そらそうだろうな……。これを受けてPも、いい言葉が見つからなくてもできることがあると、動いていました。何というか、僕自身もプロデューサーとして気持ちを新たにできた描写だと思います。
 そして、春香と未来。2人はやっぱり同じ何かを持っていて、同じ景色、輝きの向こう側を思い描いている。だから2人は、根っからのセンターなのだなと感じました。その上で、春香の助けを借りながら自分でもう一度立ち上がる、そんな未来の強さも見えました。未来の手を春香が引くのではなくて、未来が春香の手を引く。先輩後輩、上下の関係じゃなくて、ミリオンスターズは52人で一つなのだなぁ、とも思えます。泣くだろ。そうそう、春香の「一人も見逃したくないって思う!」これもですよ。「UNION!!」ですよこれ。
 ついに本番、流れてきたのはなんとまさかの「READY!!」。初見時本当に興奮して語彙が消えました。ところどころ、プロデューサー2人の立ち位置や構図だとか、何よりカメラワークとか、楽曲の後半ほとんどがアニマスのOPと最終話をオマージュしたものになっていたので、アニマスの記憶がフラッシュバックしてきてガチ泣きしました。さすがに耐えられなかった。落ちサビでASからミリオンへバトンがわたり、下段で踊る春香が後ろを振り返って未来に視線を送る描写は、

少し斜め後ろ 誇らしく輝く
まなざしは 美しい

"ハルカナミライ"

やってくれたな!!
 
ここまで素晴らしい回作り上げて誇らしくないの!?という感じでした。応援上映でも全力でコールできて楽しかったです。ありがとうございました。

 ……え、まだ終わってないの?

10話

 ということで、10話。専ら静香に、そして「家族」に焦点を当てた回となっていましたが、そこで星梨花はともかく千早と志保を絡ませてくるの、さては人の心ないな?それはそれとして、差し入れに来ることエレがかわいかったです。
 上手く歌えず憔悴しきっている静香に、どうしたものかと千早は考え、答えとしてチャリティーコンサートの会場に静香たちを連れていくことを決めました。そこで出会ったのは、父親を亡くした親子。千早は一歩踏み出して歌い始めます。思い出すのはやはり、アニマス20話のこと。皆の届けた歌が、歌声が、あの絶望の淵から千早を救ったように、千早もまた、他の誰かに歌を届けているのです。それを知った上だと、このシーンの見方も変わってくると思います。
 この甲斐あって、静香は「アイドルに大切なもの」を思い出します。歌いたいから歌うのだという気持ち、誰かに歌を届けたいという気持ち……。時間というしがらみから解き放たれて、ずっと抱き続けてきた想いを込めて、本番の「Gift Sign」で、見る人の心をつかむ、優しくも力強い歌を聴かせてくれました。2話で未来と翼から押された背中を、もう一度押してもらって、羽ばたいていく。Pも言っていましたが、「アイドルに憧れるという才能」を目一杯発揮したものとなっていたと思います。
 そして、時系列は戻りますが、未来と翼がPとともに静香の父親を説得しに行くシーン。静香の憧れと努力を、ミリオンスターズの誰よりも知っていたからこそ、それができたのでしょう。父親の「苦労しますよ……私に似て、頑固者ですから」のセリフでじーんと来ました。反発しあっていたように見えて、やっぱり親子なんだな。

11話

 11話。いよいよクライマックス、劇場のこけら落とし公演に向けての準備が始まりますが、ここで初めて公演名が「RAISE THE DREAM」であることが明かされます。11月に10thライブツアーのAct-3が行われましたが、その公演名は「R@ISE THE DREAM!!!」。コンセプトは「アニメ」。この回初見時、多くの人がこう思ったことでしょう。「そう来たか」と。
 先にデビューした皆が忙しくなり、なかなか劇場で合わせ練習を行うのが難しい……というのは、アニマスの24話、終盤でも似たことがありましたが、ミリアニではもう一波乱あるかと思いきや、37人で作り上げた原っぱライブの話が再び出てきます。原っぱライブも皆で集まるのが難しかった中、テントに寄せ書きされたサインが、「離れていても皆一緒」ということをしっかりと感じさせてくれたことを思い出し、「だから今度も大丈夫だよ!」。そしてそこから、アイマスアニメ恒例の合宿へ(ここまでなかったからないかと思っていたので驚いた)。異例のことが多かったミリアニでしたが、伝統はしっかり引き継がれました。センターの曇りも……と思っていたら、理由はまさかのジャンケン大連敗。一番泣くのがこれというのが未来らしかったです。
 カレーの人選が細かいな……などと思っていたら、ジュリアがアコギを持ち出してきて歌い始めました。「トワラー」、やさしい歌で大好きです。せっかく「音楽」と縁の深い7thの面々なので他の3人も歌ってほしかったなぁ、とは思いますが、それ以上にエモーショナルな一場面でした。合宿で、カレーまで作って、その上アコギ一本で歌い出したらいよいよキャンプです。個人的には、ゆらゆらと燃える火をバックに、ジュリアと桃子が2人で歌った7thReburnの「流星群」を思い出しました。6話で出てきた「劇場」=「家」がここでようやくリバイバルして、このあとのセリフにも生きてきます。軸はぶれていないんですよね、初めの方から。
 そして最後の夜が明けて、いよいよこけら落とし公演当日がやってきます。語りたいことは山のようにあるのですが絞らせていただくと、まず円陣。1話ではAS13人が春香を中心に組んだ円陣を、ここでついに、ミリオン39人で未来を中心に組みます。この対比よ。
 次。最初のセリフを琴葉に任せてくれて本当に本当にありがとう……!もちろんこの1点だけでも琴葉Pとしてはうれしかったのですが、後々ここに意味を求めてみると、「ステージ最下手は4thライブ千秋楽で空けていた枠」「琴葉はミリシタのサービス開始時合流していなかった」という2点において、そこまでやるか……!!!!とTwitterやnoteを見て涙を流していました。ミリシタが始まったときいなかった彼女が、ミリアニの劇場の幕開けを担うというのが、泣けます。
 開幕「Dreaming!」でしっかり場を温めたところで何が来るかと思えば、「ロケットスター☆」でロケットスタートでした。なんとなく頑張っていた翼が、未来や静香、劇場の皆を見て、やらなきゃ、と本気を全力で解放したその瞬間です。限界突破しかけた余裕なさげな表情に、彼女の本気が現れていました。11話でぐっと成長しましたよね。本当に。

12話

 トラブルの前兆か……?というところでそのまま12話へ。まさか1話まるまるライブシーンに使うとは思いませんでした。ミリオンライブはやはりライブが真骨頂、それを前面に押し出したからこそのこの構成なのでしょう。
 「フェスタ・イルミネーション」から「チョー↑元気Show☆アイドルch@ng!」と盛り上がる2曲が続いて(コール楽しかったです、あと自分もアイドルファンだけじゃなくてアイドルになる……という亜利沙の気持ちもよかった)、8話ではお預けだった5thの歌がやっとお披露目されます。待たされはしましたが、逆に言えば「皆でバトンをつなぐ」という、ミリアニの根底にある意識が8話よりもはっきりしているこの12話だからこそ、この曲が持つ意味はより大きくなっているように思えます。未来にメガネを預けてステージに出ていく紗代子、胸アツでした。
 続く曲は「Sentimental Venus」、ゆらゆらひなたと振りコピする海美かわいいね……ん?このメンバーは、今までの機材トラブルフラグは、まさか!?と思っていたら、本当にやりました。2ndライブで実際にあった、音が止まるトラブル。客席に春香(中村繪里子さん)と千早(今井麻美さん)と何なら詩花(高橋李依さん)までいたところもほぼ史実通りです。まさか千早が皆のもとに駆け付けるのも史実とは知らなかったけれど。
 ここまでつないできたステージが止まってしまう、そんな未曽有の危機の中、未来は走り出します。自分でさえ何のためかわからないまま。Pも、ステージを止めるという選択肢が入ってきた中で、「ここで……止めたくないんです!!」と頭を下げます。未来が駆け付けたところで、Pが頭を下げたところで、当然ながらトラブルがどうにかなるわけではないですが、それでも、理屈が通らないとわかっていてもそうするのがこの2人だよな、と思います。きっと誰よりもそれを望んでいた2人だから。
 でも、望んでいたのはアイドルたちやPだけではありませんでした。お客さん皆が、クラップをして、ペンライトを振って、エールを送ります。ファンも、ミリオンスターズがここまで半年近くつないできたバトンリレーをずっと応援してきた立場なのです。だからこそ、途切れさせたくないと、そう思えるのでしょう。そんな「一体感」が、すべてを巻き込める力が、10年間築き上げてきたミリオンスターズのステージなんですよ……!
 思いが通じてか、機材が復活。途切れかけたバトンリレーを、紬がつなぎます。彼女も小さい頃、アイドルを夢見た一人でした。ここまでいろいろ(2回グルグルした)あった紬でしたが、ここにきて、その覚悟を決めてステージに上がります。そしてそこから歌織さんへバトンがつながりました。

私が今できること それは歌うこと

"ハミングバード"

 このライブシーンに対する気合の入りようは、ミリシタで追加参戦した2人の、パフォーマンス力の高さを存分に伝えてくれました。これを狙ったかはわかりませんが、「グリマスのサ終で一度途切れかけたミリオンライブを、ミリシタがつないだ」ことの暗喩でもある、という解釈を聞いて震えました。もうそうとしか思えない。
 この流れを受けて、待ってました3rdの新曲!「もうすぐ幕が下りてく」というこの歌詞は、まさにこのライブの終わり、そしてミリアニ12話の終わりが近づいていることを実感させてくれます。感極まって涙を見せる未来と、寄り添う静香と翼。いちぽむの3人には、ミリオン10年分の歴史がにじんでいました。泣く。この曲も7話ではなくて、この12話クライマックスまで取っておいてくれたことで、深みが増したような気がしました。ありがとうございます。
 「REFRAIN REL@TION」。この曲名がすべてです。ミリアニ12話分、ミリオンライブ10年分、何度もバトンをつないできて、この8thのステージに帰着しています。どこかで途切れてしまえば、このステージは存在しえなかったわけです。だから、最後39人皆で歌っているところも含めて、この曲は8th5人の歌でもあり、ミリオンスターズ39人の歌でもある、そんな感じがしました。
 ここまでつないできてくれたことに対する、たくさんの「ありがとう」。ミリオンライブ最初の曲「Thank You!」に込められた感謝の想いは、ミリアニでもぶれることはありませんでした。

 最後、「Brand New Theater!」が流れて、ミリオンスターズ52人全員が集合の大団円。ここから、物語は先へと続いていきます……。

 第3幕3週目以降は、週替わりボイスシアターのさらにあと、アンコールとして特別映像「Rat A Tat!!!」が上映されました。全話通して見てくると、2話のオーディションと重なる部分が非常に多いことがわかります。「きらめけ世界」から引き絵で39人全員が映し出されるのは、2話で見た幻覚そのままです(あれは何なら37人だったはず)。幻覚は、幻覚を超えて現実になりました。豊洲の映画館で、全力で夢の扉を叩けてよかったです。

総括

 ミリオンライブ10周年、その記念すべき年にようやく日の目を見たミリアニ。見る前は「本当に39人描き切れるのか?」など懸念も多かったですが、その大半は杞憂に終わったと思います。6年間練りに練ってくれただけあります。
 今作を通して、ミリアニがどれだけアツくて、にぎやかで、時々ぶっ飛んでいるのに泣かせてきて、面白いコンテンツなのか……僕がどうしてミリPであるのか、その理由を改めて認識させてくれました。そしてその魅力は、きっと新規の方々にも伝わっただろうと信じています。いろいろ不満はあるでしょうが、これは「ミリオンライブ!」のアニメでした。それは間違いないです。
 出番の差については……39人で12話はさすがに無理があったので仕方ないところではありました。とはいえ6thと7thはもう少し細かく扱ってくれてもよかったかもs……え?なんだって?

BD第3巻の特典映像で描かれるって!?

 もう抜け目ないじゃん。

 他にもいろいろ掘り下げてほしかったところはありますが、ミリシタのイベントコミュだったりCDのドラマだったり、公式供給に期待したいと思います。
 しかし!それでもやっぱりアニメで動いている皆の物語がまだまだ見たい!という欲求が生まれるのは自然なこと!!

 ブルーレイ、今作ばかりは買わせていただきます(お金ないけど少なくとも第1巻~第3巻のどれかは予約しようと思うよ)。続きが見たい、という気持ちは個人的には他のどのアイマスアニメよりも強いです。だから願う分には自由なので言いますが、2期待ってます。

 決していいことばかりじゃないこの世界に、光をさしてくれるような、明るくてまっすぐなアニメを、この「ミリオンライブ!」10周年という節目の年に届けてくれて、本当にありがとうございました。
 また、年の瀬にとんでもなく長い記事となりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。ミリアニを通して、ミリオンとの新たな出会いがありますように。
 それではまた。


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