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「伝える」と「伝わる」の狭間には

「伝えたいことをうまく伝えるにはどうしたらいいですか?」

新人の教育担当を任されている若手から、こんな質問をされた。

その若手が言うには、
「例え話がうまくできないからなかなか伝えられない」
と感じているらしいのだ。

確かに、例え話がうまくできれば、相手に伝えたいことを伝えられる可能性は高くなるかもしれない。
じゃあ、例え話をうまくする技術を身に付けるのが、伝えたいことをうまく伝える為に最も必要な事なのか?
もしそうだとしたら、例え話がうまくできない人は伝えたいことをうまく伝えられないという事になるが、本当にそうだろうか。

様々な場所であるだろう、新人への教育の際に出てくるこんな悩み。この悩みがなかなか解消されない一番の問題点は、『伝え方に注目している事』なんだと思う。

伝えたいことがある。

という事は、少なくとも、
『伝える人』と『伝えられる人』がいるという事だ。そして、『伝える事』もそこには在るし、『伝える状況』と『伝えられる状況』も在る。
これだけの様々な要因がある中で、『伝え方』だけに注目するのは片手落ちどころの話ではない。
つまり、真っ先に考えるべきは『伝え方』では無いのではないか。それよりも、『誰に・何を・どんな状況で』の方が重要なんじゃないだろうか。

『伝える相手』がどんな人なのかで、『伝え方』は変わる。『伝える事』がどんな事なのかで、『伝え方』は変わる。『相手の状況』と『自分の状況』で、『伝え方』は変わる。
だから、「どんな伝え方をすればよいのか?」という考え方では、恐らく『うまく伝えられない問題』は解決する事はないのだ。もし解決するとしたら、恐らくそれは、偶然の産物以外のなにものでも無い。たまたまうまくいっただけでしかないのだ。

たまたまに期待するのではなく、狙って効果を出すためには、考えないといけないのだ。

『誰に・何を・どんな状況で・どうやって』伝えるのか。
『伝える人』は、ここから全てが始まるのだ。


そして、『伝える人』がここまでやったのなら、ここから先は、『伝えられる人』の問題になる。

『伝えられる人』が『伝えられた事』をどう受け取って、どう理解して、どう解釈するのか。それは、『伝えられる人』に委ねられている。ある意味において、自由だ。もちろん、”ある意味において”という事がついている通り、どう扱っても自由だけど、それを仕事に於いて、どんな行動としてアウトプットするのかは、『伝えられる人』の成果として判断されるのだ。

「この人は理解力があるのか?」「この人は目的がわかっているのか?」「この人は仕事ができるのか?」それらを、そのアウトプット(行動)=成果によって判断される。

『伝える人』は、伝える事を懸命にやる。これが、『伝える人』の課題なのだ。
『伝えられる人』は、受けとる事を懸命にやる。これが『伝えられる人』の課題なのだ。
お互いの間でやりとりされる”事”は同じモノだけど、お互いの”課題”はそれぞれ別なのだ。どちらの課題も、自分以外の人が取り組む事も解決する事もできない、自分だけの課題なのだ。
つまり、どちらも自分の課題に懸命に取り組む事が、この問題を解決する一番の近道であり唯一の方法なのだ。

だから、お互いに”手を抜かない”事が重要なのだ。
コミュニケーションをはかる時に”手を抜かない”。
それが一番重要で、それ以外は単なる枝葉末節のオマケでしかなく、コミュニケーションという言葉が示す通り、どちらか一方にだけ問題があるわけではないのだ。


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