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『マッドマックス2』のドッグフード「Dinki-Di」

 1981年のオーストラリア映画『マッドマックス2』は、ジョージ・ミラー監督、メル・ギブソン主演です。世界大戦後、水・食糧・ガソリンのためなら殺人もいとわない荒れ果てた時代・世界でのお話しで、漫画『北斗の拳』のストーリー設定に強い影響を与えています。
 この砂ぼこりだらけの映画に「味のない味」が出てまいります。
 冒頭15~20分ぐらいです。主人公マックスがドッグフードを食べるシーンです。その部分をYouTubeに上げている人がいました。

 そうなのです。このドッグフードが実に「うまそう」なのです。
 ドッグフードがうまいとは思えず、現在に至るまで確認検証はしておりません。しかし、マックスがニチャニチャ食べるこのドッグフードはすこぶるうまそうなのです。

 頬張るとメル・ギブソンも冒頭15分ぐらいでこの恍惚の表情です。水や食料が枯渇し、明日をも知れぬサバイバルな日々の中で、幸福に満たされる唯一の瞬間でありましょう。とてもうまそうであります。
 子供のころの私は、このドッグフードの味について深く考えるようになるのですが、学校の給食で見た目が似てるものを発見し、「これだ!」と興奮して仮想ドッグフードとして食べていた物があります。コレです。

ジャガイモのそぼろあんかけ

 私はこれが給食に出ると胸が高鳴り、まるで自分が映画の中のマッドマックスになったかのような妄想に浸り、そぼろあんかけをニチャニチャと食べておりました。
 「仮想ドッグフードとして食べていた」とか言うと、給食のおばちゃんに怒られてしまいそうですが、でもおかげで私は「ジャガイモのそぼろあんかけ」が今でも好物で、ドッグフードのようにどろどろであればあるほどあの時のマックスに思いを馳せるのです。

 上に掲示したのは登場するドッグフードのレプリカ貯金箱です。映画に登場する物と寸分違わぬ物のように見えます。
 「Dinki-Di」と表記されています。ディンキー・ダイと読むそうです。オーストラリアのスラングで「真実」「本物」「本物のオーストラリア人」などの意味があるようです。架空のドッグフードという説が多いみたいですが、同じデザインで過去に実際に販売されていたものだそうです。

 とにかく、この冒頭15分ぐらいに展開されるなんでもない食事シーンは、ファンの間で愛されるシーンの一つであるようで、このドッグフードについての言及、「Dinki-Di」のデザインを使用したレプリカについてなど、数多くの情報がネット上に散見されます。
 上映からこれだけの時間が経ってもなお、これだけ多くの人々を惹きつけるドッグフード……やはりこれもメル・ギブソンの食べ方、咀嚼音などの表現から生まれた「味わい深さ」によるもので、みんなが「味のない味」を感じたからなのだ、と思うわけであります。

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