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会社の成長を支える経営戦略の武器としてのSCMとは?〜Shippioセールスディレクター× WHILLサプライチェーンマネージャー対談 〜

Shippioは、2023年9月に近距離モビリティを開発・展開するWHILL株式会社(以下、WHILL)と「経営戦略の武器としてのSCMとは?」をテーマに対談イベントを行いました。今回はそのレポートを公開します。

登壇者紹介

登壇者:

石黒のぞみ | WHILL株式会社 サプライチェーンマネジメント部

新卒で日本通運株式会社に入社、国内引越の営業・オペレーション担当を経て、医療機器倉庫のロジスティクス業務を担当し、センター長として現場改善や配送フロー構築に従事。その後、WHILL株式会社 SCM部にて、国内倉庫の業務委託化や在庫管理、配送フローの改善等に従事。現在はサプライチェーン全体のDX化に取り組んでいる。

竹原 功将 | 株式会社Shippio セールスディレクター

みずほ銀行にて法人新規営業に従事し、若手優秀賞を複数回受賞。SMBマーケットにおける新規獲得で年間1位を記録。その後、ベガコーポレーション(グロース上場・家具EC)にて、経営企画やSCM戦略部の責任者として、サプライチェーンに関わる戦略立案・実行・オペレーション管理に従事。サプライチェーン全体の改善活動に従事し、半年で7,000万円以上のコスト削減を実現。管轄領域は国際物流から国内保管、国内配送まで多岐にわたる。 freee株式会社では、カスタマーサクセスやアライアンスの企画立案・運営・パートナー営業などに従事。現在は、株式会社Shippioにて事業会社向けのセールスマネージャーに従事。

モデレーター:

津崎 泰生 | 株式会社Shippio セールス

新卒で日本通運株式会社の海運事業部に入社し、保税倉庫での荷捌き業務、フォワーディング営業を経験。その後自動車部品メーカーの専属担当としてサプライチェーンに携わる。 現在はShippioにて事業会社向けのセールスに従
事し、WHILL社を担当。

インタビュー


津崎
今日は会社の成長を支える経営戦略の武器としてのSCMというテーマでお話を聞かせていただきます。

お2人の共通点として、事業会社のサプライチェーンに携わられた経験がありますね。

過去にサプライチェーン改善業務をされた際に意識されていた、「サプライチェーンと経営戦略との紐づけ」について聞かせていただけませんか?

竹原
これまでの経験から、経営戦略と紐づけないとそもそもSCMは機能しないと思っています。

前々職では、サプライチェーン領域で発生したコスト増加が会社全体の収益に影響を与えており、サプライチェーンのコスト削減が私のミッションでした。

コストが増加した背景として、業界的なラストワンマイルの配送費高騰という外的要因が大きかったのですが、それ以外にも会社内でも問題がありました。例えば、会社として、売上増加の施策としてECサイトのカート稼働率を上げる意思決定を行いました。カート稼働率を維持するためには、欠品を減らす必要があります。つまり、在庫を多く持つ必要がありました。

もちろん、アイテムごとに売れ行きは異なりますし、最低発注量も異なりますので、在庫のハンドリングが難しくなっていました。また、売上インパクトの大きいアイテムは、必然とサイズの大きな家具になりますので、在庫量も比例して多くなりました。

その結果、サプライチェーンに関わる追加コストが発生してしまうリスクもあり、最終的に在庫を減らすという経営判断に至りました。

モノが動くビジネスモデルの場合、経営戦略はサプライチェーンの仕組みを理解したうえで策定する必要があります。意思決定を行う際も、サプライチェーンのリスクまで加味する必要があります。また、経営に対して売上や利益、キャッシュフローとサプライチェーンの項目がどのようにリンクするかを伝える努力もしていました。

例えば、売上 / 利益の観点で、売上と保管費のバランスのみに着手すると、「在庫量」ではなく、「坪単価」や「保管効率」などにフォーカスしてしまいます。ただ、売上と在庫量を正しく紐付けることができれば、正しい判断(在庫適正化)も行えると思っています。

津崎
一方WHILLさんではサプライチェーンは経営戦略と密接にかかわるものとして「オフェンスのSCM」という言葉を使われていると思います。「オフェンスのSCM」とはSCM部が経営戦略を方針付けるデータセンターとしての役割を担うべく、現状の可視化と可視化されたデータの分析を行っているとのことですが、具体的にどのようなステップで取り組まれていますか?

石黒
まずは竹原さんの事例と同じように、P/Lからサプライチェーン領域でのコストが大きい事を特定しました。その中でも特に在庫差異率が高い事によるコストが大きいことが分かりました。

まずは実績値を算出し、その後KPIとして定めていきました。現在取り組み始めてから1年半ほど経過しましたが、今ではほぼ0に近い水準になっています。

可視化という意味では、国際輸送の領域では輸送状況のリアルタイムの可視化を行っています。

これまでの課題感として納期遅延が発生した際に、原因が本船遅延によるものか、生産の問題なのか、または通関の問題なのか、チームを横断して業務を行っていた為に把握することが出来ませんでした。原因が特定出来ないと納期遅延に対して改善を行う際に、他チームへの改善要請を行う事が難しかったのですが、今はShippioのシステム上で全て確認が出来る為、データをもとに改善活動を行う事が出来るようになりました。

津崎
チームを横断した業務の可視化に取り組まれた際、他部署を巻き込んでいくことにハードルの高さがあるかと思いますが、どのように協力を仰がれていましたか?

石黒
データを用いて話をし続けることを大切にしていました。

例えば、在庫差異率のデータを元に「この数値が改善出来ればどのくらいの売上インパクトがあるのか」を他部署に伝えました。実際に改善が進んでいくと、「在庫ってコストなんだ」とか「SCMってちゃんとやれば変わるんだ」という社内の雰囲気が変わっていくのを感じました。

SCMはどの部署とも繋がっているので、様々な部署からクレームが届く事もあるのですが、他部署を巻き込んだ改善活動のインパクトは大きいと思っています。

他部署にもサプライチェーンのコスト感を持ってもらえるように巻き込んでいけるSCMのチームがある会社は経営面で強いなと思っているので、そこを目指しています。

津崎
一方でShippioは荷主の皆様にサプライチェーンの改善を提案していく立場です。竹原さんはどの様な提案を心がけていらっしゃいますか?

竹原
石黒さんと同様にデータを元に話をすることを心がけています。

過去にシステム導入に対してかなり抵抗感を持たれていたお客様がいたのですが、データとして「業務量がAs IsとTo Beで〇〇%減ります」といったことや、「今のShippioの取扱物量が30%ほどなので、これを50%、70%と増やしていくと業務が効率化にされます」ということを提示しました。

それ以降は、その効果が見込めるのであれば進めるべきだよね、とお客様側の動きが大きく変わっていきました。

今では、担当者の方が主導で社内の関係者を巻きこみながら、可視化の範囲を広げていただいています。やはり、データや数字で取り組みメリットを示すことは大事だと思っています。

津崎
WHILLさんはSCM人材の採用を進められているとのことですが、理想とされる人物像はありますか?

石黒
竹原さんの自己紹介を伺うと、なぜ今物流事業者としてサプライチェーンに携わられているのかとても納得感がありました。極論を言えば、SCMとしてのスキルは四則演算さえできれば問題ないと思っていて、物流やサプライチェーンを整備していないとビジネスが回らないという原体験をされている方が理想だと考えています。

WHILLもここまで先程の話の様に社内を巻き込みながら着実にサプライチェーンの改善を行ってきていますが、1オペレーション部隊に戻ってしまうのは簡単なので、ここの思いが強い方が必要だと考えています。

また倉庫周りの改善については物流事業者さんと一緒に取り組みを行っているので、ただ「コストを下げて欲しい」というリクエストだけではなくて、対等な立場で話せる人でありたいと思っています。リスクを全て物流事業者側が持つのではなく、事業会社としてもリスクを取るから一緒に改善していきましょうと、そういう思いをお持ちの方が良いですね。

対談の様子

津崎
最後にそれぞれの立場から関わるサプライチェーン領域の魅力についてお聞かせください。

竹原
Shippioはミッションとして「理想の物流体験を社会に実装する」と掲げています。私自身、前々職の時にサプライチェーンのコスト増加が問題になったという原体験を持っています。ただ、日々の業務に忙殺される中で、IT投資もされず、人員拡充も後回しにされるという経験でした。

Shippioのサービスが世の中の貿易をしている人に行き着いて、そのような人たちが前向きに仕事をしてもらえたら嬉しいなと思っています。ようやく業界が変わり始めた兆しを肌で感じていることが今の原動力になっています。

また、Shippioのセールスはテーマとして、「貿易領域をコストセンターからプロフィットセンターへ」と掲げており、少しずつ手ごたえを感じています。

石黒
WHILLはミッションとして「全ての人の移動を楽しくスマートにする」を掲げていますが、まだまだ道半ばです。事業会社として、WHILLを多くの人に届けるためには、モノが届かなければ商売が始められませんし、モノが止まればさまざまなトラブルを引き起こすと考えているので、サプライチェーンを円滑化していくことが不可欠ですし、そこにやりがいを感じています。

この同じ志を持った方が、メーカー全体あるいは日本全体に増えれば、物流業界はもっと良くなると思っています。

津崎
お2人共、本日はありがとうございました。

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