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syrup16g五十嵐隆氏のレゲエマスターについて


レゲエマスターというギターをご存知だろうか。
一部のギター愛好家を除き、一般的には知名度はあまり高くないギターだと思う。
しかし、あるバンドのファンからの知名度は圧倒的に高い。syrup16gというバンドだ。ギターボーカルの五十嵐隆氏が使用していたギターなのだ。

かくいう私自身もsyrup16gの20年来のファンである。先日ついに念願のレゲエマスターを手に入れた(!)。その際に様々な調査を行ったため、同じく五十嵐氏に憧れレゲエマスターを探している方達の参考になるよう、その記録を残していきたい。

レゲエマスターとは

レゲエマスターとは、Moon(旧ムーンコーポレーション、現ムーンギターズ)という国産メーカーから、1981年から発売されているギターのモデルである。
特徴としてはテレキャスターのボディとネックに、レスポールJr.(スペシャル)のP90ピックアップを載せた、いわば既存のギターのパーツを組み合わせてハイブリッドさせたようなギターだ。

Moonはカスタム・オーダーメイドを主に行っているメーカーという性質上、そもそも楽器店にMoonのギターが出回る本数自体が少ないと思われる。知名度があまり高くないのもその辺りの要因が考えられる。(五十嵐氏自身も、桑田佳祐氏が使っているのしか見た事がないと語っている)。そのうえ五十嵐氏と同じ仕様でとなるとさらに本数が限られてくる。

五十嵐氏のレゲエマスターについて

五十嵐氏がレゲエマスターをメインで使っていたのは2002年〜2003年辺り、アルバムでいえばcoup d'E tat、delayed辺りと考えられる。
メジャーデビュー前のFree Throw、COPYの時期については情報が少なく判断が難しいが、負け犬のMVではムスタングタイプのギターを使用しているようだ。ただ、筆者がYouTubeで見かけたFree Throwリリース後と思われるライブ映像では既にレゲエマスターを使用していたため、この時期のレコーディングでも使用されていた可能性はある。
HELL-SEEのレコーディングではRebornのMVでも確認できるリッケンバッカー360を殆どの曲で使用したようだ(GIGS2004年○月号より、現在手元に無いため分かり次第追記します)。しかし、ライブではレゲエマスターをメインで使用している。

次作のパープルムカデのレコーディングからはギブソンSGを導入したようなので(同GIGSより)、その後はライブでもメインギターはSGへと移行された。以降、五十嵐氏は様々なギターを使用してきたが、レゲエマスターに関しては近年のライブでの再登場まで日の目を見なくなっていた。

五十嵐氏のレゲエマスターの仕様について

五十嵐氏のレゲエマスターの大まかな全体像を確認するのであれば、言うまでもなく”天才”のMVを確認するのが早い。レゲエマスターのプロモーションビデオかというぐらい、ギターの格好良さがフィーチャーされている(最後に投げてしまっているため、Moon側の心境は複雑かもしれないが…)。


映像以外では、ギターマガジン2002年7月号、11月号で本人が解説を行なっている。
その情報をもとにした五十嵐氏のレゲエマスターの主な仕様は以下の通り。

97年製 Moon REGGAE MASTER RM-DX
ボディ材:マホガニー
指板・ネック材:メイプル(ムーニーロゴ、後述)
ピックアップ:Oxalis P-90 Soapbar Type x1(Moon純正)
ボディカラー:ブラック
ピックガードカラー:レッド
ピックアップカバー:ブラック


五十嵐氏の影響でレゲエマスターを購入する場合の注意点

・ピックアップについて
レゲエマスターには1ピックアップタイプのRM-DXと、2ピックアップタイプのRM-DXII
の2種類のバリエーションがある。ネットで在庫のある現行品で探そうとすると、まずほとんどがRM-DXIIである。たしかに、値段もあまり変わらないのであれば音の幅が広がる2ピックアップを選ぶのが普通だろう。純粋に音だけを求める、またはすぐに入手したいのであれば、こちらでも問題ないと思う。しかし、RM-DXとRM-DXIIは外観としては割と違った印象を受けるので、よく見比べて検討した方が良い。



・ネックについて
現行品は指板がローズウッドの物の方が多いようだ。こちらも見た目や音にも影響してくるため、検討が必要だ。中古で購入する場合、時期によってヘッドの形状が違う場合もあるようだ。さらに、五十嵐氏のレゲエマスター含む94年ごろから90年代後半ごろまでのMoonのギターは、この時期限定でヘッドのロゴにムーニーロゴと言われるロゴを採用していた(月のマークが"n"に重なって"moony"と読めるため)。ただし、その時期のMoonのギターは木材の材質等の問題から、一般的にはあまり評判は良くないようだ。

現行のMoonロゴ(ムーンギターズ、ホームページより)
ムーニーロゴ(ギターマガジン2002年7月号より)


・カラーについて
五十嵐氏のレゲエマスターといえばブラックのボディに赤いピックガードである。ピックガードに関しては、他のギターと違いなかなか交換用パーツは出回らない。もし違う色に交換したい場合は、ムーンギターズにて可能のようだが、ギターごと預けた上でオーダーメイドで数ヶ月待ちで数万円掛かるようなので、注意が必要だ。ピックアップカバーについてはホワイト(アイボリー?)とブラックがあるようだが、ブラックについてはギブソンのP90と同じものと思われるため、比較的交換品は入手しやすいと思う。


・オーダーについて
先述したように、五十嵐と全く同じレゲエマスターを入手しようとなると様々なハードルが存在するため、現状五十嵐氏と限りなく近い仕様のレゲエマスターを購入するなら、ムーンギターズにオーダーするのが確実だ。


ムーンギターズのホームページには30万円程度の定価の記載があるが、某大手楽器店を通して見積もりを取ると、26〜27万円程度の金額であった。6ヶ月から1年程度オーダー待ちのようだ。ムーニーロゴもオーダー可能であるが、90年代当時と全く同じ物にはならないようだ。


筆者が購入したレゲエマスターについて

私はというと、某フリマサイトで近いスペックのものを約15万円で見つけて購入した。80年代の物で通常ロゴ、ピックアップも換装されていたが、それ以外のスペックはほぼ同じと判断。ピックアップは後日Moon純正を取り寄せ交換した。

筆者が購入したレゲエマスター(ピックアップ交換前)


今後について

筆者はエフェクターについても五十嵐氏が使用していた物を調査し、長年にわたり収集を行ってきた。反響があればエフェクターについての記事や、YouTube動画を作成していければと考えている。

筆者のペダルボード

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