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【金曜日のしかけ#2】離職率改善7つのコツ

すみません!「日刊7秒しかけ」なのですが
毎週金曜日は「7秒しかけ」ではなく、フツーの会社の「すごいしかけ!」を紹介します。

フツーの会社の「すごいしかけ!」とは、GoogleやAmazon等の一流企業が実践しているしかけではなく隣の優良な中小ベンチャー企業に、しかけ研究家白潟がインタビューさせてもらい発見したしかけです。

第2弾の「すごいしかけ!」は「離職率改善7つのコツ」です。
なんと、たった半年で離職率27.3%が10%に劇的に改善したコツを紹介します!


1 離職率が改善する前提

7つのコツ紹介前に、離職率の改善が成功する前提を2つ提案します。

① 退職者を減らすことに社長が本気である

釈迦に説法かもしれませんが、社員が退職する原因は単純ではありません。様々な原因が複雑に絡み合い会社を退職します。

言い換えれば、退職者を減らす活動は経営そのものだとも言えます。

したがって、「給料上げれば辞めないんだろ!」社長がこのような中途半端な気持ちで取り組んでも離職率の改善は持続しません

今回のすごいしかけを実践している会社の社長はガチで本気でした
(もちろん、今も本気です)

② 社員のモチベーションを著しくさげる組織ではない

年収が低すぎる・労働時間が長すぎる・働く環境が悪すぎる・社長が社員から信頼されていない等の課題がある会社からは退職者が減ることはないでしょう。

離職率改善が成功するための前提は社員のモチベーションを著しく下げる組織ではないことです。

次に示す図の12テーマのうち1つでも、2年以上未解決の深刻な課題がある会社は、まずその課題から改善しましょう。

今回のすごいしかけ実践会社では、図に示す12テーマにおいて深刻な課題はありませんでした。

この会社は障がい者への療育事業と就労支援を行っている会社です。
従業員146人(2024/1/1現在)現場である子供の運動教室は15校、はたらくおとなの就労支援教室は3校あります。

お待たせしました。それでは「離職率改善7つのコツ」を紹介します。

2 離職率改善7つのコツとは

① エンゲージメントチームの立上げ
離職率を下げ、社員のエンゲージメントを高めることをミッションにした「エンゲージメントチーム」を発足し立上げました。メンバーは責任者いれて3名です。

② エンゲージメントチームに優秀なリーダーの配員
「エンゲージメントチーム」に次の要件を満たすリーダーを社長が任命しました。

・ ミッション・ビジョン・クレドに賛同している
・ 社長が何を考えているかを深く理解している
・ 組織づくりが上手い(特に女性が多い組織)
・ 人のマネジメント力がある

リーダーは創業時から社長と一緒に会社を立ち上げた方です。

社長の出張時の移動時間をねらい、忙しい社長とコミュニケーションを取ったりするような、とにかく社長が大好きな幹部です。

もちろん、社長のYESマンではなく社長に遠慮なく諫言できる幹部です。

③ 現場との徹底したコミュニケーションとマメなサポート

18名の部門長(校舎長)はエンゲージメントチームのメンバーにいつでも声をかけ相談ができます。この相談窓口の設置により部門長は安心して校舎の運営・マネジメントができるようになります。

更に、月に1回定期的にエンゲージメントチームメンバーと部門長で面談をしています。もちろん、気になる部門長にはフォローの面談も数回しています。面談は次のような流れで実施しています。

a 部門長の愚痴や悩み・おもいをじっくり心で聴いてあげる
【アクティブリスニング(積極的傾聴)】

b 頑張っている部門長の気持ちをわかってあげる
【アクナレッジメント(承認)】

c 現場の課題を引き出してあげる
【コーチング(質問力)】

d 前向きに改善するよう働きかけてあげる
【コーチング(成長マインドセット)】

面談する過程で最も多かった課題が、
メンバー同士で良好な人間関係が構築できていないこと

更に、その課題を解決するノウハウが部門長に不足していたことでした。
その課題をどのように解決したかを④以降で示します。

④ 現場での良好な人間関係の構築

『あの人とは合わない』、『あの人とは仕事をしたくない』などの気持ちがメンバーにあると仕事は楽しくないしつまらない。この状態が長く続くとメンバーは最悪退職してしまいます。

そのようなことが起きないように、エンゲージメントチームと部門長で、部門内でのメンバー同士の人間関係を良好にするためクレド「武器を持つ ~仲間から尊敬される長所を磨く~」をベースに次のような取組みをしました。

a 部門長がメンバーの強みを見つける
メンバーを部門長がじっくり観察し、何をしている時が最もイキイキしているかを把握します。

その観察結果をメンバーに伝え、自分の強み(仲間から尊敬される長所)を認識させ磨いてもらいます

b お互いの強みを理解し、尊敬し合うことで仲良くなる関係をつくる
メンバーに自分の強みを認識させた後は『〇〇さんはXXXXが上手いよね!』と、仲が良くない相手の強みを伝え理解してもらいます

『2人ともそれぞれ良い強みをもってるんだから、
それを認めてあげては?』
と2人に提案しながらお互いを尊敬させるようにもっていきます。

お互い尊敬し合うと、自然に仲が良くなり、助け合い楽しく仕事をするように変わっていきます。

⑤ 他部門留学制度

部門長の課題を解決するために、課題解決できている他部門に1週間留学させ学んでもらいます。留学後、レポートを作成しエンゲージメントチームに報告しフィードバックを受け自部門の改善に生かします。

⑥ No.2が講師のマネジメント研修

部門長にはエンゲージメントチームのサポートだけでなく、
No.2が講師を実施するマネジメント研修も受けてもらいます。

研修は次のような内容になります。

【目的】
組織を構築する上で必要になるリーダーシップ力の向上

【内容】
・ リーダーの定義
”長”に任命されてることではなく、部下から選ばれる人になること
・ 自身の強みを活かしたリーダーシップの発揮
・ コミュニケーション力の向上 

受講後はクレドにある「ポジティブシンキング」が実現できるようになります。

⑦ エンゲージメントチームと経営陣・本社部門との連携

月1回、エンゲージメントチームと社長・NO2・専務・本社部門とでミーティングをしています。そこで、エンゲージメントチームが認識していない現場の課題を把握し、解決策をみんなで考え解決していきます。

3 このしかけのすごいところ

離職率を劇的に改善できたすごいしかけ「離職率改善7つのコツ」を
コンパクトにまとめます。

 離職率を改善する専門組織の立上げ
一般的には人事部が中心となって離職率改善の活動をしますが、この会社では離職率を改善する専門組織「エンゲージメントチーム」を立上げた点が他社とのちがいです。

 社長が安心できるリーダーの選定
エンゲージメントチーム」のリーダー選定にも究極のコツがあります。
ミッション・ビジョン・クレドに賛同し、社長が何を考えているか深く理解している方をリーダーに選定しています。

したがって、社長は安心してリーダーに重要業務を一任できます。

★ 離職課題の多面的・根本的な把握 
ボトムアップ(エンゲージメントチームの面談)とトップダウン(月1回の社長・NO2を交えたミーティング)の両方のアプローチから離職の課題を把握しています。

そうすることで次に示すような離職の課題が多面的・根本的に把握できます。

・ 離職率低下を毎日考え実行する部門の未整備(最初に解決済み)

・ 部門長の不安や悩み未解決

・ 部門長の組織開発力不足(特にメンバー同士の人間関係構築力)

・ 本社の現場サポート力不足(特に人員不足へのサポート)

・ 現場メンバーのマインド(相手の強みを見つけ認めようとしない)

★ 離職課題の全社的・抜本的な解決
離職の課題をエンゲージメントチームが現場に深く入り込み、抜本的に解決しながら更に経営陣のサポートも加え全社的に解決しています。

・ 部門長の不安解消(気軽に声をかけられる窓口設置)

・ 部門長への積極的傾聴・承認・コーチング

・ 部門長にメンバーの強みの見つけ方指導とフォロー

・ 部門長に良好な人間関係構築づくりの指導とフォロー

・ 他部門留学による部門長育成(上手くいっている部門から学ぶ)

・ No.2が講師を実施する部門長マネジメント研修(経営陣から学ぶ)

・ 経営陣・本社部門の現場サポート(特に人員不足対応)

4 自社に導入する際の工夫

すごいしかけ「離職率改善7つのコツ」はいかがでしたでしょうか?

気に入って頂けたら、ぜひ皆さんの会社や部門でも導入してください。
ただ、自社に導入する際は次の点に留意した方がいいでしょう。

・ 冒頭で紹介した図「社員のモチベーションを下げない12テーマ」のうち1つでも、2年以上未解決の深刻な課題がある場合は、まずその課題から改善しましょう

・ 離職の課題が現場での人間関係にある会社や部門はすごいしかけが有効だと思いますのでぜひ導入してください。

・ そうでない場合は、自社の課題が解決できそうな部分だけいいとこどりをしてください。

5 すごいしかけの会社はコチラ!

すごいしかけ「離職率改善7つのコツ」を実践された会社は、本社が東京渋谷にある、障がい者への子どもの運動教室や就労支援事業、教育現場への参画を行う株式会社Gotoschool様です。

あきらめをチャレンジに。」をミッションに事業を推進しています。

・ 子どものための運動教室
発育発達の基礎である運動に焦点を当てることで、成長の根本にアプローチすることができる教室です。

人々が高度な活動をする前に必ず起こる原始反射の発現と統合を行うことで、脳は様々な行動や思考を行うことができます。

・ はたらくおとなの就労支援
就労継続支援・移行支援を通じて人々がもっと輝く社会をつくりあげます。就労人口が減少する中で、眠れる可能性を顕在化させるための身体活動を起点としたソリューションで、働くチカラを引き出します。

今日も、「日刊7秒しかけ」を読んでくれてありがとうございます。
それでは、また来週!



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