見出し画像

【金曜日のしかけ#13】一石二鳥じゃ足りない

すみません!「日刊7秒しかけ」なのですが

毎週金曜日は「7秒しかけ」ではなく、フツーの会社の「すごいしかけ」を紹介します。

フツーの会社の「すごいしかけ」とは、GoogleやAmazon等の一流企業が実践しているしかけではなく、隣の優良な中小ベンチャー企業にしかけ研究家白潟がインタビューさせてもらい発見したしかけです。

第13弾の「すごいしかけ」は「一石二鳥じゃ足りない」です。

『白潟さん、一石二鳥じゃ足りないっていうことは一石三鳥を目指せって
ことかな?』

はい、そうなんです。

一石三鳥どころか、一石五鳥がいいですね!

今回のすごいしかけは、

社内の制度・仕組み、具体的には「スキルマップ」で
一石五鳥を実現したしかけです。

社長は会社を成長させるため、ビジョンを実現するため、
絶えず様々な制度や仕組みを作りますよね?
『もちろん、そうしないと成長しないからね』

すみません、今回のすごいしかけ長文での紹介になります。

社長に読んでもらった後、
『うちの制度や仕組み、もっと他のテーマに活用できそう!』
と思ってもらえたら嬉しいです。

それでは、「一石二鳥じゃ足りない」を紹介していきます。


1 スキルマップで一石五鳥

能力開発制度の一環として職種別に必要なスキルを洗い出し、
体系的に文書化した「スキルマップ」を作る会社は多いと思います。

完成したら現場に導入し、能力開発や人事評価に活用すると思います。

【一鳥】社員の能力開発に活用
「スキルマップ」をベースに上司がメンバーの能力を評価し、その結果を
メンバーに伝え、足りないスキルを上司の指導のもと習得していきます。

【二鳥】人事評価に活用
半年か1年に1回「スキルマップ」をベースに上司がメンバーの能力を評価し、その評価結果を昇格・昇給等に反映します。

もちろん、能力評価以外に成果評価等も加味され昇格・昇給は決まると思います。

このように「スキルマップ」を能力開発と人事評価に活用すれば一石二鳥が実現できます。

さて、ここで社長や管理職の皆さんに質問です。

「スキルマップ」を社員の能力開発と人事評価に活用するだけでいいんでしょうか?

『白潟さん、そんなこといってもそれが導入時のねらいだったんだよ』

そうですよね。
当初の導入目的を達成することは重要だと思います。

ただ、せっかく作成・導入するのであれば2つのねらいを達成するだけでなくもっと活用の幅がありますよ(=一石二鳥じゃ足りない)というのが今回のすごいしかけなんです。


大阪にある造園会社の河内社長が実践しているすごいしかけ「一石二鳥じゃ足りない」は、なんと「スキルマップ」で一石五鳥を実現しています

能力開発・人事評価に加え、仕事(現場)の配員・業績連動賞与・管理職の現場出すぎ病予防の3つにも「スキルマップ」を活用しています。

河内社長が設計した社内のITシステムをベースに一石五鳥を実現しています

【三鳥】仕事の配員に活用
社員が「スキルマップ」にあるスキルの習得を上司から認定されると、そのスキルが必要な現場に配員されます。

社員は習得したスキルを新しい現場で試すことができるので、宝の持ち腐れになりませんしモチベーションも上がります。

一方、認定した上司の評価が甘ければその社員は現場で
『〇〇さん、このスキル持ってたんじゃないの?全然仕事できないね』と
現場監督に叱責され恥をかくことになります。

なので、スキル認定する上司も真剣に評価するし、本人も全力でスキル習得に励みます。

スキル習得に向けての努力 ⇒ 認定されたスキルの取得 ⇒ 現場でチャレンジ ⇒ スキルの評価、という流れができますので「スキルマップ」作成の効果は極めて高くなります。

スキル認定情報と現場への配員情報は全員に公開し納得感を高めています

【四鳥】業績連動賞与に活用
スキル認定されると社員にポイントが付与されます。このポイントは期末に集計されポイントに応じ決算賞与が支給されます。

なので、決算賞与を多くもらいたい社員はスキル習得に励みますし、そこまで決算賞与にこだわりがない社員もスキル習得に頑張ったご褒美が期末にもらえ嬉しくなります。

ポイント獲得状況とランキングは全員に公開しているので評価に対する納得感が生まれやすくなります。

※ポイントは、スキル認定以外に現場での仕事の成果(この会社の場合は出来高)と採算、車の運転(走行距離)、車両管理でも獲得できます。

【五鳥】管理職の現場出すぎ病予防に活用
スキル認定のポイントは管理職にも付与されますが、管理職はスキルを有する現場で仕事しても仕事の成果(出来高)ポイントは付与されません。

なので、管理職が自分の好きな現場に入ったりマネジメント業務をやらずに現場に入ることを防げます

『マネジャーは現場に入らずメンバーに仕事を任せてください』と社長が
繰り返し指導しなくても、上司は現場に入らず本来の自分の役割を全うします。

スキルマップ=能力開発・人事評価だと思い込んでいると、意外とこれらの使い道に気づかなかったりするのではないでしょうか。


「一石二鳥じゃ足りない」
このマインドの下、
この記事を自社の仕組み・ITシステムで一石三鳥、四鳥を狙うための
インスピレーションにしていただければと思います。

2 他にもある一石五鳥

大阪にある造園会社では「スキルマップ」以外にも、現場管理システムで幹部の中抜き防止、車の運転と車両管理で一石五鳥を実現しています。

① 現場管理システムで幹部の中抜き防止

【一鳥】現場に関して幹部が管理したい情報を全てITシステムに入力しています。

【二鳥】その情報をいつでもITシステムで幹部が検索できるようにしています。

【三鳥】更に、そのITシステム内でしか幹部とメンバーの仕事(現場)のコミュニケーションをできないようにしかけています。

【四鳥】そのコミュニケーションを社長が見れるようにしています。

【五鳥】その結果、幹部が直属の上司を飛び越えメンバーに現場の指示をだすと社長に丸見えになってしまうので、中抜きコミュニケーションがしにくくなっています

② 車の運転と車両管理

【一鳥】車の運転の不公平感をなくすため、現場まで車の運転をした人には運転実績を入力してもらいます。

【二鳥】運転実績を入力するとポイントが付与されます。

【三鳥】そのポイントを決算賞与支給の対象にし、車の運転を積極的にするようしかけています。

【四鳥】車運転の走行距離からオイル交換の時期を知らせ、オイル交換の行動を促します。

【五鳥】オイル交換をしなかった場合は車両管理ポイントは付与されず決算賞与が支給されないので車両管理を確実に実施するようしかけています。

3 このしかけのすごいところ

このしかけのすごいところは次の2つです。

① 社長の発想がすごい

何かしかけることで課題を解決できないか?

すごいしかけを実践している河内社長はこう考えます。

例えば、スキル評価への不満を無くしたい。この課題は評価者育成や
評価面談改善などで解決するのが一般的な方法です。

河内社長はそれらの解決策に加え、現場への配員改善をしかければ
課題が解決しやすくなると考えました。

そして、スキル認定された社員を現場に配員すればスキル評価の検証になるし、その結果をオープンにすれば社員のスキル評価への納得感は高まると考えたのです。

実践した結果、スキル評価の質が改善し『〇〇さん、本当にあのスキル持ってるの?』という疑問が無くなり社員の納得感も高まりました。

次に、幹部の中抜きを防ぎたい。この課題は社長の幹部育成で解決する会社が多いでしょう、

河内社長はその解決策に加え、ITで解決できないかと考えたのです。

そこで、現場の情報(配員した社員・出来高・採算・感謝・クレーム情報等)を全てITで集め、その情報を見ないと現場に関するコミュニケーションが出来ないようにしかけたのです。

さらに、そのコミュニケーションもITで社長が見れるようにしました。

その結果、幹部が現場リーダーを中抜きし現場の社員とコミュニケーションしなくなりました。

河内社長は、何かをしかけることで「一石四鳥」「一石五鳥」を実現するのが上手いです。

② 現場の職人でも入力が簡単

この手のITシステム導入がなかなか上手くいかないのは、ユーザ(現場の社員)に「入力がめんどくさい」と思われ敬遠されてしまうからです。

このしかけでは”二重入力をなくす”、”スマホ入力を可能にする”、”入力内容を決算賞与に反映させる”ことで入力や活用を促しています。

ユーザ心理を突いた秀逸な設計です。

4 自社に導入する際の工夫・注意点

① ITシステムにしなくてもいい
このすごいしかけを実践している会社では、すべてを社内開発した1つの
ITシステム上で完結しています。

いきなりそんな大規模なシステムを開発できずとも、非デジタルで参考にできる部分もたくさんあります。例えば、

・ 配員会議でスキル認定一覧表を見ながら配員を決める
・ 業績連動賞与を算定する時にスキル認定一覧表を参考にする

5 すごいしかけの会社はコチラ!

すごいしかけ「一石二鳥じゃ足りない」を実践されている会社は、本社が大阪府堺市にある「世界の緑を元気いっぱいにする」を掲げている株式会社Kei'sです!

意気軒昂な河内社長が経営されておられる会社です。
現在、7つの事業を展開されています。

・ 海外緑化事業
100年後、世界中を緑でいっぱいにするために緑化活動を行っています。

・ 公園指定管理事業
ワクワクする公園、皆が楽しめる公園、色々な生物と共存できる公園を目指しています。

・ お庭づくり
空間の機能性や利便性だけを追求するのではなく人の心が”癒される”そんな空間をお届けします。

・ 樹勢回復
“大切にしている樹木の元気がない” “植えてから長い年月が経つのに、なかなか樹木が大きくならない”樹木に関する悩み、相談を受け付けます。

・ 緑化事業
日々80名ほどが大阪を中心に近畿一円で造園土木作業を行っています。資格を持った技術者が多数在籍しています。急なお仕事、突貫工事、お任せください。
・ お庭のお手入れ
地元 大阪から日本の緑を元気いっぱいにしたい。そんな想いで皆さんのお庭の手入れさせていただきます。

・ 設計/デザイン
機能ばかりを追求するのではなく家の中にほんの少しでも心を癒してくれる空間があってもいいと思います。そんな空間創りを私達にお任せ下さい。

今日も、「日刊7秒しかけ」を読んでくれてありがとうございます。
それでは、また来週!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?