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半期表彰をとるメンティーが育つメンターの心得

みなさんこんにちは。株式会社メンバーズ新卒入社4年目兼、子会社のメンバーズデータアドベンチャーの社長をしてます白井と申します。今日はメンバーズのプレイヤー時代にしていたメンター業務の話です。

なぜこれを書いたか

だいたいメンターって急に任命されて、手本は自分のメンターくらいしかいないけど、その人が放置主義だった場合、よくないと思っていてもやり方がわからなくて途方に暮れる、みたいな状況が結構あると感じています。これはメンター・メンティー双方にとって不幸だし、なんなら日本経済の損失なので、このnoteで一人でも多くのメンター・メンティーが幸せになってくれることを切に祈ります。

私自身はというと、新卒1年目でついたメンターはまったくもってメンタリング業務はしてくれませんでした(笑)。相性の問題もあったと思いますが。そして2年目のとき、新卒1年目の人のメンターをする機会に恵まれました。めっちゃ気合いを入れて情報収集し、理想のメンター・メンティー像を考え、伝え、全力を尽くしました。そしてその年の後期、彼は半期表彰をとりました。
彼はとても優秀で、私のメンタリングのおかげで成果がでたわけではないですが、その時私がリーダーを務めていたチーム3人全員が半期個人表彰を取ったので、結果として各自のパフォーマンスを引き出すチームマネジメントにも繋がっていたのかなと思います。

で、彼をメンティーとして迎えるときに用意したスライドがメンターの心得として汎用性が高そうなので共有します。メンター・メンティーに限らず、チームリーダー・メンバー、先輩・後輩の関係でも展開が効く内容かと思います。

目的は、メンティーも、メンターである私も、チームとしても、幸せな働き方をして成果を出していこうよ、というもの。そのためにこんな内容のスライドを作り、メンティー配属の朝のオリエンに使いました。
1. メンティーのなりたい姿ややりたいこと、やりたくないことを聞く
2. チームとしてメンティーに期待していることを伝える
3. ルールを伝える
4. フォローアップの方法を伝える

メンタリングのゴールは「メンティーが自走できるようになること」を想定。

スライドはこちら。

SlideShareからダウンロードしてたたき台にお使いいただいても大丈夫です。特にクレジットなども不要です。ただし結果については何がおきても責任は負えません。要更新箇所など、1-2ページ目に凡例書いてますのでご覧ください。

デザイン、配置、フォントサイズ、1ページの情報量についてはそっとしといてください。むしろ得意な方にリファインしてほしい。。。

抜粋してみていきます。

メンターと組織の紹介

大事なのは、全体像を示し、誰がどんな権限とモチベーションで動いているかを示すこと。メンティーが周囲を頼ることは、頼られる方にとってもメリットであることを伝え、動いてもらいやすくします。

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あなたのことを教えて!

こんな項目でラフにヒアリングします。仕事をするモチベーションは人によって多様で、特に新卒ははっきりしていないことが多いです。

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「世間体とか、給与もらって生活するためとか、そういうので全然いいよ。プラスアルファでどうせ働くならこういう仕事をしたいとか、あるいはひたすら給与あげたいとか、今自分のアンテナが動くものを教えて」

「今言ったことは変わって当然だから、一回言ったら撤回できないとは思わないで」

という感じでハードルを下げて、できるだけぶっちゃけてもらいます。ここで聞いたことは1on1で定期的にアップデートがないかモニタリングしていきます。

ここでざっくり価値観を把握しておくことで、その後のコミュニケーションがやりやすくなります。モチベーションを上げるためにはどういうアサインをしたらいいか、どういう情報をどんな順番で伝えたらいいか。何を言ってよくて、何を言ってはいけないか。

意外と抜けがちですが、「仕事より優先したいこと」を聞いておくとそれ以外に余計な忖度もしないで済むのでオススメ。

あと、最初にあれこれ聞くことで、「私はあなたに興味があります」というメッセージを発信することができます。興味がある≒好意的であるということなので、チーム内で自発的に動き回ってもらうための心理的クッションになります。

あなたに期待していること

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メンタリングのゴール=「メンティーが自走できるようになること」が達成される瞬間を具体的な場面として伝え、メンティーに未来の成功場面をイメージしてもらえるようにしました。

人は「自走」という抽象的なワードより、「もう一人で大丈夫でしょ」という台詞の方が地に足がついたイメージができます。地に足がついたイメージができることは、ゴールにたどり着くための第一歩です。

実際に「もう一人で大丈夫でしょ」って言った日は、私も感無量でした。

スターター、プレーヤー、上記の台詞などまるっと『部下育成の教科書』という本を参考にしています。

あわせて、チーム内の裁量範囲を判断する基準を伝えたり、

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チームの力学のなかでどう動いて欲しいかを伝えたりして、

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ゴールの具体的イメージと、最速で達成するための方向性を共有しました。これでメンティーはゴールにたどり着くためにどうしたらよいかを自分の頭で考える準備ができたことになります。

じゃあどうやっていくの?

前項まででゴールと判断基準は示しました。が、高め期待値にメンティーは不安になっているかもしれません。なので一緒にやっていくためのフォローアップの場を用意し、伝えます。

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成長するのはあなた自身だけど、メンターもMGも一緒にあなたの成長にコミットするよ、と伝え、具体的な場を示すことで安心してもらいます。

この枠のなかで、下記2つのメンテもしていきます。
a. さしあたり具体的なタスクレベルで何をしていくか
b. 中長期キャリアプランの中でメンティーとしてのゴールがどういう位置付けになるか
aは今のゴールにたどり着くための目の前のこと、bは今のゴールのその先のことですね。

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aは日々のOJTで都度クリアにできますし、メンティー側で徐々に溜まる疑問やストレスなどがあれば定期1on1で対応します。

bはある程度時間をかけて、場合によっては複数回に渡って本人の考えを引き出す必要があります。私の場合、仕事に慣れてきた頃に目標すりあわせmtgを一度やり、まず下記の1を決めました。次の1on1で2、3を書いてきてもらってレビューをし、以降は4の進捗確認・適宜アドバイスをしていきました。

1. 理想像を一緒に考える
2. 理想⇔現状のギャップを明らかにする
3. アクション(すぐ行動できる具体的タスク)に落とす
4. ひとつひとつクリアしていく

とりあえずこれだけ覚えてほしい

ここはチームとしてのルールではなく、メンター/メンティーという関係のなかでメンティーに知っておいてほしいことです。会社によって事情は様々かと思います。

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上長、メンター、先輩ってスーパーマンじゃないんですよね。普通に間違うし、案件に密着してなかったらアラートを把握できない。全員がラストマン精神を持つことはチームのパフォーマンス向上にめっちゃ貢献しました。

目的を実現するためのやり方は自分で考えて「これやりたいけどいいですか?」と承認をもらいにきてほしい、もめっちゃ有効。私も当時の上長から学んだことで、うっかり「これどうしましょう?」って聞くと「イエスかノーで答えられる質問して」と言われるので体に染み付きました。全ての仕事が速く質高く進むようになるし、本人が一度考えた上でレビューやアドバイスをする形になるので、メンターの負担も減ります。

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「声かけられるのは迷惑じゃないよ」というメッセージは繰り返し発しています。

忙しいチームだったので、タイミングをはかってると永久に声をかけられませんし、新卒も重要な戦力なので悩んで貴重な時間を浪費されるのも困ります。

質問されたり、何かをレクチャーする際には「私をメンターとして成長させてくれてありがとう」という顔を心がけていました。伝わってるかわからないけど。口に出して言えばよかった(笑)。

おまけ

ここからは、通常業務に慣れて余裕が出たころに読んでね、という位置付けです。その場では読み上げませんでした。

人は仕事を任せられると成長するので、メンターとしてはどんどん任せたいのですが、相手がある仕事だとやっぱりまだ進行管理や成果の質の観点から任せられないことはあると思います。下記のルールは、そのラインを下げる仕組みとして働きます。だいたいこれができればレビューを受けながら案件をメイン担当として回せるようになってるはず。

というのも、本人が上げる情報さえキャッチしていれば、メンティーが想定していないリスクがあってもメンターが感知して介入できるようになっています。なので「多少力不足でもまず任せてみる」が可能になります。

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まとめ

・初っ端に価値観を把握するとコミュニケーションがしやすくする

・「あなたに興味があります」というメッセージによって、自発的に動くための心理的クッションをつくる

・メンティーに「あなたが周囲を頼ることは、頼られる方にとってもメリットだよ」と繰り返し伝えて、動いてもらいやすくする

メンターもMGも一緒にあなたの成長にコミットするよと伝え、フォローアップの場を用意する

・メンティーが想定していないリスクを周囲が検知できるシステムを作ることで、早く仕事を任せられるようになる

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