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頼りない最新ベトナム映画紹介/『NGƯỜI VỢ CUỐI CÙNG/The Last Wife』(2023)


王朝の歴史モノかと思って見に行ったら田舎の村の悪代官の第3夫人になった若いオンナの子とそのかつての彼氏の大復讐映画でした。
ドラマとしてはそれなりの展開がありながら途中が端折り過ぎだったり、彼氏との再会の大感動場面では派手な情緒的音楽を被せてだらだらやり過ぎる部分もあり、見終わってやれやれ、みたいな
 
以下、完全ネタバレです。
村の貧しい家のムスメNhanはある日父親が悪代官から何かの罪で牢屋に入れられそうになるのを、父親は病気だから許してくれと悪代官に嘆願します。
すると悪代官がオレの子どもを産むなら許すと言いムスメは仕方なくそれに従います。家を出る日、彼氏のLinhがそれを止めようとすると家来からボコボコに殴られます。
 
第3夫人といっても第1夫人からはいじめられ、Nhanは悲惨な生活をしています。悪代官との子作り場面は馬の種付けのように描かれます。それですぐに子どもが生まれますが女の子で、話は一気に7年後に飛び、成長したその子どもも一緒にいじめられる日々が続きます。
 
ある日Linhがカニ漁師として悪代官の家に出入りするようになります。それでNhanと再会しシャカイ主義国の映画としてはギリギリの情交場面が繰り広げられ、映画館は時ならぬ静寂に包まれます。ごくン
それでついに二人は逃げることを決めますがそのためにはおカネが必要でNhanが毎日少しずつ金庫からおカネを抜き取りLinhのところに持っていきます。
 
それをある日 悪代官の部下に見つかりLinhの家というか小屋で大暴力大会となり、Nhanが部下からとどめの一撃を受ける寸前にLinhが部下をナイフで刺します。
それで死体を埋めてしばらく静かにして隠し通せるかと思ったらクニの役人がやって来ていろいろ調べて二人を追い詰めます。
 
Linhはついに捕まりNhanも共犯として役人から責められますが、ある日Nhanは父親の罪を裁いた記録を探し出し、それが偽装?されたものであることを知ります。この辺り展開が速すぎて若干理解不能でした。
後半は大暴力大会でNhanが第1夫人に刺されたかと思ったらランプの灯が夫人の服に燃え移りスタントマン活躍場面があったりで手に汗握ったり。
 
Nhanが命を懸けて見つけた記録は役人の手に渡り悪代官は捕まります。自由の身になったLinhはNhanと子どもを連れて滝のある美しい場所を目指しますがNhanは刺された傷が治らず途中で死にます。それで大感動音楽が流れて滝のシブキが二人の永遠の幸福を象徴するかのように光に輝き、、もう少しで泣くところでした。
 
監督はVictor Vũ。村人が虐げられ貧しい生活を送る一方で悪代官が悪政の限りを尽くしていることをシャカイ主義国の腐敗になぞらえて描いたとしたら大した映画だと思いましたが、まさかそんなことはしていません。
Nhan役はニッポンに似た人がいる清純派女優のKaity Nguyễn、2枚目過ぎてあまり可哀そうに思えないLinh役はThuận Nguyễn。
微妙な立場の第2夫人がNhanに好意的で、その辺りにそこはかとないニンゲン関係の機微が感じられた映画でした。


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