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「佐賀へ図書館視察に行く」体験エッセイ2015年2月記  

 都城市立図書館協議会の視察で、「佐賀市立図書館」と全国初のTSUTAYA運営で話題の「武雄市図書館」に行った。
 1月の寒い朝、森副館長と会のメンバー6人がウエルネスマークの小型バスに乗り込む。風邪をひいた私はマスク姿で参加。何としてでも武雄の図書館を見たいと、医者にかかりインフルエンザ陰性も確認済みだ。

 佐賀市立図書館は、地上3階地下1階だが、1、2階の中央に丸い吹き抜けがあり、都城大丸センターモールの改修後が想像できた。平日なのに利用者が多いので驚く。
 
 自動貸し出し機などハイテク導入も素晴らしいが、郷土関連コーナーに、職員手作りの地元に関するファイルがたくさん並んでいて目を引いた。佐賀出身のタレントに関する新聞や雑誌の記事もスクラップされており、職員らの郷土を思う熱心な取り組みに心打たれた。都城なら「俳優温水洋一」や「俳優永瀬正敏」、「都城市民会館に関する資料」など出来そうだ。
 
 児童書コーナーは棚が低く、可愛らしい子ども用トイレも近くにある。絵本が数冊、面置きで展示されていた。作品を毎年募集、子どもと大人1作品ずつ優秀作が選ばれ、各10冊ずつ本にし、作者に1冊贈られるそうだ。応募は全国からOKとのことで、文章教室のMさんの顔が浮んだ。活字文化の向上に繋がる取り組みだと思う。
 
 2階の廊下はギャラリースペース。奥で高齢者が囲碁を楽しんでいる。都城では見ない光景だ。図書館内でこういった交流機会を提供するのもありだなと感心する。

 昼食は館内のカフェで、日替わり定食(秋刀魚の煮もの・十穀米・サラダ・大学芋・スープ)にグレープフルーツジュース付きで870円。木の温もりが心地よい室内、席は殆んど埋まる感じ。食事のためだけに来る人もいるらしい。小さくてもこんな場所が図書館にあるといい。

 武雄市図書館は、本好きの樋渡市長の肝いりで、CCC(蔦屋書店)を指定管理者に2013年にオープン。スターバックスも入り官民協働型の日本初の図書館となった。全国から視察も来て、入館者激増のうわさどおり、駐車場は水曜なのにいっぱいだった。入館してすぐは書店部分、右側のスタバからはコーヒーの香りが漂ってくる。
 いざ図書館部分へと足を踏み入れたが、明確な仕切りが無いので戸惑う。棚横表示に「販売」の文字があるかないか、本に背ラベルが付いているかないかで判断はできるが……。まあ、慣れてしまえば気にならないか。

 約20万冊の蔵書全てが開架状態。しかし、上の方の棚になると書名はよく見えない。箱だけのダミーがあるのは、今後の蔵書増への予備対応なのだそう。
 貸出禁の重要本がカギのかかったガラス棚にある。見たければ受付に申し出るのだろう。こんな貴重な本があることを、市民に知らせるには良いと思う。
 雑誌と新聞のコーナーはかなり奥まった所に在り、そこで高齢者が漫画を読んでいた。本棚に囲まれた中に机と椅子が数カ所あり、いろんな形のシェードランプがお洒落な空間を演出している。
 吹き抜けの2階からは書店とスタバの様子がうかがえる。手すりの手前にカウンター式の机があって、学習や読書、パソコン使用の人々がずらっと横並びにいた。
 ひと通り巡り終え、スタバでアイスティーを頼み休憩する。スタバの注文受付は行列ができていたが、図書館の方は暇そうだった。
 「TSUTAYA図書館」には賛否両論あるけれど、私が住人だったら、ここにはしょっちゅう来るだろうなと思う。ただ、都城の私たち一同には、佐賀市立図書館の方が参考になると感じられた。

 帰りはうつらうつらしつつも、喉の不快と咳を抑えるために、お茶をひと口飲む・・・を繰り返す。市のバスは雨夜の高速道路で車をごぼう抜きに追い越し、予定通りの午後8時、市の駐車場に到着した。

※都城市立図書館は、街なかの都城大丸センターモール(閉店した商業施設)をリフォームして2018年にオープンした。


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