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受胎告知あるいは自我の訃報

ある日私は、私自身の訃報を聴いた。しかしそれは、同時に私自身の産声でもあった。

私は私を受精し私自身を妊娠する。私は私の胎児、私は私の母親、私は私を産み落とし生まれ直す。

天使のお告げはいらない。
アダムもいらない。

私は私の創造主、私は私の聖典、私による私の堕天、私は私を磔にして三日後に私の復活祭をする。

私は私を信仰し、懺悔し、私を密告する。

そして世界は、私ひとりぽっちになった。

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