ユーザーエクスペリエンス講義_模擬__2

ユーザエクスペリエンス デザイン (導入編)プレゼンテーション【後編】

機会があり、ユーザエクスペリエンスデザインの初学者向け導入用プレゼンテーション資料を作成しましたので、内容を公開します。

今回は【後編】(3章〜)となります。
【前編】:https://note.mu/shirasy/n/nd697e3d039b5

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 ユーザエクスペリエンスの成り立ちについてですが、ユーザエクスペリエンスと言う概念は1998年に認知科学者のドナルド・ノーマン氏によって提唱されました。彼は、「コンピュータは過度に技術中心で、イライラする。多くの人が使う製品は、ユーザエスクペリエンスを重視すべきだ。」という旨の話を「インビジブルコンピュータ」という書籍にて述べています。

P.17:
 左側の写真は、1990年代のノートパソコンです。この時代のPCは今と比べると、まだまだ一般向けではなく、ユーザインターフェースも現代より複雑だったこともり、パソコン愛好者向けのものでした。
 右側の写真は、Windows 10 の先祖にあたるWindows 3.1ですね。現代のWindows 10と比べると無骨な感じですね。まだ、パソコンは普及していないので多くの人は使い方を知らない状況で敷居も高かったです。当時は、ドン・ノーマン氏がいう通りユーザーが中心ではなく技術中心の時代でしたね。

P.18:
 さて、ここで、ユーザエクスペリエンスが着目された経緯について
歴史的な流れを俯瞰してみましょう。色々な用語が登場していますが、このような流れがあったんだなと思って頂ければ結構です。
 ユーザエクスペリエンスは、いきなり登場した概念ではなく、人間工学や人間中心設計などの歴史的な流れの中で登場しています。コンピュータは機能が複雑で操作も難しかったため、その改善を目的とし、様々な取り組みが行われてきました。1999年には、ユーザーを重視したデザインの考え方である人間中心設計が国際標準規格になりました。ドン・ノーマン氏がユーザエクスペリエンス の重要性を提案したのは、この時期ですね。
 近年、ユーザーエクスペリエンスは注目されていますが 要因は2つあります。

P.19:
 重要である要因の1 つ目は「インターネットやスマートフォンの普及に伴う情報化社会到来」により、インターネットが普及し、スマートフォンや各種デバイスを通じて、あらゆる時間・場所で、さまざまな体験を得られるようになったことです。

P.20:
 情報化社会の一つのエポックメイキングとして2007年のiPhoneの登場があります。iPhoneは画面タッチで直観的に操作ができ、多様な人に受け入れられ、幅広い状況で使われるようになりました。iPhone以前の携帯電話(いわゆるガラケー)はボタン操作が普通だったため、革命でした。
 iPhoneの登場を機に、スマートフォンやタブレットが普及し、インターネットに常時接続されたコンピュータを多くの人が携帯するようになりました。この結果、スマートフォンやタブレットのサービスは多数登場し、競争も激しくなりました。

P.21:
 2つ目の要因ですが、「モノからコトへ価値観の変化」です。モノが溢れる現在は、機能の差別化は困難です。
 「モノからコトへ」とここに書きましたが、製品・サービスの機能に価値を感じて使うから製品・サービスによって得られる体験に価値を感じて使うに変化しています。

P.22:
 それでは、主題である、ユーザエクスペリエンスデザイン について話しを進めましょう。ユーザエクスペリエンスは、先ほど話した通り、ユーザーの個人的なものです。
 一方、ユーザエクスペリエンスデザイン は、
 ・どのような「体験」をしてもらうか計画すること、 そして・・・
 ・計画した体験が量産・再生産される製品・サービスと仕組みを作ること
を言います。

P.23:
 ユーザエクスペリエンス は個人的なものなので直接デザインできるわけではありません。
 ユーザエクスペリエンス デザインは、「よいユーザエクスペリエンス のためのデザイン」と言い換えることができます。

P.24:
 ユーザーエクスペリエンス デザインは、ユーザーの理想的な体験を目標に、それを実現するのに必要となるものをデザイン対象物として制作することです。その際には、プロダクトのみではなく、利用前、利用中、利用後、にユーザーが触れるであろうモノやコトもデザインの対象です。そして、利用文脈を考慮することも必要です。

P.25:
 そして、大事なことは、ユーザーのことが分からないと、ユーザーにとっての嬉しい体験を提供することもできないということです。
 ユーザーを代表するモデルであるペルソナを作り、ユーザの人物像を明確化したり、体験に伴うユーザー感情の推移をプロットするジャーニーマップなどの、ユーザーのことを理解するための方法も提案されています。

P.26:
 ユーザエクスペリエンス デザインによって開発されたサービスの事例を紹介します。
 タートルタクシーという日本のタクシー会社のサービスで、2014年にはグッドデザイン賞のベスト100に選ばれています。このタートルタクシーは、普通のタクシーと少し違います。この図のように、乗客が「ゆっくりボタン」を押すと通常よりもゆっくりと丁寧に運転してくれます。UXの調査により、時には移動速度よりも、落ち着いた運転が望まれることがわかり、このサービスが生まれたそうです。

P.27:
人の心の動きや行動をきちんと理解した上で、それを製品やサービスなどに応用していくことが重要です。ユーザエクスペリエンスデザインでは、人間中心設計やユーザビリティ、認知科学、人間工学、感性科学などの知見を活用していきます。

P.28:
 ここまでのまとめです。「ユーザエクスペリエンスデザイン」の概要として、
・ユーザエクスペリエンスとは
・なぜ、ユーザエクスペリエンスデザインが重要か?
・ユーザエクスペリエンスデザイン(導入編)
について概要をお話ししました。前編・後編を通じて、お読み頂き、ありがとうございました。

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