パピルス
以前担当させていただいたご婦人が仰っていた.
読書は良いものですよ.いつでも好きなタイミングで好きなだけ読書の世界に浸れるから.映画やドラマや演劇は決まった時間しか浸れないでしょ?
その言葉が忘れられていないのだから,僕の人生に大きな影響を与えているのかもしれないね.
言の葉の中に迷い込むことは森に行くようであり
言葉が溢れて海に沈むような感覚がある.
深い深い森の中を彷徨ったり,海底に宝物を探しに行ったり,読書とはそんな体験だと思う.
初めから樹海や深淵に行くべきではない.
何事も十分な訓練と命綱がなくては危険です.
ひとりきりで迷子になるのは心細いでしょう?
初めのうちは小さな茂みやお風呂場くらいの水たまりから試してみてはどうですか?
短いからこそ美しく磨かれた言葉は芸術作品を眺めているみたいに,短編映画を観ているみたいにうっとりできるかもしれませんよ.
読書をすると何か良いことがあるの?
そういうことを考えているうちは読書をすることの恩恵にありつけないのかもね.
なんて言うのは意地悪でした.
この仕事,というかこの社会では色んな場面で自分の思考を言葉にする必要があるよね.
実習生にも「まさかこんなに考えを言葉にする必要がある仕事だとは思ってなかったでしょ?」と毎回尋ねています.
森に行くたびに歩き方が分かるように,潜るほどに疲れない泳ぎ方が分かるように,
いくらか本を読んでいるとそういったことも上手くなるのかもね.
自分の思いを言葉にできることは武器になるそうだから試してみても良いのかもしれませんよ.
好きな本,読みたいと思える本から,1日1ページでも良いから読んでみてはどうでしょう?
あなたの心に豊かな森や深い海が育つことを願っています.
さて,今日はなに読もう?
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