《ヒプマイ》天谷奴零はどついたれ本舗の人間である


はじめに(必読)

アニメ2期も始まりX(旧Twitter)で天谷奴零の立ち位置の話が散見されるようになったので筆を取りました。
一応筆者の身分を明かしておくとどついたれ本舗(以降:オオサカ)箱推しのおおよその曲、本編ドラパ、オオサカ中心にコミカライズとその特典のドラパ・曲を履修済み人間です。
が、コンテンツの形態がやや特殊なため、放送中のアニメの時間軸に合うように現在サブスクで聞ける曲とドラパ(2ndDRBまで)とアニメ2期(現在放送済みの7話まで)を中心に展開していきます。

※本記事にはヒプノシスマイクのドラマパート・アニメ2期4話のネタバレが含まれます。

天谷奴零の立ち位置の変遷

ここからは天谷奴零についてオオサカの曲とドラパを発売順に追っていきます。ずっと主観が続きますのでご注意ください。

・「あゝオオサカdreamin'night」


まず、大前提として天谷奴零は他のディビジョンにいないポジションでもある、敵か味方か分からない状態でオオサカに加入しています。といっても、過去に漫才コンビを組んでいた白膠木簓と躑躅森盧笙を再び引き合わせてチームを組ませたのは零本人の働きで、そこには中王区のスパイとしての意図があります。(ドラパ「aikata back again」より)
また、「音楽原作キャラクターラッププロジェクト」であるヒプノシスマイクの強みと良さであるオオサカのデビュー曲は皆さんご存じ「あゝオオサカdreamin' night」。既存の4ディビジョンにかち込む登場曲として満点以上のものだと勝手に思っています。漫才師・教師・詐欺師(自称)である彼らが、自らの口と言葉を軸に戦うぞという気概が感じられてとても好きです。全ての良さを語りたいのですが、零パートにフォーカスしていきます。簓と盧笙のリリックを的確に取り入れながら、まるで仄暗い底から甘い誘いが響いてくる。まさに怪しさ満点の大人の男がそこにいるようで、手を取ってはいけないが、興味を惹く面白さがあるという存在としてインパクトを放っています。ここではまだ「考えが読めない怪しいチームメイト」の位置にいます。

・「なにわ☆パラダイ酒」


一言だけ言わせていただきたいです。何?
いや、オオサカ限らずヒプノシスマイク全体で好きな曲上位に食い込むほど良い曲かつ良いドラパ(「The truth of the haunted house」。サブスクでは聞けないのが惜しい)なのですが、零の立ち位置の推移から見ると本当に謎です。これは本編ではなく、漫画の特典CDに収録されているものですが、次に紹介する曲・ドラパよりオオサカの仲良し度合いがカンストしています。「なにわ☆パラダイ酒」の作詞担当の一人である梅田サイファーのKBDさんが素晴らしいnoteを上げてくださっている(https://note.com/kbd1008/n/n0c2e1e49d1be
ので好きポイントと零の立ち位置の根拠については添えるだけにします。まとめてしまうとオオサカの三人が飲みに行ってべろべろになる曲ですが、零はザルなのか一歩引いた感じでかっこよく歌い上げます。しかしアニメ2期(後述する2ndDRB後の世界線ではある)の4話で、簓が三人で毎晩飲みに行ってる旨の発言があったり実際飲み屋でのシーンがあったように、日常的に会ってることが分かります。


・「笑オオサカ!」


そして初参戦の2ndDRB(ディビジョンラップバトル)でのドラマパート「aikata(s) back again」では、天谷奴零がイケブクロディビジョンBuster Bros!!!の三人の実父であったこととその因縁、盧笙と簓のわだかまりの解決が描かれます。そしてイケブクロとのバトル曲は「Joy for Struggle」、ディビジョン曲は「笑オオサカ!」が発表されました。

両方ともエンターテイナーとしてのオオサカが色濃く押し出された、全体の空気をオオサカ一色に染め上げるような前向きな曲です。零はバトル曲で血縁を匂わせつつもそれを簓と盧笙に気付かせるような直接的なことは言わず、実子に『見せかけだけ』や『ガキども』と悪役に徹するようなそぶりを見せます。真っ直ぐにぶつかってくるイケブクロと、酸いも甘いも経験したかっこいいヒールのようなオオサカの構図の中で零は、「笑オオサカ!」で今まで隠していた熱量のような「仲間」としてのリリックを発します。

『他にはない ほっとかない 絆固い
これくらい出来なきゃ漢じゃない
傷と真実の闇は深いけどやるしかない 志高い』
(どついたれ本舗「笑オオサカ!」より)

天谷奴零は中王区のスパイとしての一面も持ちますが、それも自らの意思ではないことがドラマパートで明かされています。零には隠された大事な「何か」があって、けれどそれは仲間もでなく誰にも言えないモノである。ここでようやく零は完全な悪でないが、同じ方向を向いた仲間である、と明示されます。全員が歌うパートでは積極的に大阪弁を歌うのも、零の中で「オオサカ」がちゃんと根付いて心のリソースを割く対象になったように感じます。

おわりに


アニメ二期4話ではこのバトルの後も、オオサカの三人は一度挫折を味わった人の背中を押すようなラップを披露しています。平然と盧笙の部屋にいる二人や、7話でのジョークが被るところなどから、彼らが一緒に過ごしている時間が私たちの知り得る物語の外にも確実に存在していることが窺えます。
たとえ一人の目的地が違っても、オオサカディビジョンは泥臭くても人間らしい強さが芯に通った三人で作られていると思っています。天谷奴零はオオサカディビジョン・どついたれ本舗の人間であると、声高に叫びたくなるくらいには。


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