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【読書メモ】スは宇宙のス(レイ・ブラッドベリ)

訳:一ノ瀬直二

「宇宙」と書いて「スペース」と読むので、「ス」なのです。と、短篇集で16話収録されてます。このうち2話のみあらすじと感想を書きます。ネタバレ有りです。

萩尾望都先生が「ウは宇宙船のウ」という似たような作品出してたなと思ったら、同じくレイ・ブラッドベリ原作の短篇集でした。

脱出する者の時間
フィールズ先生の引率で、タイム・マシンで1928年という昔の世界に連れてこられたジャネット、ウイリアム、ロバート。昔の人たちの行動を観察するのが目的だ。ジャネットらの世界では既に廃止されているサーカスや夏休み、花火、ハロウィンなどの風習を見たり体験し、最初は野蛮な文化だと否定的な感想を持つも、だんだん興味を持つようになってきた。ジャネットはこの時代にいたいと言い出し、ウイリアム、ロバートも誘った。フィールズ先生は困り、お仕置きとしてジャネットらをこの過去の時代に置いて帰ることにした。こんな野蛮な時代に置き去りにしたら、そのうち泣いて戻ってくるだろうと考えて。そしてウィリアムだけは先生に捕まり、未来の世界へ戻った。理路整然とした未来の世界の10月。そこでは子供は走り回っておらず、皆、家の中にいた。家の中では、だれかれの差別なく冷えたリンゴ酒をついでまわっていた。

オチがちょっと分かりにくいです。過去の文化をやたら否定的に捉え、だったら元居た未来の世界はどんな感じなのかというと、そこは味気ない殺伐とした世界だった、という感じかしら。

微笑
戦争で荒廃した世界。祭りの日、トム少年はある行列に並んでいた。それは、微笑する女の絵に唾を吐きかける列だった。400年も前にカンバスに描かれた絵だ。何故そんなことをするのか?それは、自分たちをこんな目に遭わせた過去のあらゆるものに対する憎しみや鬱憤を晴らすためだった。トムの番が来た。唾を吐くのは良いが、石を投げてはならず、絵には縄を張り巡らせて警官が立っていた。トムはその絵にみとれ、唾を吐けなかった。傍にいた馬に乗った男に聞いた。「あの絵は何て言うの?」「モナ・リザっていうらしいな」
馬に乗った男が皆に伝えた。この肖像画は本日正午をもって民衆の手にゆだねられ、その手で破壊されるべく・・と。民衆はどっと絵に押し寄せた。絵を引き裂き、額縁を壊し、破壊しつくした。トムは泣きながらカンバスの断片を持って逃げ帰った。家に帰り落ち着いた頃、白い月の光がさす中で、あの絵の断片を見た。白い光の照明にあてて、モナ・リザの微笑を幾度も眺めるのだった。

これも分かりづらい話だな…(;'∀')何故かモナ・リザが憎悪の対象になってます。

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