背景、秋
秋薫る なんて呟いている間に秋は終わっていた
ゆっくりと色を変える木々たちも戸惑いを隠せないほどはやかった
焦って出したマフラーは毛玉だらけで、とてもじゃないけど外にはつけていけないや
時間を止めたみたいにフォトフレームの中で笑ういつかの二人
背景は通りすぎたはずの秋だった
私にはまだ薫ってくる
優しく跳ねるように笑顔で手をふるあなたの存在が
冷めたコーヒーと伏せたフォトフレーム
新しいマフラーを買いに行こうか。
最後まで読んでくれてありがとうございます。 スキしてくださるととても嬉しいです。 してくださらなくても、目を通してくれてありがとうございます。