ランニングライト

目の前に広がるのは荒野か楽園か。まだ分からない。瞳は閉じたままだ。

走馬灯のように脳内をかけめぐるあれやこれやに心を掻き乱されている。でも悪い気はしない。

瞳をそっと閉じれば君がいる。もっと強くつむれば君の声がする。その声が私の血となり肉となり地図になる。

「先の事なんて誰にも分からないだろ?」そういう希望は求めてない。残念だけどいらないからトイレにでも流しておいてくれ。

私を動かすのはただ1つ。瞳は閉じた時に思うそれと地図になるそれ。それ以外は何もいらない。

でも喉が乾いちゃいけないから水だけは持っていこうか。鞄にでもいれておくよ。時折そこにも君の残像を見るかもしれない。

どう足掻いたって荒野かもね。踵に伝わるのはゴロゴロとした石とざらついた砂の感覚だけみたいだ。綺麗な石畳、キンモクセイやバニラの匂いはしないらしい。

さぁ。そろそろ行こうか。もっと強く瞳をつむって君の声を聞く。地図はいつだって瞼の裏さ。瞳を開けたら迷わず行けいくんだ。

駆け抜けた先で君と歓喜できると信じて

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