私は何者?
どうしようもない理由を並べてはそれを見つめて満足していた。世間的に言えばそれは「逃げる」以外の何物でもなかった。
逃げ続けた先にいた自分はいつもの自分ではなかった。外見は確かに自分の形をしていた。
でも中身は詰まっていなかった。骨と肉と皮。それで形成された体温のある「物」だった。
魂は剥がれ落ちそうになり、誰かが衝撃を与えれば今にも宙に放たれてしまいそうだった。
ぼんやりとした視界、開いた口、静かすぎる呼吸。そのどれをとっても生きているとは思えず、ただ近づけばかろうじて分かるほどだった。
このまま歩いていてもいい? 自らなにも発信できないまま見えない誰かに許しを求めてはおぼつかない足取りで歩を進めた。誰かに見つけてほしいのに、誰にも見つからないように。
それは時間が解決することではない。分かっている。でも何も治まらない。体温のある「物」が何者かになる日は遠い。
しかし着実に進んでいる。見つめてた理由を取っ払いかろうじて残る体温が本能的に求める方へ。1歩ずつ。
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