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【#あなスパ】兎と犬と鳥と神

noteで配信されている人気ラジオ番組、『すまいるスパイス』が3周年を迎えられます。

その記念企画である、リスナーが心に残った放送を投稿する『 #あなスパ 』。
素敵な回、貴重な回、恐れ多くも自分の名前を出していただいたありがたい回(『推しについて話そ?』はありがたすぎてもはや別腹)がある中、それでもひとつを選ぶとしたら、白鉛筆はやはりこちらを挙げます。

紫乃さん(現在は卯月紫乃さん)がパーソナリティーを務め、ゲスト二人の創作に纏わるあれこれを掘り下げるコーナー、『創作について語ろう』。
その初回、穂音さん橘鶫さんがご出演された放送です。

一言で言うと、”神回”。

大変失礼ながら、配信を聞くまでこの御三方について、人気noterであることは存じ上げつつも、創作者としてどれだけすごい方々なのかまではきちんと認識しておらず、

紫乃さん → すまスパの人。
穂音さん → 小説と音楽の人。
橘鶫さん → 鳥の絵がすごい人。

極論、このぐらいの実にふざけた解像度でした(本当にすみません)。

この放送を聞き、そこで受けた感銘を胸に皆様の活動に触れ、より深い交流の機会までいただいた今となっては、

紫乃さん → ザ・仕事人の俳人。厚い情と冷静な分析力を併せ持つ。大好き。
穂音さん → 不思議な世界を描く小説の名手。創作への学びが深い。大好き。
橘鶫さん → マジで尋常じゃないこの人は背筋が凍るレベルでレベチ。大好き。

と、リスペクトが過ぎて、逆に解像度が粗くなるほどに。

今回はそんな神回から、特に白鉛筆の胸を抉った三つのポイントをお伝えしたいと思います。

POINT:1

同じ日本語で書いた小説でも、読み手により違う物語になっている可能性がある。

よく言われる「同じ物語でも人により受け止め方は様々」という次元の話ではありません。言語の認識、その相違から「物語そのものが、書き手が意図したものと異なるものとして、読み手の脳内で展開される」ことを示唆したもの。

確かにこのブレは多かれ少なかれ発生しうるもので、防ぐことはできません。また、読書時には相違なく伝わっていたとしても、時と共に読み手の脳内で物語が変形することもございます。

解釈レベルだけでなく、認識レベルでもまた、書き手の意図など100%伝わるものではないし、残るものでもない。それでも可能な限り正確に伝わるよう、鮮やかなまま残るよう、創意工夫を凝らさなくてはならない
自分以外の誰かに向けて物語を書く上で、そんな避けられない命題があることに気付かされました。

POINT:2

ストーリーだけ面白い物語は味気ない。それがどう書かれるかが小説の醍醐味。

もうこれはただただ頷くしかないです。

「あらすじだけ聞かされて面白い作品」か、「あらすじはつまらないけれど読めば面白い作品」があれば、間違いなく後者が白鉛筆の好み。それをどのような視点で、どのように描くかに書き手の個性が色濃く出ると感じます。

余談ですが、noterさんを募り「それぞれの思う方法で『桃太郎』を書いてください」といった企画があれば面白いな、と思っています。誰もが知る決まったストーリーを、それぞれがどのように描くのか。その個性を見比べ、楽しむ。
あの人やあの人が書く『桃太郎』。読んでみたくはありませんか。

POINT:3

心を込めるか否かの話ができるのは、ある一定の技術レベルに達した人の特権。

穂音さんの鈴のようなお声でこの切れ味鋭い文句が吐かれ、さらに追い打ちをかけるように橘鶫さんが「思いがあるならそれを形あるものにするため、何らか努力をするはず」と知的な物言いで付け加えられます。

好き勝手、ただただ「楽しい」という思いだけで創作に携わり、何かしらの学びを得たわけでも得ようとしたわけでもない自分に、この言葉は深く刺さりました。
もちろん、目一杯の創意工夫は凝らしますし、結果として作品をお楽しみいただけた旨、お声を頂戴したりもするのですが、そもそもの気構えの時点で自分には不足するものがあるのでは、と。

自分のこの「楽しい」をベースとした苦を伴わぬ自己研鑽は、橘さんがおっしゃった「努力」と代替可能なものなのか
いつか深く自問自答する日が来るのではないか、という予感を抱えつつ、以降も「楽しい」で創作を続けている白鉛筆です。

以上、3点です。
引用部について、白鉛筆が意訳したものであるため、ニュアンスが異なる部分があるかもしれません。
ご指摘がございましたら、お手数ですがお知らせください。

これ見よがしにポイントなどを挙げてみましたが、本放送に限らず、『創作について語ろう』の一番の醍醐味は、そのような各論ではありません。

創作者同士が互いをリスペクトしながら語り合う、その空気感です。

思考や嗜好を言語化し、共有する至高の時間。
たとえ聴覚だけだとしても、そこに立ち会えているかのような感覚。
それを味わえるのが、一番の幸せだと感じます。

自分も出演させていただいているのですが、それを時に忘れるほどに、一リスナーとして大ファンだったこのコーナー。
紫乃さんを始めとする運営の皆様、素敵な企画を実現していただき、本当にありがとうございました。
いつかまた復活していただけることを、密かに期待しております。
(もし復活したなら、あの人とあの人を呼んで欲しいな、と妄想が止まりません。じゅるり)



多くの方のnoteライフを彩っている『すまいるスパイス』。
3周年おめでとうございます。
これからも素敵な放送を楽しみにしています。

白鉛筆でした。

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