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「あの子は、きっと花開く!」

いま、一番欲しい褒め言葉のはなし。


どんな場所に咲いても、美しいものは美しいんだなあ。散歩中、ふと目を奪われる。チューリップがゴミ捨て場の網からスッと伸びていた。

ワタシヲ、ミテ

ここがわたしの晴れ舞台よと言わんばかりに、開花していた。



途中立ち寄った公園のベンチ。藤の花用の囲いの下。ひっそりと息をひそめている。あ、チェックみたいな木の影が好きだなと思う。経年劣化か、日に焼けた座面が白く映える。

年月をかさねるのもわるくない



道路脇の側溝。

桜の大渋滞
渋滞回避組

密集する桜たち。列を離れた数枚の方に、わたしは心惹かれる。かたまりにならずとも、一枚いちまい、ちゃんと薄紅色。


群れず、ひっそり淡々と日々を過ごす。その姿そのものが美しい人でありたいなあ。散歩や釣りで自然の中に身を置く。すると実感する。生きものも草花も、もの言わぬものたちは、ありのままで美しい。餌の取り合いにケンカはあるだろう。けれど自分の容姿や生まれに文句をいうものは、だれもいない。(わたしが知らないだけかも)

自分と他人を比べて優劣をつける。自分のほうが上だって安心したり、下だって悲しくなったり。にんげんは、辛くて苦しくて、ままならないことばかり。

だけど今日より明日。一秒でも増やしたい。じぶんのことを愛おしく思う時間。わたしはそう思う。なぜなら誰でも生まれた時は、何もせずとも輝く存在。

自分を愛おしく思えない時、
わたしもあなたも悪くない。

社会の固定概念、情報で作り出された理想。そんな泥や埃に目が霞んで、じぶんを見失っているだけ。無理せずに出来ること。スキなこと。得意なこと。だれかに喜んでもらえたこと。そういうものを使って、誰かのために働ける人でありたい。(仕事ではなく)きっと、それがじぶんだけのきらめきになる。

そういうきらめきをもつ人になりたい。「あの子は化けたらすごい」、鋭い審美眼を持つ人に目をつけられたい。その時のわたしは、派手に主張するのではなく、しとやかに。「花開いたら、きっとすごい人」

これが今、一番欲しい褒め言葉だなと思う。


日々の仕事や暮らしで悩んでいるわたし。そしてあなた。わたしたちは、きっと今、きらめきが見えないだけ。でも、きっとすぐそばにある。もう少し休んで心が回復したら、ふと目を向けられるはず。そう信じたい。

そんなことを思った、春のさんぽ道。

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