見出し画像

Free as a Bird

「今日のご飯なに?」
「あ、来たの? ほら」
「またこれかー」
「嫌いなの?」
「あれば食べるけど」
「あ、食べてる」
「しかし毎日これじゃ飽きるな」
「こんにちは」
「えっ誰?」
「旅の者です」
「旅……君は渡り鳥とかいうんでしょ」
「ご名答」
「いいね、君は。自由だ」
「あなたはいつもおなじものを食べてるんですね。同情しちゃうなあ」
「なんかシンプルな同情」
「世界にはうまいものがたくさんあります」
「君は鳥なのにそんなもの食べるの?」
「ヒトのおこぼれを預かって」
「いいなあ」
「あなたも旅にでませんか?」
「えっ……なんかそういうこと考えたことなかった」
「なにわんわん言ってるの? あ、綺麗な鳥」
「あなたの主人が来ましたね」
「うん。いいヒトだ」
「旅には……出ますか?」
「考えておくよ」
「可愛い鳥……あ、逃げちゃった」
「旅かー」
「ん? どしたの?」
「……まあ近所の散歩をするだけでも僕にとっては
ひとつの旅だ」
「なんか神妙な顔しちゃって。ほら」
「あ! ジャーキー!」
「喜びすぎ」
「旅はまあ今度でいいよ」
「あ、窓の外にまだ鳥さんいるね」
「さようなら、また来ますね」
「やっぱりちょっと羨ましいかも」


リンク
http://sokkyo-shosetsu.com/novel.php?id=467652

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?