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「未熟さ」を愛でる日本文化とBMSG考察④~BeMySelfでいるために


BMSGが弄りを禁止する理由

カッコいいアーティストになるために

BMSGはいじり禁止をSKY-HIは常々言っています。いじられると強者と弱者が出来て萎縮していまうし、恥の感覚が出来てしまうと「俺はカッコイイ=流行を作り出す」クリエイティブが出来なくなってしまうのかなと。
2023.12月のD.U.N.K.番組でIMPとの対談でもSKY-HIが、グループを続ける秘訣はと尋ねられて「嫌だったことを、後から『あの時は嫌でした』と言える空気と、真面目なことや熱いこととかを言うときに笑わない空気」と回答していました。

もうオタクとして知りたいこと100点の記事。 私もカッコつけてるのを冷やかす風潮嫌いなので、SKY-HIは本当に苦労した分いい空気作り出すのに心を砕いてるんだろうなぁ。 社長がBMSGのメンバーファーストで考えて、BE:FIRSTがファンを第一に考える。いいと思う。

人の心に響くMCをするために

いじりいじられの関係性は”弱い者いじめ”であり、互いを尊重しているとは言い難く、いびつな力関係になりがち。小さいムラ社会を形成してしまう。しかも仲間内(=ムラの住民)でなければ通用しないコミュニケーションになるため、ファンダム以外の人へ疎外感を与えてしまい新規流入のチャンスを自ら潰してしまいます。
ファンダムの中には仲間内のコミュニケーション、お約束事を好む人もいますが、所属の欲求を満たしたい側面もある気がします。

SKY-HIがワンマンでBE:FIRSTに課した課題。すごく分かりやすいし、やっぱり意図的なMCだったんだ。Twitterもそれぞれの発言で賑わってたもんね。 成長していくための課題、思考が逸れた時・質が担保できない時に明確に指摘してくれる存在って有難いよね。いじるの禁止最高。

いじりいじられのコミュニケーションの根底は「弱い者いじめ」

広告会社やマスメディアにとっては「生活者に自信を持たせない」ことが影響力を保持するための至上命題になりますよね。常に不安を煽ることで自分の消費に関する判断や選択に自信を持たせないようにする。

https://x.com/shu_yamaguchi/status/1618060483243954176

マーケティングゆえに自分に自信を持つ機会を奪われてきた日本社会では、互いを尊重するための心理的安全を担保することが難しいように感じます。
自信がないから誰のアドバイスやオススメが欲しいし、わからないと馬鹿にされるのが恥ずかしいから先に相手をいじってしまう、そんな構造があると感じることが多いです。

しろねこ
私、ミーハーが1番強いと思ってるんですけど、ミーハーを嫌う方って一定数いますよね。音楽性が高い=ニッチ、女子供はすっこんでろ、みたいな。でもビーファは大衆性もありキャッチーでありニッチでもあり音楽性も高く評価されるクオリティの高い存在を目指してるので、どんなスタンスも受け止めれる存在だと思うんです。社長が言う「いじり禁止」って、日本社会に蔓延する呪いを許さないって事なのかなぁと。自信がないと誰かに影響されちゃうけど、バランス悪くても好き!って言えて、そっかー好きかーって受け止めてもらえる社会が多様性がある社会……そしてそれを許すと服や流行が売れなくなるんだろうなぁ。インフルエンサーとか必要なくなりますもんね

https://x.com/shiro_neko85/status/1619997483362574338

Pさん
いじりって馬鹿にすることですもんね。馬鹿にされない為には他者評価を軸にしなきゃという呪い。 よく言われる衣装問題も、私みたいな分からないから専門家にお任せという人、絶対的な審美眼で良し悪しジャッジする自信がある人。以外は「他と違いすぎると推してる私が恥ずかしいから同じにして」みたいな人も多いんだろうなーと。根深いですねぇ…呪い。

仲良しボーイズグループが象徴するもの②

トレバー・ノアが語る「男性にも信愛の情が必要」なワケ

上記noteの「仲良しボーイズグループが象徴するもの」で男性同士が仲良いことはマチズモからの解放だと柴さんとダイノジ大谷さんが話していましたが、それが何故なのか、アメリカのスタンドアップコメディアンのトレバー・ノアが語っています。
女が女らしさに縛られるように、男も男らしさに縛られている。

「私たち男性は、男性同士で信愛の情を表現したり、労わる優しさを見せたり、共感し合ったり、互いの弱みを見せ合い、かばい合うことを“負け”とする社会を作ってしまった。男性同士が『好きだ』と友愛を伝え合うことは恥だとする社会にしてしまった。相手を支配下に置き、優位に立つことが、何よりも優先すべきことだと。だから“弱いものいじめ”が起きてしまうのです。もうそろそろ、この従来のあり方に終止符を打っても良いのではないでしょうか?現在、世界にはダイナミックな変化が起きています。私は、全てのジェンダーが生きるこの社会に、今すぐにでもポジティブな変化が起きることを期待せずにはいられません」

https://www.vogue.co.jp/celebrity/article/celebrities-driving-social-change-trevor-noah

この記事は下記動画の一部書き起こしなのですが、動画ではもっと深い話をコメディアンらしくユーモアあふれる口調で話してくれています。
「男性とセックスの権利」というセンセーショナルな題ですが、男性が「実はセックスが必要なんじゃなくて、ただ抱きしめられたかったんだ」と言える社会になればいいな、と話してくれています。
字幕あり→自動翻訳で日本語訳が読めます。自動翻訳なので文章が変な部分もありますが、おおよそはわかるので、ぜひご覧になってみてください。

トレバー・ノアの自伝「生まれたことが犯罪?!」
彼はアパルトヘイト下で白人の父と黒人の母との間で生まれたため、存在そのものが犯罪でした。どこにも属せないトレバーの人生は逆境の連続ですがユーモアを持って生きていきます。
相手の言葉を知る大切さ。
ヒップホップそのものとおっしゃる方もいます。
歴史的背景もさりげなく挿入されるので、なるほど!となりながら読めると思います。
世界から差別がなくなればいいのに。
ぜひ読んでみてください。

心理的安全が保たれている関係性だからBeMySelfでいられる〜BMSG社訓

以下、前述のトレバー・ノアのMen,Intimacy &"Right to sex"の抜粋と、私の感想です。
彼らが仲良しであり距離感がバグであること、そこにケアリングを感じて泣きます。
中には性的意味合いを見つけて喜ぶ人もいるでしょう。
私はトレバーの動画を見てからは、彼らの距離感バグがジェンダーに囚われず、日本の古き悪き「男らしさ」に縛られず、新しい世代として(Brave Generationじゃんと思いました)アイコニックな存在になるのではと感じています。
彼らが男らしさに囚われないならば、ファンも性別で固定された「◯◯らしさ」に囚われにくいと感じます。
同性同士で、しかも男性の場合、ただ抱き合うことがどれだけ困難なのか、どうしてそんな社会になってしまったのか。信愛や共生を認めない男性社会では、どのようにコミュニティを形成してきたのか。次の項に参考書載せます。

抜粋
男性は友人同士で「愛してる」って言えない。言うとしても少しふざけないと。人々は、男性がこの社会の中で「信愛」の欠如を経験しているか気づいていない。唯一「信愛」を経験できる機会はセックスだけなんだ。つまり男性が「セックス不足だ」と主張する際に、実は足りていないのはセックスではなく、「友好」や「信愛」「共有できるスペース」なんだということが実は認識されていない。私たちは男性がお互いに「弱みを見せる」ことを恐れる社会を作ってしまった。ともに感受性を持って接すること、思いやること、愛し合うこと、これらを恐れている。だから男性が「実はセックスが必要なんじゃなくてただ抱きしめられたかったんだ」って言える社会になればいいなと。「僕たちは人間で、様々な愛情の形を必要としているんだ」って言える社会になるかもしれない。

https://www.youtube.com/watch?v=eYmFyjy2EmQ

動画見ながら泣いてる。 ダイノジさんの動画で「BTSや嵐が仲良しであることに救われた。女性がケアする必要が無いマチズモからの解放」って言ってたけど、踏み込むとコレなんだ。
BE:FIRSTが互いに好きって言ったりハグしたりするの本当に好きなんだけど、信愛を感じる場所があるって安心感よ。
そうか。だからSKY-HIはメンバー間のいじり禁止にしたんだ。彼らが互いでケアできる関係性って、愛してるってナイス!ってハグできるって、傷つけられない馬鹿にされないって保証がなきゃ怖くて出来ない事なんだ。
あー!!!本当に色々傷ついてきたんだな。
それを感じるから、私はファンサイドからの貶しやいじり、冷やかしに拒絶を覚えるんだと理解できた。 BESTYから否定されない(正当な批判は含んでません)傷つけられないって保証があるから、彼らが健康にチームとして活動していけると信じてるからだ。
誰だって自分のことを色眼鏡で見る人に100%愛情込めて感情を伝えられるだろうか。ファンも学んでいく必要があるよね。素直に素敵なものを素敵だと受け止める心の土壌が無い人が多いのかも。斜めに見るのがカッコいいみたいな。昔のお笑いやドラマの価値観は根深い。今、価値観は変わり始めたばかりで、この動画みたいなスピーチを、勇気出して言えるようになり始めたばかりだから。
彼らが世界を切り開いていく助けでいたいなぁ。
女性がエンパワメントされて、男性がエンカレッジされる存在がBE:FIRSTになるといいなと思う。

https://twitter.com/shiro_neko85/status/1583806178748141569

BMSG社内では「男らしい」という短絡的な会話が禁止とSKY-HIも述べていますが、多様性が叫ばれる時代において、トレバー・ノアが話すような理想を体現している彼らの存在は男性にも女性にも力を与えていると感じます。
BeMySelfでいること「自分でいる」「自分らしく」アーティストが活動するために作られたBMSGですが、何かトラブルがあった時は社訓を読み返すと初心に立ち返れる気がします。

BE:FIRSTのMCやインタビューから品格・知性を感じますが、自分たちで自分たちを動物園と呼ぶくらいうるさく自由にのびのび過ごすことと(YMBやVlogの自由さ大好きです)、音楽を楽しむために上質でい続けるために敬語講座やマナー講座など人格を磨いて向上していく事は両立するし、そんな彼らについていけるファンでありたいと思います。


性犯罪事件の背景にあるトキシックマスキュリニティ(有害な男らしさ)

BE:FIRSTの仲良し具合、距離感バグから受ける印象は有害な男らしさからの脱却ですが、有害な男らしさって何?と思う方へ、ぜひこちらを読んでみてください。
ケアリング、共生を排除した男性社会で、どのように男同士は絆を育んできたのかという研究本。
日本社会にもこの観点はあるし、むしろ現在でも蔓延っています。
先日の有名コメディアンの女性斡旋スキャンダルの根本かな、と。
性的欲求も解消しつつ、支配欲や征服欲といった暴力性への依存、男性社会での絆を深め男性社会での地位も向上させれる手法だったんだなと思いました。これが醜悪であることが共通理解となり、男も女もみんなが尊重される世界になるといいなと思います。


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